1983年7月、蔵原惟繕『南極物語 ANTARCTICA』

  02, 2017 11:04
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そんな簡単なことが分かるまで、ずいぶん遠回りしてきました。

脚本:野上龍雄・佐治乾・石堂淑朗・蔵原惟繕 音楽:VANGELIS シンセサイザー協力:日本楽器製造株式会社 撮影:椎塚彰 録音:紅谷愃一 美術:徳田博 照明:川島晴雄 別班撮影:田中正博 現場録音:橋本泰夫 助監督:山下稔 ドッグトレーナー:宮忠臣

もはや戦後ではない1957(昭和32)年、オングル島、昭和基地。実話を足かけ4年で完全再現。撮影は、南極の厳しい自然との闘いでもあった……。

犬たちは本当にお利口さんでした。高倉健の男気も本物でした。日本映画史上、興行収入第一位。(2001年のDVD発売時点) 

文部省特選。蔵原さんらしい大上段ぶりから始まります。見るからに寒そうです。もはやドキュメンタリーです。疾走する犬を望遠で取り続けた撮影さんはほんとうにご苦労様でございました。

薄青の空。さえぎるもののない白夜。人跡未踏の大雪原には、人界の歴史と情緒のまつわりついていないシンセサイザー音が似合います。ペンギン同士のどつき合いやアザラシの昼寝が見られます。監督は骨折したそうです。

カナダの北端にオープンセットを建設するのは精鋭スタッフ総がかり。リアル南極ロケでは高倉さんも荷物運び。お犬様の面接は800頭。まだフィルムの時代。凍ってしまうので電気系統が使えないため、キャメラのズームは手動です。(!)

なお、蜃気楼もオーロラも、まさかの本物です。(!!)

最大限の尊敬をこめて「バカだ……」と言ってやりたい画と秘話が続きます。撮影に用いた艦は海上保安庁の協力による本物(第二宗谷)です。昭和30年代のシコルスキも本物です。模型特撮という発想は、これっぱかしもなかったみたいです。(東宝なのに)

俳優さんたちも対極地装備ですが、顔だけは出さざるを得ず、役者根性見せてくださいます。アフレコ技も駆使されているとは思いますが、現地はリアル強風が吹きすさんでいたようで、録音さんもご苦労様でござんした。

言葉数の少ない作品で、回想の手法を使わず、ほんとうにナチュラルに時系列通りに出演者(犬を含む)の顔で語りました。脚本は4人掛かりの挙句に省略の美学という、ある意味究極だと思います。

あまりのリアルっぷりに山村聡がどこにいるか分からんくらいですが、ちゃんといます。夏目雅子はいなくてもいいんじゃないかと思いましたが、やっぱりいい女でした。

渡瀬恒彦さんのご冥福をお祈りいたします。

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