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1961年9月、田中徳三『悪名』大映

せやさかい、一緒にいてあげたいんやわ。

原作:今東光(『週刊朝日』連載) 脚本:依田義賢 撮影:宮川一夫 録音:大谷巌 照明:岡本健一 美術:内藤昭 音楽:鏑木創 衣装考証:上野芳生

映画は大映。総天然色、ワイドスコープ。勝さん(1931年11月生まれ)も田宮さん(1935年8月生まれ)もお若くて、ご両人の出世作。女性陣も含めて演技巧者ばかりで、よく舌が廻ります。

まさかの社会派リアリズム路線。大映がヤクザを撮るとこうなるのか……。

予告篇の様子からすると、娯楽が少なかった時代の新聞小説にふさわしい「喧嘩が強くて女に優しくて度胸の据わった素人がヤクザ相手に一歩も引かず」というお話。

今でいうと、某海賊団の麦わら少年のようなキャラクターですから、もっとマンガ的な破天荒なアクション映画になる予定だったと思うんですけれども、スタッフどもが本気すぎました。

極端なクローズアップのまま延々と対象を捉え続ける宮川カメラの名人芸に酔いましょう。伝統楽器を駆使した鏑木音楽も魅力的。

監督は黒澤『羅生門』・溝口『雨月物語』の助監督。脚本家は『祇園の姉妹』『残菊物語』『西鶴一代女』『雨月物語』『山椒大夫』『武士道残酷物語』。原作者は谷崎潤一郎とも親交のあった大僧正。(どう反応したらいいのか^^;)

地味な筋立てなだけに、庶民たる観客に「自分ならどうする?」と思わせる実在感が高いのです。

勝は眼が大きくて肌がきれいで、むっちりと男の愛嬌あふれる人ですが、日本の映画スターは女形出身の華奢なタイプと決まってるので、彼らの陰に入っちゃって損をしていた人なのでした。

ここではかえって女優と大差ない背丈の低さが、平均的な日本男子たる観客の憧れを背負うキャラクターとして、最大の効果を発揮していると思います。

中村玉緒は『不知火検校』ではキリッとした武家の奥さんでしたが、こちらではまだ16歳くらいの愛らしい町娘を演じています。なにげにすごい才能だと思います。それにつけても浪花千栄子かっこいい。

なお、女性陣の着物が素敵です。

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Misha

Author:Misha
スマホ時代にさからう評論系長文ブログ。冷静に通読できる大人の読者様を想定しています。

「若い人」に直接呼びかける文章は、18歳以上のヤングアダルト対象です。高校生は受験を最優先してください。

書く人は、新旧とりまぜて映画とアニメを見ながら文芸書に取りくんでみたり、昔の漫画を思い出したり、お国の先行きを心配したりしております。

記事中の色つき文字は、映画中の台詞・挿入歌からの引用です。あらすじは、あまり申しませんので、楽しみに御覧ください。取り上げる作品は、暴力・エロスなど特殊な要素を含んでいることもあります。

ときおり、耽美・BL・同人・LGBTに言及します。いずれの分野からも、偏見と差別と自虐がなくなるといいと思っております。

「二次創作の責任を二十四年組に押しつけるな」「実在同性愛者に甘えるな」が基調です。

全体として、二十四年組ファンが社会学者に物申すという珍しい構図。一部勘違い同人を叱責することによって全体を守るという意図もあり、ときにかなり辛口です。

記事は時々予告なく手直し・削除・分割しております。保存は個人的閲覧の範囲で、お早めに御随意に。転載・改変利用は固くお断り申し上げます。

解題


Casketとは、玉手箱。

でも検索すると棺桶がならびます。来世まで持っていきたい好きな作品の記録帳とご理解ください。