1963年1月、三隅研次『新撰組始末記』大映京都

  24, 2017 11:02
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武士とは心意気だと、その男が言った。

企画:辻久一 原作:子母沢寛(中央公論社版) 脚本:星川清司 撮影:本多省三 録音:奥村雅弘 照明:伊藤貞一 美術:太田誠一 音楽:斉藤一郎 衣装考証:上野芳生 擬斗:宮内昌平 音響効果:倉島暢 助監督:友枝稔議

これは、観ましょう。(きっぱり)

男に惚れた男のロマンが鮨詰めに詰まっておりますが、それだけで終わらせない骨太な批判精神もまた見どころです。三隅もたくさん撮った人ですが、傑作のひとつだろうと思われます。

オープニングから男性ナルシシズム横溢して、のけぞるばかりですが、画面(カメラワーク)的に相当面白いばかりでなく、じつは新撰組の日常と人間描写がたいへん良いです。

基本的に斬ったり斬ったり斬ったりする暴力劇ですが、そういうカテゴリ自体が苦手というのでない限り、映画術のお手本の一つとしてもたいへん意義深い作品だと思います。

メイク控えめの雷蔵の生一本な若さ、城健三朗(若山富三郎)のつぶらな眼の明るい光、悪役もできる天知茂の冷たい知性。

新撰組という集団の危険さと、だからこそ明日の見えない素浪人と農家の若者たちを惹きつけたことが鮮やかに描き出されております。

いっぽうで勤皇方も事情は同様。そのかたわらで平和な暮らしを営む京都市民の日常が丁寧に再現されております。こんこんちきち、こんちきち。

藤村志保がまた好演。主人公との対比上か、1960年代の実在女性観客への配慮か、時代劇としては珍しい設定で、そういう女性の強さと、女ならではの弱さの両方がよく描き出されていると思います。

雷蔵は、ちょっと面白い役で、近藤さんでもトシさんでもないのです。その陰に入ってしまう立ち位置なわけですが、だからこそ、登場するとあの美貌が画面をパッと明るくしてくれます。

他のシリーズでは忍びやスパイを演じた人なわけで、日本的耐えるヒーローと申しますか、よく心得た配役だと思います。

クライマックスでは斯界随一と言われる健三朗の鮮やかな殺陣を拝見できます。(今まであんまり機会がなかったので嬉しいです)

しかも、その後が重要です。楽しみに御覧ください。

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