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2015年8月、原田眞人『日本のいちばん長い日』松竹

松竹の本気。大ロケーション、大昭和劇。

なんですが、なによりも感じるのは「映画が国民的娯楽ではなくなった」こと。

デジタル時代らしい軽快なカメラワークで俳優たちに肉迫し、ささやき声で交わされる政治家同士、将校同士の会話を高性能マイクで拾ったという超リアリズム演出により、物語が頭に入ってる人じゃないと意味不明だと思われるのです。

半藤原作はもちろん、ナレーションを起用して説明に努めた岡本喜八による1967年版ありきなのは明白で、ちょうどその裏返しのような構成になっているのでした。

つまり、マニアックと言えるくらいの大人の鑑賞者に対象を絞り込んであるのです。

『楢山節考』でもあったことですから、リメイクの基本と言うこともできますし、「岡本と同じことをしても意味がないので、1967年当時には再現しにくかった要素を前面に押し出すことにしたから、他が尺を食われた」という言い方もできるんですが、この題材を「それでいいだろう」という判断をくだした、その現代映画市場を見切ったセンスがいい度胸だと思うのです。

口調まで再現した本木雅弘の熱意には目頭が熱くなります。東条役はお上とは別の意味で日本人俳優が引き受けたくない役ナンバーワンじゃないかと思いますが、舞台で鍛えた中嶋しゅうは吹っ切れてます。

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Misha

Author:Misha
スマホ時代にさからう評論系長文ブログ。冷静に通読できる大人の読者様を想定しています。

「若い人」に直接呼びかける文章は、18歳以上のヤングアダルト対象です。高校生は受験を最優先してください。

書く人は、新旧とりまぜて映画とアニメを見ながら文芸書に取りくんでみたり、昔の漫画を思い出したり、お国の先行きを心配したりしております。

記事中の色つき文字は、映画中の台詞・挿入歌からの引用です。あらすじは、あまり申しませんので、楽しみに御覧ください。取り上げる作品は、暴力・エロスなど特殊な要素を含んでいることもあります。

ときおり、耽美・BL・同人・LGBTに言及します。いずれの分野からも、偏見と差別と自虐がなくなるといいと思っております。

「二次創作の責任を二十四年組に押しつけるな」「実在同性愛者に甘えるな」が基調です。

全体として、二十四年組ファンが社会学者に物申すという珍しい構図。一部勘違い同人を叱責することによって全体を守るという意図もあり、ときにかなり辛口です。

記事は時々予告なく手直し・削除・分割しております。保存は個人的閲覧の範囲で、お早めに御随意に。転載・改変利用は固くお断り申し上げます。

解題


Casketとは、玉手箱。

でも検索すると棺桶がならびます。来世まで持っていきたい好きな作品の記録帳とご理解ください。