Misha's Casket

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武器としてのBL。

何年か前に誰かが言い出したことで、一瞬タイムラインがにぎわったように記憶しているんですけれども、つまりBLによって男性の性的な表象に慣れた女性は露出症タイプの痴漢なんか怖くないというのです。「もっと脱げ」くらいのことを言って、相手にプレッシャーを与え、撃退してしまう。

でも、これも考えてみると奇妙な話ではあるのです。

なぜなら、そういう気の強い女性は、今どきBL読者に限った話ではないからです。いや、今に限らず、じつは既婚者と未婚者が明確に分かれていた時代というのは無いのです。

映画にも登場するように、形式としては未婚だが、人生経験・性的経験豊富な「水商売」の女性は昔から大勢いたからです。1980年代には、ビートたけしが指摘したように、素人の女性が「知恵」をつけましたね。

彼が若者たちに「おまえら、女に顎で使われて情けない」っていうと「でも、ただでやらせてもらえるからいいんです」って答えたんだそうです。その代わりに車を運転してやったり、バッグを買ってやったりしたわけですね。

小津作品の常連でもあった実業家の尽力によって売春防止法が成立した後、なにが起きたかというと、素人同士の形式的贈与としての、まさに「フリー」な性的関係だったわけです。

それ自体の是非は有志各位のブログで議論して頂くとして、ここでは話を進めますと、別の証言として、世の中には男性のレディコミ読者も大勢いて、彼らは「もっとソフトに」と要望するのだそうです。女性読者のほうが「もっと過激に」と要望する。

女性は性的冒険の実行にあたって妊娠という高いハードルがありますし、通常兵器ならぬ殴られるなどの通常暴力の被害も受けやすい。だから想像過多になるというのは昔からの傾向ですが、だからこそ、過激なレディコミばかり読んでいる女性と、過激なBLばかり読んでいる女性では、条件に大差ないはずです。

にもかかわらず、なぜBLファンだけが強気なのか?

どうも、話がおかしいですね。ということは、これは、じつは話が逆です。

いかにもボーイフレンドのいそうな、オシャレっぽい女性は露出症くらい怖くない。夜道で声をかけられること自体は「気味が悪い」と思うでしょうけれども、実物を見ることには抵抗がない。「なんだ、その程度」とか言っちゃうかもしれない。

けれどもBL派、なかでも「二次元コンプレックス」のタイプは、「生々しい」現実が苦手で、本物を見せてやるなんて言われると「いや~~ん。見せないで~~」と顔をおおって、キャーキャー騒ぐ。だから面白いから、わざとからかってやれ……という先入観が男性のほうにあるってことです。

とすると、これは書店などにおいてBLファンだけがしつこくナンパされたり、怪我をさせられたりするという被害にも通じている話です。

華やかな女性には男性のほうで気後れして声をかけづらいが、化粧っけのないBLファンは基本的におとなしく、男性経験がないので、声をかけるとすぐついて来るなんていう先入観が一部で広まっているという。

だから本当の問題は、そうまでして男性が女性を誘いたい・からかいたい・手を出したいと思っていることなのです。

それに対して、BL派の女性が「みんな、くじけないで。撃退する方法はあるよ」と言っていたのです。いや、本人もよく分かってなかったので「BLが武器になる場面が他にもあったら教えてほしい」と投げかけたから、インターネット掲示板で失礼なことを言って来た男性を文章力で撃退したという話が寄せられたのですが、それだと、ちょっと意味合いが違うのです。

なお、ここで「俺は現実の成人女性に声をかけたりしないよ」と言い切れてしまうのが、ロリ派の男性。経験的に「ピザ」タイプが現実の女性をナンパしたり、わざわざ厭味を言いに来るというのは、ちょっと考えにくいのです。

とくに同人誌即売会に出展する男性陣は、自分自身が漫画を読み書きすることがいちばん好きで、対外的にはおとなしい人々ですから、女性が流行させつつあったものも承知の上で平和共存していたわけで、会場内で女性参加者に暴力をふるったとか、スクラム組んで女性を入場させまいとしたとか、そういうこともなかったのです。

少なくとも当方はそういう時代を知っているので、いまでも同人活動している女性・BLファンの女性のほうから、彼らの美少女趣味や巨乳趣味に対して、厭味を言うべきではないと思っています。

もう一つ厄介な問題があって、BL派が気を強く持って、現実くらい怖くないと言い出すと、「本当に怖いんだもん」というタイプが劣等感を深めて、「もうBLやめる。代わりに本物のゲイに慰めてもらう」といって、弱者の連帯しに行っちゃうのかもしれません。orz

(※ ゲイは女の子に優しくしてくれるというのは、テレビタレントなどを情報源としたステレオタイプ認識にすぎません。つまり先入観であり、それも差別ですから、気をつけましょう)

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