Misha's Casket

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1962年10月、森一生『続・座頭市物語』大映

お前さん、どうしてそんなに強いんだよ。

原作:子母沢寛 脚本:犬塚稔 撮影:本多省三 録音:林士太郎 照明:伊藤貞一 美術:太田誠一 音楽:斉藤一郎 助監督:井上昭

これですよ、これ。ロングショットでワンカット。巻き戻してもう一度。かっこいいいぃ。

序盤30分間の盛りだくさん具合がすごいです。奇妙な行きがかりと過去のいきさつ。2本の物語の絡まり具合も鮮やかに、前作を踏まえて主人公の内面を描きつつ、情緒深いおとなのロマンス要素を添えて。

美術さんは今日も絶好調。湧き水がさざ波立つロケも素晴らしいです。撮影も工夫に満ちて、続篇には珍しいほどの緊張感が漲っております。ベテラン斉藤音楽が無理なく豊かに盛り上げます。

祝・兄弟出演。この二人、日本の男の理想像でしたね。鼻筋の通った男前でありながら、バタくさくはなく、上背がありすぎず、肉置豊かに、むっちりと餅肌。マッチョともイケメンとも違うのです。独立カテゴリ。

これに女性が圧迫感を覚え、いやらしいと感じたのであれば、テレビが普及して映画が斜陽したからこそ、男性向け映画の全盛期が来たのだったでしょう。

だからこそ、それをまた女性目線で「どうして男ってこういうものが好きなの? ほんとうに暴力的で単純ね」って言うわけです。さらに若い世代が「これにも飽きた」と言い出して、高校生以下の少女キャラクターに眼を向けるようになり、角川春樹事務所の時代が来たのでした。やがてそれにも飽きて、時代は二次元へ……

話を戻すと、剣戟シーンは舞踊的ではなく、前のめり気味の実戦派で、新国劇ともまた違うようです。

基本的にヤクザの出入りですから、豪華な婦人用衣装や大名屋敷のようなセットが必要ないわけで、映画斜陽時代にふさわしい殺風景さ・低予算ぶりではあります。

にもかかわらず映像作品としての質が高いことを、次世代への教訓とも激励ともできることを特筆すべきであると思われます。


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