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「同人やらなきゃよかった」と思っている人ほど、自己正当化したがる。

できるだけ手短に申しますとね……。1970年代のプロの話をしていたら、自分の同人誌の宣伝をしたがる中年女性が入って来ちゃったんですよ。

それが、二十四年組作品を読んだことある人なら誰でも知っている「明治時代の純文学を下敷きにしている」とか「少女キャラクターも活躍する」という話にいちいち怒るのです。

「でも私の同人誌を買いに来た子は少女キャラなんか目当てじゃなかったよ! 私は純文学なんか読んだことないよ!」って。

こちらはプロの話をしているのに、自分のことばかり言って怒っているのです。挙句に「私の同人誌はM事件のせいで売れなくなったんだからね!」と叫んじゃったのです。ゾーーッとしたものです。

【変な同人が来た】

例えて言うと「書店で二十四年組フェアを開催していたら『私の同人誌は売れなくなった! こんなイベントつぶしてやる!』という人が来ちゃった」みたいなものです。黒バス犯そっくりです。かなりやばいのです。

M事件というのは、1988年から凶悪事件が連続したもので、1989年に犯人検挙されました。その頃に大学生として同人誌(の意味も知らずに「同人誌」を詐称する個人誌)を発行していた人らしいので、現在では40代なのです。

それが20年間一度も「自分の努力不足のせいだった」と反省することなく、現代BLの源流とされている二十四年組作品を読んでみることもなく、売れなくなった「同人誌」のことばかり考えながら、他人に責任転嫁して生きてきたのです。

「同人やっていると、みんなこんなふうになってしまう」と思われてしまっては、当方としても困るのです。だから、この人だけがおかしいことを証明する必要が生じたのです。

【同人やらなきゃよかった】

なぜ「プロ作品は面白いですよ」という話が、私の同人誌が売れなくなった件にすり替わってしまうのか? 本人の中で何が起きたのか?

もともと「プロ作品と同人作品では作風が違う」という話なんですから、「プロはプロで面白いですよね。私はBLの多様性を応援します。プロも同人も頑張りましょう!」で済む話ですよね?

逆にいえば、この人は多様性を認めることができないのです。「プロをほめる人がいると、逆に同人が規制されちゃうわ」と思ってしまうのです。

「プロ作品は構成がしっかりしているし、少女キャラも活躍するマイルドなものだからいいけど、同人作品はエログロだから規制すべきですと言ってる奴がいる! また売れなくなったら困るじゃないの! 私の同人誌はM事件に続いたオタクバッシングのせいで売れなくなったのよ!」という具合に、勘違いに過去の記憶を接続しちゃったのです。

おそらく頭の回転がよすぎて、あさっての方向へ飛んでってしまうタイプです。女性には時々あるのです。脳梁が太くて左右脳の情報交換が盛んなのも良し悪しです。

そういうわけだから「エロを買いに来た少女が大勢いたんだよ!」なんて言うのです。だから規制しちゃダメよっていうわけですが、多けりゃいいってもんでもないです。それを言うなら「生撮り写真をほしがる客だって大勢いるぜ?」という話になってしまいます。

しかも、男性の注意を引きつけ、からかい・差別を増やす原因になってしまいます。すでに一部に「BLファンはエロが好きだからナンパしやすい」という偏見が生じていて、若い女性がつきまとわれたり、怪我させられるなどの被害を受けているそうです。

だからこそ、若い人は「BLはポルノだと思われたくない」とか「1980年代ふう過激路線にはついて行けない」とか言うのです。

当方は、もともとそういう人々に向けて「1970年代の純愛路線の良さを見直してみてください」という話をしていただけです。1980年代のことしか知らない人が先輩ぶって無用な証言をしてくれなくていいのです。

