やたらとクレームする前に、二次創作の検閲の問題点を確認しましょう。

  01, 2017 11:02
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そもそも「二次創作」を名乗った時点で、原著作への依拠性を自ら認めているのですから、それを「売った」と言った時点で、著作財産権の侵害が成立します。

コーヒー吹きましたか? とりあえず落ち着きましょう。話の続きがあります。

自分では「ただの遊び」だと思ってやって来たことが、改めて法律に照らすと、どういう意味になるのか?

自分では「カネもうけになるからいいじゃん」と思ってやって来たことが、改めて法律に照らすと、どういう意味になるのか?

一般国民の皆様は「頭がいい奴がいるもんだなァ」と感心してくださるのか? 「ふざけるな。さっさと逮捕しろ」とお怒りになるのか?

最初からそういう話をしているのです。最初から法律の話をしているのです。

そこで「二次創作は遊びじゃないのw」だの「カネもうけのためだよ!」では、お話になりません。

遊びといえば許されるのではないのです。カネのためといえば許されるのではないのです。遊びとか金目とか言えば許されるなら、海賊版でも危険ドラッグでも盗撮写真でも「遊び心でカネがほしいだけだから♪」と言いながら売っちゃえばいいじゃんという話になってしまいます。

「そういうものは売っちゃいけないことは分かっているが、二次創作だけは取り締まらないでもらいたい」という時は、論拠が違うのです。

【論点は検閲】

もともと、二次的著作物というのはいろいろあるのです。『源氏物語』『平家物語』にも異本があるように、創作物のあるところ、必ず発生するものなのです。

ただし、いわゆる日本のサブカルにおける、いわゆる二次創作は、検閲されたら著作権上は問題なしとされても、別件逮捕の可能性があるという作品を含んでいるので、検閲される側のほうで問題を混同してしまい、テンパってしまうことも多いのです。

そこに女性の弱者特権意識が混入すると「女の子がエロを売って生きていくことに政府が配慮するのは当たり前ですよ!」という、ズレたところでエキサイトしてしまうフェミっぽい二次創作同人も登場しちゃうのです。

(そういう人が他人の口真似して「同人はフェミとは別」とか言っても、ぜんぜん説得力ないです)

けれども、ほんとうの問題は、あくまで「他人の著作物に無断で依拠している作品を摘発する目的で検閲を実施すれば、身に覚えのないオリジナル作品も疑いをかけられ、原稿を没収されたり、身柄を拘束されたりする恐れがある」ことなのです。

じつは「二次創作が萎縮しないように」だけでは済まないのです。

【同人は困らない】

そもそも同人は、二次が規制されても困らないのです。全員がオリジナルを出すことに決まれば、条件が同じですから、公平な競争が保障され、同人界の健全な発展が期待できます。むしろ読者は、より一層個性的でおもしろい作品を入手できる。出版社もダイレクトに契約できる。万々歳です。

ただし、二次を摘発するための検閲が入れば、オリジナルも疑われ、原稿が没収されるなど、創作活動全体が阻害される恐れがあります。

登場人物の名前が同じだが、または顔立ちがよく似ているが、これは偶然なのか? 意図的なのか? 疑えば疑える。

もともと漫画はお互いに見よう見まねで描いているので、見方によっては全作品アウトです。一斉取調べに要する捜査員数は膨大です。

拘束中の容疑者の食費などは国費または自治体の負担です。さらに警察には「給料もらって一日じゅう漫画をめくってる」という部署が発生してしまう。

「じゃあボランティアで対応しよう」と言っても同じことです。ボランティアの行動が過熱しないように新たな法令・条例を必要とする。それ自体の運営が正しいかどうかも監査する必要がある。

累積的に費用がかさむいっぽうで、結局なにも起訴できない可能性も高いのです。もともと「原著作物とかけ離れている場合は二次的著作物とは見なさない」ことになっているからです。

【読みたい気持ち】

そもそも同人誌即売会は「同人誌を即売する会」ですから、すべての同人が即売するために同人誌を用意してるこたぁ分かってるのです。(無料配布してもいいですが)

それを「悪いものだから即売してはいけない」と言われてしまったら、もう当方の口から「同人さんは、同人誌を即売するために同人誌即売会を開いてるそうですよw」と言ってやっても無意味なのです。

政府と警察と一般国民の皆様が「そっか~~。即売するための即売会なんだ~~。じゃあ悪いものでも即売させてあげるよ♪」と言ってくださることはないのです。すでに議論のスタート地点が違うのです。

だから同人さんが「同人はカネもうけのためにやってるんだよ! そんなことも知らないの!? もっとよく調べてから書いてほしい!」と、えらそうにクレームしても無駄なのです。いい墓穴になるだけです。

じゃあ、どこを切り口にするか? 発想の転換が必要です。

危険ドラッグも、実在児童写真も、海賊版も「是非ほしい」と言ってくれる人がいても売ってはいけないことになったのです。

その「ほしい気持ち」が、すでにやばいからです。そんなもんに夢中になってないで真面目に生きろ(正規版を買え)と言われたのです。

「売春」が「買春」と言い換えられたのも、買いたがる奴がいるから悪いという発想です。

同様に、二次創作も「そんなもん読みたがってはいけない」と言われたら、同人がえらそうに「売るためにやってるんですよ!」と騒いでも無駄なのです。

だから「なぜ読みたがってはいけないのか? 誰も困らないじゃないか。交通事故も起きないし、実在児童を誘拐するわけじゃないし、キャラクターを愛してるだけじゃないか」と言うのです。

だから、プロもアマも営利も非営利も「キャラクターを愛し、二次創作を読みたい気持ちは悪いことではないので、検閲しないでください」の一本で押し通すことなのです。

そこで同人が自分から「誰もキャラクターなんか愛してないよ!」と言うなら、じゃあ誰も二次創作なんか読みたくないってことじゃん。はい規制。はい決定。はい検閲開始ってことになってしまいます。

【そもそも法律とは】

そもそも法律とは「これを禁止する」と書くのであって、国民生活の全てをいちいちあげつらって「これを許可する」と書くのではありません。

国民は基本的に自由・平等・博愛であって、よっぽど危険なことだけを政府(立法府)の責任で「これを禁止する」とか、安全基準数値を定めるとかするのです。

だから「危険ではないものを危険だと勘違いして禁止する法案を通すことはやめてください」というのが、禁止されたくない人々の戦略です。

逆にいえば「なにもかもぶっちゃけて許してもらう」のではないのです。

「なにもかも打ち明けて許してもらう」というのは、すでに起訴されちまった人間の最終弁論です。

この「そもそも法律とはどういうものか」を分かっておかないと、言わなくてもいいことを自慢してしまう人になってしまいます。

やたらとクレームごっこする前に、いま何の話をしているのか理解しましょう。

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