記事一覧

ゲイを激怒させた質問とは。

「あなたは攻めですか受けですか」と確かめようとしたのでしょうね、女性が。

だからゲイコミュニティが「どうしてそういうことにしか興味のない女が増えたんだ!?」と思ったのです。そして情報交換した。結論が「女性向け創作物が影響を与えている」ということになったのでしょう。

だから彼らは「創作物から影響を受けやすい未成年者のうちから読ませるな」と要望したのです。

だから、社会学研究者や評論家の興味も「劇中人物が男役と女役に分かれている件」に集中したのです。

意外なようですが、ゲイ雑誌ってのは、そんなことばかり描いてあるわけじゃないのです。研究者たちも指摘した通り、現実のゲイは男役女役に分かれているとは限らないのです。女性向け創作物だけが偏っている。

だから研究者たちは「なぜ若い女性の現実認識が歪んでいるのか? これは男性社会に対する皮肉なのか?」と問題視したのです。

もしかしたら女性のほうで調子こいて「攻めってゆぅのわ~~」と説明しちゃったかもしれませんね。ゲイバーまで行っているということは、お酒が入ってるわけですから。

これを聞いて「うわあああ」と思うのは、当の同人です。「そういう女のせいで私たちの二次創作BL同人活動が規制されたら困る!」と思うからです。

だから同人の間では「ぜったいに行くな。ぜったいに本物を怒らせるな」なのです。

ゲイバーもご商売ですし、女性もどうぞと言ってくださるお店もあることですから、行くだけ行ったっていいですけれども「本物のホモなんか怒らせてやってもいい」という同人は、ひとりもいません。

なお同人というのは、サブカルファン一般のことではなく、あくまで同人活動している人のことです。俳句の会に入っている人なら俳句同人。漫画を描く人は漫画同人。小説を書く人は小説同人。その点は明治時代から変わっていません。

その漫画同人・小説同人の中でも、二次創作という特殊な(著作権上の問題をかかえた)作品を意図的に制作する同人が、外聞をはばかって隠語を用いたのが、同人が自虐した本当の理由です。

たんに「男同士の話だから」ではないのです。

したがいまして、自分では自主制作・イベント出展せずに「買って読んだだけ」という女性が、自分を「腐女子」と呼んで「私には二次創作BL同人の仲間が大勢いる=かばってもらえるから大丈夫」という気分になってしまうと、たいへん同人の迷惑です。

マスメディアの皆様もご注意ください。自分自身が社会現象に詳しいつもりで、うかつに同人界の隠語を記事中に用いると、読者の中には、まるでそれが最新流行で、仲間が大勢いるかのように思ってしまう単純な人もあります。

すると、素人女性が素人の性的少数者に深刻な精神的被害を与えることを増やしてしまいます。

ロリ派の男性を含めて、同人は、創作物が実在被害の原因になることを望んでおりません。創作物を創作物として消費して、それで終わりにする約束を守れない読者は、同人の敵です。

【約束を守る約束】

おとなが仁侠映画やチャンバラ時代劇を観てもいいのは、それが本当には斬れない小道具を使ったお芝居であり、わざと「嘘」をついて楽しんでいるのであり、決して現実世界では真似しない約束が守れるという前提です。

おとながコンビニで「成人向け」漫画を買ってもいいのも、その中に描いてあることを真似しない約束が守れるという前提です。漫画の中に夜道で女性を襲う場面があったからといって、コンビニの帰り道で本物の女性を襲ってはいけません。

男同士、女同士を描いた漫画はふつうのコンビニでは売っていませんが、通販などを利用してそういう漫画を手に入れた際にも、同居人または自宅の外で出会う人間に対して、暴力的な行為を真似してみてはいけません。

そういう約束を守ることを、いちいち言われなくても、おとななら分かっているという前提で、成人は暴力的またはエロティックな映画や漫画や小説を鑑賞してもいいことになっているのです。

もし面白半分に「少年漫画にも、けっこうエロい場面がありますよ♪」と言う人があるなら、出版社・作者としては「でも実際の事件の原因にはなっていません。少年犯罪の発生率は減少しています」と、全力で言うでしょう。

危険ドラッグでさえ、交通事故が起こるまでは規制対象ではなかったのです。もし創作物を読んだ人が実在被害を起こすことが度重なるようであれば、創作物を禁止することになります。

【とくに困る】

ゲイ・レズビアンがストレート女性の言動について苦情を言う時は、まず「一般にストレート女性がゲイバーまで入って来て、ぼくたちの会話の邪魔をするのは困る」と言います。が、それだけで終わりません。

彼(女)らは「とくに『やおい』には困る」とか「とくに『腐女子』には困る」と付け足すのです。全体として困るが、とくに困るタイプがいると、わざわざ言いなおすのです。

それが冒頭のタイプというわけです。彼らの性的行為の詳細を知りたがり、役割分担を確認したがり、「受け」タイプの可愛い顔した男性だけを狙ってジロジロ見物し続けたり、あとをつけて歩いたりするので、本人にとっても迷惑だし、周囲で見ているLGBTにとっても、たいへんいやらしく感じられて、きもちが悪い。そういう被害です。

