記事一覧

「私の同人誌を売ってあげようか?」に気をつけましょう。

「昔のプロ作品は面白かったですね」という話をしていると、「私の同人誌を売ってあげようか?」という人が湧いて出てくることがあります。

もちろん、俳句や短歌や現代詩や批評や児童文学や純文学の同人誌ではなく、いわゆる「二次創作」と称する漫画・アニメ系同人誌のことです。

それが現役ではなく、数十年前に何回かイベント出展した経験があるという人の場合は、いまだに不良在庫を抱えているということです。

可能性としては、BLを話題にする当方をからかってやる目的で、ありもしない物を売ってやると言ってきたことも考えられるのですが、それならそれで、そういうことをする人間性が問題です。

【隠語を使って、自分がだまされる】

なぜ、プロの話に変な人が食いついて来るのか? じつは、プロ作品と二次創作BL作品を同じ隠語で呼んでいると、勘違いしやすいのです。

つまり、自分自身がどっちも「やおい」とか「腐向け」とか呼んでいると、プロの話に対して「私の同人誌を買ってくれそうな人を見つけたわ!」と、勝手に期待してしまうのです。

しかも「プロよりも私たちのほうが売れていた」なんて、人数的にアンフェアな比較をしていい気分になっていた人は、自信があるつもりなのです。

けれども、世の中には「プロの作品は最後まで丁寧に描いてあるから好きだが、二次創作は中途半端だし原作に失礼だから嫌いだ」と思ってる人もいるかもしれないのです。

「同人が図に乗ってプロを侮辱するのは絶対に許せない」と思う人もいるかもしれないのです。

さらに、おなじ時間にタイムラインを閲覧しているゲイ・レズビアンの中には、1980年代の同人と同世代で、今ではお店の経営者や人権運動の責任者になっており、「同人は同性愛に関する偏見を助長し、我々の被害を増やした元凶だ」と思っている人も、いるかもしれないのです。

けれども、同人自身が「同人誌がいちばん面白い」と思っていると、コミケの外の世界には多様な価値観があるということを忘れてしまうのです。つまり、自分自身がお客さん気分のまま出展していたのです。(!)

【ネット炎上】

数年前にインターネット上で二次創作BLの話題があふれたのは、当該テレビ番組の権利者が事実上の許可を出したからです。

それによって、ブログランキングや小説投稿サイトが二次創作で埋め尽くされてしまい、一般利用者から苦情が出たのです。で、運営側が対応して、二次創作投稿専用URLを用意したりしました。

それによって「二次創作」という存在そのものが明るみに出たわけで、「同人の時代が来た」と勘違いしてしまった人もあったかもしれませんが、実際には「意味が分からない」などのバッシングが増えたのです。

即売会に引きこもりがちな同人だからこそ、時代の変化は確実に見切りましょう。

(なお、一般論として「意味分からん」というのは反感を示しているもので、分かりたいのでよろしくご指導お願いしますという好意的な意味ではありません)

【自分で自分を淘汰】

そもそも、コミックマーケット(別名:同人誌即売会)というのは、本来、招待制の業界内イベントですから、参加者も発行部数も少ないうちは、お互いに自分の作品を500円で売って、他人の作品を500円で買って「とんとん」なわけです。

けれども、自分の作品が1000冊売れたら、他人の作品を1000冊買って「よいしょ」と担いで帰る人は(めったに)ないですから、「同人どうしのよしみでこちらの作品も買ってください」と言わない購読者が増えれば増えるほど、純利益が出ることになります。

だから「自分では同人やってないが、読みたい」という人が増えることを願って、初心者を勧誘したがる傾向というのは確かにあるのです。ただし、出展には審査がなく、誰でも出展申し込みできるという陥穽があります。

自称同人が自分から声をかけて歩くことによって「来年は私も出展してみよう」と思うライバルを増やしてしまい、イベントを肥大化させ、出展ブース不足を招き、自分で自分を淘汰してしまったのです。で、今ごろになって、不良在庫を売りさばきたいのです。

Related Entries

SEARCH

Profile & Caution

Misha

Author:Misha
スマホ時代にさからう評論系長文ブログ。冷静に通読できる大人の読者様を想定しています。

「若い人」に直接呼びかける文章は、18歳以上のヤングアダルト対象です。高校生は受験・就活を最優先してください。

書く人は、新旧とりまぜて映画とアニメを見ながら文芸書に取りくんでみたり、昔の漫画を思い出したり、お国の先行きを心配したりしております。

映画評は、アップロードする以上は「下げる」ようなことは言わないことにしております。あらすじもあまり申し上げませんので、楽しみに御覧になってください。記事冒頭の色つき文字は映画中の台詞・挿入歌の歌詞からの引用です。

なお、取り上げる作品は、暴力・エロスなど特殊な要素を含んでいることもあります。

ときおり、耽美・BL・同人・LGBTに言及します。いずれの分野からも、偏見と差別と自虐がなくなるといいと思っております。

「二次創作の責任を二十四年組に押しつけるな」「実在同性愛者に甘えるな」が基調です。

全体として、二十四年組ファンが社会学者に物申すという珍しい構図。一部勘違い同人を叱責することによって全体を守るという意図もあり、ときにかなり辛口です。

記事は時々予告なく手直し・分割・削除しております。保存は個人的閲覧の範囲で、お早めに御随意に。転載・改変利用は固くお断り申し上げます。

解題


Casketとは、玉手箱。

でも検索すると棺桶がならびます。来世まで持っていきたい好きな作品の記録帳とご理解ください。