1955年5月、溝口健二『楊貴妃』大映

  24, 2017 11:02
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他人がお前を美しいという前に、自分が自分は美しいと思わなきゃ、女はダメだぞ。

製作:永田雅一、ランラン・ショウ 脚本:陶秦・川口松太郎・依田義賢・成澤昌茂 撮影:杉山公平 録音:橋本國雄 照明:久保田行一 美術監督:水谷浩 考証:盧世侯 衣装製作:上野芳生 小道具製作:高津利雄 音楽:早坂文雄 舞踊指導:三橋連子 メークアップ:牧野正雄 色彩技術:横田達之 助監督:増村保造

あら恋しの古やな。映画は大映。もう一回いいます。映画は大映。

ほんとうに大映はすごかった。水谷浩もすごかったが大映もすごかった。CGではありません。繰り返します。CGではありません。主権回復後3年。まだ「戦後」ですよ。

すべてのカットが油彩画のような濃密な色彩と構図の美しさに満ちております。これは映画の枠を越えて、日本美術史として考えても稀有の作品だろうと思われます。

わずか91分の清純ロマンスであって、戦乱スペクタクルではないので、男性向けとは言いがたいでしょうが、美術ファン・絵師の方は必見です。

撮影にはものすごい人数を使ってるのですが、メインキャラクターをギリギリまで絞り込んだので、ストーリーはシンプルで見やすいです。

玄宗皇帝は戦国武将ではなく、歴史上のヒーローとして観客が思い入れるポイントがないんですが、その男として何もできてない情けなさを森雅之の格調高い演技が救いました。

進藤・小沢の腹黒さがいいアクセントです。まさかの山村(安禄山)がたいへんカッコよく、本人も楽しそうに演じております。例によって山形勲が全篇を支える良心。

そしてグランプリ女優には赤がよく似合う。京マチ子は「登場した瞬間から誘惑的な美女(の妖怪)」という役が多かったので、今回は庶民出身の女の賢明さと悲しみを湛えた演技が印象的です。まさに梨花一枝、雨を帯びたるよそおい。

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