やってることが、悪い男と同じなわけです。それを「女性が男と同じことをするのは、女性の権利です!」といって弁護してしまったのが1990年代のフェミニストです。

彼女たちは、その際に「やおいは私たちのものです!」と主張したそうです。でも、ゲイ側が言って来たことは「あんた達のものだから責任もってくれ」ということです。

彼らは「竹宮恵子の単行本を回収しろ」と言ったのではありません。

「竹宮恵子の作品を部分利用し、換骨奪胎し、様式化したものが、後の時代に流行し、同性愛について偏見を強め、不適切行動を増やしている」と、的確に指摘したのです。

見事な分析です。同人よりもゲイのほうが分かってます。

「自分もプロになりたくて、竹宮先生と同じように歴史や純文学の勉強をして、いろいろな要素を含んだ作品を描いたので、デビューさせてください」という少女ではなく、性的な場面だけを面白がって、そこだけを真似することを「山も落ちもない」と称して流行させた、一部のアマチュア少女。

そういう連中がゲイバーまで来るから困ると言っているのです。それをフェミニストが「私たちのものです」と言うなら、責任もって「やおい少女」に人権意識を教育してやればいいです。

「山も落ちもない同人漫画を読んだり、自分で描いたりすることは女性の表現の自由ですが、現実の男性を困らせてはいけません」って。

1980年代の間に同人作品を楽しんだ人々が、1990年代に成人すると、さっそくゲイバーへ押しかけて、問題を起こしたのです。ということは、1980年代の人権教育が不足していたということです。

もし「現実の男性なんか困らせてやったほうがいいんです。これは今までの復讐です!」と言うなら、相手を間違えています。自分の旦那か会社の上司に復讐すればいいです。

じつは、1980年代の間に「若いゲイ同士が同居して、料理する役の男が、新聞を読みながら待っているだけの男を『パパ』と呼び、逆に『ママ』と呼ぶ」という映画が公開されたことがあったのです。創作ではなく、ドキュメンタリーです。『らせんの素描』と言います。

これを観て、フェミニストは激怒したのです。「現実の職業と家事・育児の両立の苦労も知らないくせに、パパママごっこか!」って。

だったらゲイカップルにも子育てさせてやればいいんですが、それはまた別の話。ここで問題なのは、フェミニスト側がゲイに対して「お前らが『女は家庭』という偏見を強めている元凶だ!」という敵愾心を持っていたことなのです。

だから、その約十年後にゲイ側から苦情が出たとき、フェミは「今こそ復讐の時よ!」と思っちゃったのです。

ゲイにしてみりゃ「ドキュメンタリー映画はぼくらのものだ。女がケチつけることじゃない」と言えたでしょう。言ったかもしれません。それに対して女性側は「やおいは私たちのものです! ゲイが文句言ってはいけません!」というわけです。

じつに厄介なことに、当時すでに「ボーイズラブ」とう名称が提案されていたはずなんですが、これが総称として用いられなかったのです。

ゲイ側はあくまで「プロ作品を換骨奪胎した同人作品がとくに良くない」と言ったのに、なぜかフェミ達は、ゲイ側が「やおい」という言葉を使ったのを聞いて(読んで)、女性の表現の自由全体が男性からのクレームによって規制されるという問題だと勘違いしてしまったのです。

だから本来「やおい」(=二次創作BL)には無関係なはずの竹宮や栗本が議論に巻き込まれちゃったのです。

女性のほうがおかしいのです。なかんずく、フェミが勘違いしたのです。

同人側としては「同人作品がとくに良くない」と言われたら「ごめんなさいごめんなさいもう行きませんから二次創作を禁止しないでください。あまり大きな声で『やおい』とか『腐女子』とか言わないでください。原作者様に見つかったらマジでジャンル停止させられちゃうんです」しか言えないのです。

(というか、言うに言えないのです)

Related Entries

SEARCH

Profile & Caution

Misha

Author:Misha
スマホ時代にさからう評論系長文ブログ。冷静に通読できる大人の読者様を想定しています。

「若い人」に直接呼びかける文章は、18歳以上のヤングアダルト対象です。高校生は受験を最優先してください。

書く人は、新旧とりまぜて映画とアニメを見ながら文芸書に取りくんでみたり、昔の漫画を思い出したり、お国の先行きを心配したりしております。

記事中の色つき文字は、映画中の台詞・挿入歌からの引用です。あらすじは、あまり申しませんので、楽しみに御覧ください。取り上げる作品は、暴力・エロスなど特殊な要素を含んでいることもあります。

ときおり、耽美・BL・同人・LGBTに言及します。いずれの分野からも、偏見と差別と自虐がなくなるといいと思っております。

「二次創作の責任を二十四年組に押しつけるな」「実在同性愛者に甘えるな」が基調です。

全体として、二十四年組ファンが社会学者に物申すという珍しい構図。一部勘違い同人を叱責することによって全体を守るという意図もあり、ときにかなり辛口です。

記事は時々予告なく手直し・削除・分割しております。保存は個人的閲覧の範囲で、お早めに御随意に。転載・改変利用は固くお断り申し上げます。

解題


Casketとは、玉手箱。

でも検索すると棺桶がならびます。来世まで持っていきたい好きな作品の記録帳とご理解ください。