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1964年1月、三隅研次『眠狂四郎勝負』大映京都

相手は俺か!

原作:柴田錬三郎「週刊新潮」連載 脚本:星川清司 撮影:牧浦地志 録音:奥村雅弘 照明:山下礼二郎 美術:内藤昭 音楽:斉藤一郎 

大映スコープ、総天然色。かけ蕎麦が食いたくなる映画。公開月に合わせてお正月のにぎわいから入りますが、世情は不景気で浪人だらけで物騒だったもようです。

主人公はクールぶってて曲がったことはきらいな赤毛の着流し。隻腕ではなく行儀が悪いだけです。併映は『温泉女医』だったそうですから、本作も基本的には男性向けだったと思われます。

ヤクザ者同士の出入りで話が済む座頭市とちがって、まがりなりにもサムライなので、公儀まで関わる大事件になってしまう上に、今日も女にも男にもモテてモテて困る盛りだくさんぶりで、前作に輪をかけて娯楽色の強い脚本であり、ようするに無理があるんですが、加藤嘉の熱演と雷蔵の気品が救っております。円月殺法は流儀の名前ちゃうと思いつつ。

今回も個性のちがう女優が複数登場し、斬った張ったではなく斬ったり斬ったり斬ったりするお話に彩りあざやかなメリハリをつけております。

高田浩吉次女・美和ちゃん可愛いです。藤田志保は切れ長な眼が男の子みたいなので男装の剣士とかやらせたかったですが、この時代の女性キャラクターはまだ伝統的な解釈なので致し方ございません。

水谷浩のお弟子さんによる美術は豪華かつ細やかです。照明で作ってるのか、霧がかかってるように画面全体が煙る効果が面白いです。

円月殺法の隙を看破するキャラクターが登場しますが、それとは別口で立ち会うことになる柳生但馬守がちゃんと同じところを突いて来るのがさすがです。

座頭市は居合なので鞘に納めて終わりますが、刃を振り切った後の型が美しいのが眠さん。白面の美剣士は意外にいい筋肉してます。


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Misha

Author:Misha
スマホ時代にさからう評論系長文ブログ。冷静に通読できる大人の読者様を想定しています。

「若い人」に直接呼びかける文章は、18歳以上のヤングアダルト対象です。高校生は受験・就活を最優先してください。

書く人は、新旧とりまぜて映画とアニメを見ながら文芸書に取りくんでみたり、昔の漫画を思い出したり、お国の先行きを心配したりしております。

映画評は、アップロードする以上は「下げる」ようなことは言わないことにしております。あらすじもあまり申し上げませんので、楽しみに御覧になってください。記事冒頭の色つき文字は映画中の台詞・挿入歌の歌詞からの引用です。

なお、取り上げる作品は、暴力・エロスなど特殊な要素を含んでいることもあります。

ときおり、耽美・BL・同人・LGBTに言及します。いずれの分野からも、偏見と差別と自虐がなくなるといいと思っております。

「二次創作の責任を二十四年組に押しつけるな」「実在同性愛者に甘えるな」が基調です。

全体として、二十四年組ファンが社会学者に物申すという珍しい構図。一部勘違い同人を叱責することによって全体を守るという意図もあり、ときにかなり辛口です。

記事は時々予告なく手直し・分割・削除しております。保存は個人的閲覧の範囲で、お早めに御随意に。転載・改変利用は固くお断り申し上げます。

解題


Casketとは、玉手箱。

でも検索すると棺桶がならびます。来世まで持っていきたい好きな作品の記録帳とご理解ください。