「同人のくせに大手印刷所を使っちゃダメじゃないですか」の件。

  27, 2017 11:04
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「これは二次創作のくせに、プロ仕様の印刷所を使って箔押し三千部なんて派手な自費出版しちゃダメじゃないですか。著作権者に見つかったらどうするんですか。私たちみんな迷惑するんですよ」ってね。ありましたね。

一見すると現役が仲間の心配をしてやってるみたいです。でも告発者は早い段階で「いまの自分は出展していません」と断っていたのです。

ということは、著作権者によって差し止め請求が出されても本人は痛くもかゆくもないのです。ということは? 狙いは真逆です。

この件、最大の問題は「罠にかかっちゃった人が大勢いた」ことなのです。

【同人ムラの掟】

そもそも二次創作というのは、原作本の「自炊」ではなく、あくまで二次創作者自身が手がけた作品であって、二次創作者自身がタイトルを考えて付けるものです。

原作の題号をそのまま表示して「あの有名な何々の続篇」といって、嘘をついて売りさばいているのではありません。プロのペンネームを無断使用して宣伝に利用しているのでもありません。

その点では翻案権の侵害ではないし、著作者人格権の侵害でもないのです。

だから、もし本当に著作権者に見つかりたくないのであれば、その人自身が「これは二次創作じゃないですか」って言わなければいいのです。

タイトルも作者名も違う以上、他の作品との関連性・依拠性があるなんて、自分が言わなきゃ他人には分からないのです。

もし、うかつな若い人が「でも、これって二次創作ですよね?」って言っちゃったら、ベテランとしては「シーーッ。余計なこと言うもんじゃありません」って叱ればいいのです。これが本当のムラ意識。

【ムラの掟を利用した罠】

言わなければ分からないことをわざわざ言う人の隠し持った目的は、著作権者の注意を引きつけることです。

タイムラインを炎上させ、マスメディアの取材意欲を呼び込み、権利者サイドが「無視できない」と思うほどの世論を形成し、差し止め請求を出させることです。

すなわち、ジャンル壊滅

告発者自身は出展していないのですから、現役・ファンが何人泣かされてもいいのです。泣かされる人が多ければ多いほど、ひだりうちわで高みの見物できるのです。

【ムラの掟に詳しい自慢】

告発者自身は早い段階で「今では出展していない」と断っていたにもかかわらず、誰かが「こういうのは既得権益を守りたい(二次創作同人誌が売れなくなると困る)という現役同人のムラ意識による制裁だよ」と解説したのです。

じつはコメンテーター自身に「私は同人のムラ意識に詳しい」と自慢したい気持ちがあったから勘違いしたのです。

そしたら、多くの人がそれに引きずられて「同人怖い」という世論を形成しちゃったのでした。

厄介なのは、ベテラン同人の何人かがこれに引っかかっちゃったことで「その通り。同人というのは人気が出てもおとなしくしていなければならない。まったく今の若い者は口が軽くて困る。指摘してくれた人ありがとう」と、告発者を称賛する方向へ傾いちゃったのでした。

もちろん「自分は古い時代の同人の約束に詳しい」って自慢したかったからです。

【火消しコメントも良し悪し】

でも何人かは「話がおかしい」って気づきましたね。今の段階で騒ぐべきではないと強硬に主張した人もいました。

ただし厄介なのは「話がおかしい。騒ぐべきではない」と言えば言うほどコメント欄が伸びてしまい、注目を集めることになって、告発者の目的達成に手を貸してしまうことです。

もともと「著作権者に『こうなっては放置できない』と思わせること」が狙いなんですから。

実際には著作権者が動かなかったなら、復讐ごっこに手を貸さなかったということで、賢明な判断です。たんに原稿執筆に忙しくて知らなかっただけかもしれませんが。

【本当に怖いのは「もと同人」】

私の同人誌が売れなくなった。または最初から人気がなかったといって社会を恨み、楽しそうな現役を傷つけようとする「もと同人」という存在。黒バス犯も、その一人です。

1990年代以降は、アメリカ企業が日本企業を相手取って裁判を起こし、巨額の損害賠償金を請求することが相次ぎました。だから日本国内でも知的財産権という意識が飛躍的に高まったのです。だから、同人も真面目に著作権法を勉強したのです。

「引用」に当たるので違反ではないなんて言うようになったのがその結果です。二次創作という言い方も、誰かが「二次著作物」という法律用語を覚えたことによるのです。

逆にいえば、「大目に見てもらってる」なんて甘え意識を表明してしまうのは、1980年代組です。

一般論としても、1980年代組は、バブル時代に先輩から「楽に就職できた」という武勇伝を聞かされて、高校・大学在学中に遊んでしまい、無免許・無資格の徒手空拳でバブル崩壊に巻き込まれたので、いまだに「だまされた」という気持ちを持っており、社会を恨んでいることがあるのです。

とくに二次創作同人は(同人誌が売れなくなったという恨みには一般読者は関係ないので)同人仲間を恨むことがあります。私の同人誌を買ってくれなかったくせに、自分たちだけ生き残って楽しそうにしちゃって何さ、というわけです。

どんな犯罪とも同じように、世の中、ときどき変な人が出てきちゃうこと自体は(誰が急に変な人になるのか事前に特定できないので)予防がむずかしいですが、いざ炎上というとき、各自が冷静な人でありましょう。

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