つまり、現代の同人・BLファンの動向には全く関心がない人なのです。言いたいことは自分の赤字の恨みだけです。

その陰には「Mさえいなければ私の同人誌は今でも売れていた。もっと楽な人生だった。こんな会社に勤める必要なかった」という現状への不満があります。

じつは、その底には「あのとき同人なんかやらなきゃよかった。もっと真面目に勉強しておけばよかった」という後悔があります。

だからこそ「いや、あのときの私の選択は間違っていなかった。だってよく売れたんだもん!」と、自己正当化したいのです。

そもそも、その動機があるから「プロばかりほめてる奴がいる! 同人のすごさを思い知らせてやる! 私の同人誌はよく売れたって自慢してやる!」というふうに、怒りの感情を捏造してしまうのです。

人間(とくに女性)の無意識が自己正当化のためにすばやく計算する能力って、すごいのです。

【なぜ後悔していると分かるのか】

他人のせいで売れなくなったということは、自分の実力不足のせいではなかった自信があるということです。

それが後悔していないなら、本当にM事件のせいで一旦売れなくなったとしても、ほとぼりが冷めた頃に活動再開したはずです。

地方で開催されていた小規模イベントが、オタクバッシング(犯罪者予備軍報道)によって開催されなくなったり、客足がにぶったりした可能性はあります。

けれども、中央のイベント(コミケ)は開催され続け、サブカル産業全体も成長を続けたわけですから、同人が活動再開したっていいのです。ペンネームを変更してもいいし、いわゆるジャンルを変更してもいいし、販路を通販・委託販売などに切り替えてもいいのです。

「同人は誰もキャラなんか好きじゃないよ! 最初から金目で利用してるだけだよ!」と証言するなら尚更です。

古い原稿を引っ張り出してきて、登場人物名だけ自分で考えたものに差し替えれば、「一次のほうが好き」という固定客がつくはずですし、出版社へも入稿できるはずです。印税契約を結ぶことができれば、増刷・アニメ化などのたびに収入を得ることができます。

なぜ、そうしないのですか? 「派遣になっちゃった」だの、「派遣切れになっちゃった」だのと愚痴を言うなら尚のこと、そうやって副収入を得ればいいじゃないですか?

山も落ちもなくていいんですよね? 二十四年組みたいに真面目に考えなくても、すぐ売れるんですよね? 即物的な描写を好む読者が大勢いるという自信があるんですよね?

もう、おカネがほしくないのですか? でも、少なくともゲイバーで夜遊びするカネが必要ですよね?

じつは「二度と同人なんかやるもんか。あのとき先輩の言うことを信じて始めなければよかった。だまされた」と思っているのです。

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Misha

Author:Misha
スマホ時代にさからう評論系長文ブログ。冷静に通読できる大人の読者様を想定しています。

「若い人」に直接呼びかける文章は、18歳以上のヤングアダルト対象です。高校生は受験を最優先してください。

書く人は、新旧とりまぜて映画とアニメを見ながら文芸書に取りくんでみたり、昔の漫画を思い出したり、お国の先行きを心配したりしております。

記事中の色つき文字は、映画中の台詞・挿入歌からの引用です。あらすじは、あまり申しませんので、楽しみに御覧ください。取り上げる作品は、暴力・エロスなど特殊な要素を含んでいることもあります。

ときおり、耽美・BL・同人・LGBTに言及します。いずれの分野からも、偏見と差別と自虐がなくなるといいと思っております。

「二次創作の責任を二十四年組に押しつけるな」「実在同性愛者に甘えるな」が基調です。

全体として、二十四年組ファンが社会学者に物申すという珍しい構図。一部勘違い同人を叱責することによって全体を守るという意図もあり、ときにかなり辛口です。

記事は時々予告なく手直し・削除・分割しております。保存は個人的閲覧の範囲で、お早めに御随意に。転載・改変利用は固くお断り申し上げます。

解題


Casketとは、玉手箱。

でも検索すると棺桶がならびます。来世まで持っていきたい好きな作品の記録帳とご理解ください。