1970年1月、岡本喜八『座頭市と用心棒』勝プロダクション

  01, 2017 11:01
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なるほど。二百両の値打ちはある。

製作:勝新太郎・西岡弘善 原作:子母沢寛 脚本:岡本喜八・吉田哲郎 撮影:宮川一夫 照明:中岡源権 美術:西岡善信 音楽:伊福部昭 助監督:中西忠三

吹きすさぶ風は黒澤へのオマージュ。映画十本分の面白さ。かっこいいとはこういうことさ。映像美と男の色気に酔っていい映画。岡本喜八ここにあり。バケモノとケダモノの明日はどっちだ。

いや、でもこれいいのかな!? 黒澤そこまで言ってないのに!? と叫びたくなる脚色具合がじつにこのなんというか岡本らしく喜八らしく、たいへん楽しい番外篇です。

タイトルの身もふたも無さから「パロディだよな」となめてかかっていた気持ちをいきなり場外へかっ飛ばすホームラン級のオープニング。スタッフ本物すぎ。宮川一夫の起用は洒落のつもりじゃないのかもしれませんが、やっぱり洒落が効いています。

なんともはや、プロットとしても演出としても黒澤に捧げたというか全力で喧嘩売ったというか、原作者初のカラー作品がよくも悪くもあれだったのと同じ年の公開時、ファンたちも苦笑する他なかったかもしれません。

公開当時は大映配給で、2003年に東宝がDVD化したようですが、予告篇も特典もなにもないシンプルな盤。大映も勝プロも倒れたので資料が残っていなかったところ、岡本&三船なので東宝がファンの声に応えて映像だけは拾い上げたといったところなのでしょう。

序盤は両キャラクターとも、ややコメディタッチに誇張しているようで、阿南さんを演じた時よりもアドミラル山本を演じた時よりも歳くってる三船さんは髪を黒く染めて、楽しそうに演じております。

相変わらず岡本流編集技が冴えており、監督自身が脚本を書いているので、台詞と画の連動具合がたいへん気持ちいいです。

三船の口説き文句は相変わらず最低で、女心を喜ばせてくれますが、市の純情ぶりもまた嬉しいところです。

黒澤は女性に皮肉な気持ちを持っているような描写が多かったですが、岡本さんのいいところは男女の情をナチュラルに織り込むこと。いっぽう、げっそり痩せた個性的な男のキャラクターもお好きですね。

2種類の原作を最大限に尊重しつつ、自分らしさも最大限に盛り込んだという、ひじょうに楽しいお仕事だったろうと思います。二次創作は、かくありたい。

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