2011年11月、中谷彰浩『なぜあの人はすぐやるのか』ダイヤモンド社

  12, 2017 11:05
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私が速いのではなく、その人が遅いのです。

いい男に言い切られると腹も立たない法則。いや冗談ではなく、男の顔は仕事ぶりで決まりますからね。

すこぶる実践的なビジネス書ですが、これを読んで「ぜんぶできるわけないじゃん! 押しつけないで!」と被害妄想に駆られちゃう人は、すでに受身です。いい男にだったら引きずり回されるのも悪かないですが、自分がイニシアティヴを取りましょう。

自分基準ですぐ出来ることをいくつかピックアップして、すぐやればいいのです。

中谷の発想は、ビシッと一貫性があり、整合性があるので、一つのアドバイスを実行できれば、他のこともできています。

また、他のビジネス書と同じことを言ってるのも印象的で、やっぱり「できる」人の発想は同じなのです。

「編集者は投稿作品の最初の1ページで面白いか面白くないか決めてしまう」というのは、ほかの人も言っていたことなのです。だんだん面白くなるんじゃダメなのです。出だしで「おッ」と思わせることができなければ、以下未読のまま編集者の机の上に山積みにされるだけです。

「構成を決める前に、まず書いてみて、あとから編集する」ってのも、じつに有効なアドバイスで、評論にも創作にも適用できるでしょう。

経験的には、論文やブログ記事などは、とりあえずダーーッと書いてみて、結論が出たところで、それを冒頭へ持ってくるといいです。結論が頭に入ってると、論理展開も追いやすいので、読む人にとって親切です。中谷も「相手の時間配分まで考えてやれ」と言ってます。(男の真の強さとは優しさなのです)

これだけ回転の速い人だと、さぞかしモバイルを使いこなしてるんだろうなァと思うと「ゲラ刷りチェックは赤鉛筆」というのが泣かせます。予定を書き込むのはボールペンだそうです。グリッと。

「作家は規則正しい生活をしている」「東大生は(ガリ勉ではなく)淡々とやっている」なんてのも興味深いエピソードです。

こんな中谷にも「ムカムカする」ことはあるんだそうで、眠くなるから寝てしまうんだそうです。いやなことをいつまでも考えてないで思考停止したほうがいいという判断が(無意識的に)働くのでしょう。ムカつくという若者言葉でないところがいいです。

人間が意識できていることは自分の人格を構成する記憶や感情のほんの一部で、あとは広大な無意識に格納されているそうですから(参考:池谷裕二・糸井重里『海馬』新潮社文庫)、中谷の言うことは、意識的に行動することによって無意識の負担を減らし、楽にしてやるということなのでしょう。

彼がここまで見切るには、やっぱり博報堂で鍛えられて、悔しい思いもしたのでしょう。博報堂に入れる時点ですごいと言うべき最前線だからこそ、俺ダメかもしれないと思った時の劣等感も強かったはずです。そこからどうやって気分転換し、立ち直ってきたのか。そう思えば、いわゆるトラウマの解消にも役立ちそうです。

面白いのは俳句のつくり方なんですが、あんまり引用してしまうと書籍が売れなくなるので、このへんで。(いますぐ在庫チェック)

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