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なぜ日本の女性はおとなしいのかという問題です。

中東の女性は、痴漢されると、すごい声を挙げて抗議するそうです。すると周囲にいた女性たちが駆けつけて、痴漢を引きずり倒し、踏みつけにするのだそうです。

と言うと「抗議しないと、女のほうにその気があったと見なされ、不貞の罪で処罰されちゃうからね」と言って来る人がありました。残念ながら論点はそこじゃないのです。

なぜ、日本の女性は声を挙げないのですか? なぜ、日本の女性は仲間を助けないのですか?

日本の被害女性は充分に人権を保障されており「自分がミニスカートをはいていたのが悪い」とか「抵抗することもできたはずだから、その気があったのだろう」とか「犯人の顔と名前が公開されてしまって可哀想」とか「減るもんじゃなし」とか言われることはないからですか?

「日本の女性は収監されたり鞭打ちされたりするほどではないから」と言うなら、日本女性にも厳罰を与えることにすれば日本女性も強くなれるという意味になってしまいます。

なぜ日本の女性は「怖くて声が出せなかった」というのですか? なぜ彼女は「私には味方が一人もいない」と思い込んでいるのですか?

最も重要なテーマは「あなたならどうしますか?」です。

あなたは、もし、他の女性が被害を訴えたら、自分が会社に遅れることも構わずに加勢することができますか?

実際には満員電車で身動きが取れず、助けたくても助けられないのではないですか? とすると電車の運行本数を増やせばいいのでしょうか? 鉄道職員が「無理!」と声を挙げそうですね。

すでに日本の鉄道は奇跡的な職人技によって運行されていることが世界に知れ渡っています。

では、大都市への一極集中を解消すればいいのでしょうか? でも地方の閑静な住宅街で重大事件が起きることもありますね。

問題の切り口はいろいろあります。あなた一人が「海外の事情に詳しいのよ」と自慢して済むことではありません。

CLAMP作品に「アメリカ合衆国の空港に到着したばかりの外国人女性が悪漢を撃退した瞬間には、大勢の人が『彼女は正当防衛です。わたし見てました』と証言してくれたのに、いざ裁判になると誰も証言台に立ってくれない」というエピソードがありましたね。アメリカ人は裁判に慣れているからこそ、身をかわすこともうまいのです。

お国によって、地域によって、事情はさまざまです。だからこそ「日本ではどうか?」が基本です。

【情報提供者の被害妄想】

ひとつ心配なのは、情報提供したつもりの人が被害妄想を持っているのではないかという点です。つまり「中東の女、こえーw」とか「中東の女、やべぇw」とかいって、からかわれることを想定してしまったのではなかったか?

だから先回りして「彼女たちにも事情があるのよ。正当防衛なのよ」と弁護したつもりなのですが、自分だったらどうする? と問い返されることは想定していないのです。

じつに厄介なことに、1980年代フェミニズムを知っている世代の女性は「自分はどうなんだ」と問い返されることを想定しないという癖があるのです。

「みんな男が悪いのよw」と言ってやれば、いい気分になることができた時代があって、まだそれを引きずっていることがあるのです。

確かに上記の話題は、男性が女性を誤解して、厳罰を与えることが悪いと言うことができます。でも、それを言ったからといって日本の問題は解決しません。中東事情を理解しても日本女性は救われません。

国連っぽく「中東女性を救え!」という話に持ちこむこともできます。けれども日本女性の問題は解決しません。

1980年代を知っている人は、被害者意識がひっくりかえった特権意識と、社会学ごっこ・文化人類学ごっこに注意しましょう。「私、他人の事情に詳しいのよ」というだけでは意味を成さないのです。

はばかりながら、当方は、答えにくい問題を提起するものです。なんのためのインターネットか? 黙って読むことができるからです。学活ではないので、急いで「はいはーい」と手を挙げなくていいのです。

自分だったらどうするか? 自分には何ができるか? この問いかけは、あらゆる人権問題・社会問題に適用することができます。

なお、痴漢問題に絞れば、最終的に「俺が・私が悩む必要はない。そもそも痴漢する奴がいなければいい」という点に到達するはずです。

重大な問題だが、すぐには答えられない。しかし心に留めておく。少しずつ共感が広がる。それが集合知のいいところ。

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Misha

Author:Misha
スマホ時代にさからう評論系長文ブログ。冷静に通読できる大人の読者様を想定しています。

「若い人」に直接呼びかける文章は、18歳以上のヤングアダルト対象です。高校生は受験を最優先してください。

書く人は、新旧とりまぜて映画とアニメを見ながら文芸書に取りくんでみたり、昔の漫画を思い出したり、お国の先行きを心配したりしております。

記事中の色つき文字は、映画中の台詞・挿入歌からの引用です。あらすじは、あまり申しませんので、楽しみに御覧ください。取り上げる作品は、暴力・エロスなど特殊な要素を含んでいることもあります。

ときおり、耽美・BL・同人・LGBTに言及します。いずれの分野からも、偏見と差別と自虐がなくなるといいと思っております。

「二次創作の責任を二十四年組に押しつけるな」「実在同性愛者に甘えるな」が基調です。

全体として、二十四年組ファンが社会学者に物申すという珍しい構図。一部勘違い同人を叱責することによって全体を守るという意図もあり、ときにかなり辛口です。

記事は時々予告なく手直し・削除・分割しております。保存は個人的閲覧の範囲で、お早めに御随意に。転載・改変利用は固くお断り申し上げます。

解題


Casketとは、玉手箱。

でも検索すると棺桶がならびます。来世まで持っていきたい好きな作品の記録帳とご理解ください。