記事一覧

そもそも、なぜ「同人」というのか? ~集団主義の功罪

もともとは本当に同人会の形態で活動していたからです。つまり複数の会員によって構成される団体。漫画家集団CLAMPは今でもその形を維持していますね。

典型的には中学・高校の同級生として知り合った人々が、部活動またはその延長の自主活動として、部室や自宅の一室に集まって、文章の清書(手書き)や、漫画原稿の消しゴムかけや、ベタ塗りを分担していたのです。

けれども、だんだん形骸化して、即売イベントへも個人的に参加する人が増えました。

「もともと大勢いた会員が卒業を機会に辞めちゃった」という場合は、残った人がそのままサークル代表として、イベント参加申込書にサークル名と自分自身の名前を書いて提出することになりますね。

それを見て、もともとどこの会員でもなかった人が自主参加することも増えたのです。

その際に「個人出展者」とか「自主参加」とは言わずに、ペンネームの他にサークル名を用意して登録したのです。一人ぼっちの同人会。実際にはどこの会にも属していない人が「同人」を称する。

ひらたく言うと、嘘をついたのです。これには利点と欠点があります。

利点は仲間意識。個人出展者がお互いに「私たちも同人よね」と認識し合うことによって、一体感が生まれ、その日のイベントが盛り上がる。約束事も守られやすい。

欠点は、他に対して特権意識を持ってしまいやすく、差別的・攻撃的になることです。

ことに現代のSNSでは、じつは一回も出展したことない人が奇妙な強気に駆られて一般人に厭味を言ったり、LGBTを差別したりするということがありますね。

【私物化と責任転嫁】

とくに女性は「弱者特権」という発想に依存しており、「女性向けは別」とか「大目に見てもらえる」とか「編集部がついてる」とか言ってしまいやすいのです。

影響を与えているのは、もちろんフェミニズムですから、そういう自称同人は、フェミのおばさんと編集のおじさんと「みんな同人」という集団意識によって、三重に守られているつもりです。

ちょうど、父母の庇護下に、子どもだけで遊んでいる構図です。

残念ながら「同人誌とはアニパロです」式の一般名詞の私物化は、やはり幼児性を表しているのです。店頭にあったものが気に入ったから持ち帰ってしまった、みたいな。

万引きの常習者が補導された時に言うことは? 「みんなやってる」ですね。「すぐに持っていけるような所に置いてある店が悪い」ですね。

私物化と責任転嫁。まことに残念ながら「日本のサブカル」クラスタの特徴でもあるのです。

同人と聞いただけで「それは二次創作BLを出展する人のことでしょ!? だったら私がいちばん詳しいわ!」と意気込んでしまう。同人誌と聞いただけで「やばい、やばいw」と騒ぎ始めてしまう。

本来は、俳句の会・書道の会・油絵の会・童話の会など、あらゆる同人会が使う単語ですのにね。

いっぽう、著作権問題は「同人の数が多すぎて、いちいち告訴しきれない」というのが一つのハードル(同人側から見ると防波堤)になっていますが、同人が自分から「売れた、売れた」と自慢してしまえば、その人だけがピンポイントで告訴される可能性は飛躍的に高まります。

その場合、ほかの同人が弁護側証人として法廷に立ってくれることは、まずありません。コミケ準備委員会も、イベント時に招集されるボランティアに過ぎませんから、会社代表として社員を守るために顧問弁護士を連れて駆けつけてくれるということはありません。

告訴され、損害賠償金を請求されるのは、あくまで個人事業者・自営業者としての同人です。覚悟はできていますか? 「みんなやってるから、たぶん大丈夫」と思っていますか?

当方は、その「みんな」という集団主義による甘え意識に歯止めをかけようとするものです。それによって、ほんとうに告訴・規制といった法的措置を受けることを防ぎ、同人活動・BL創作を長い目で守ることが最終目的です。

当方が同人・BLについていろいろ申しますのは、すべてその目的に沿っています。

【個人出展者がクレームに来た】

「私の仲間はみんな個人的に出展していたんだよ!? 一室に集まったんじゃなくて長電話で相談しながら一人で書いていたんだよ!? そんなことも知らないの!?」ってね。

だから、そういう「にわか」タイプの態度が悪いから、ここらで反省しましょうという話を最初からしているのです。

そもそも長電話で相談していた以上、個人の実力じゃありませんな。

それによる利益を独占したいから個人的に出展していたというなら、アイディアをくれたお友達に「あなたのお陰よ。ありがとう」と御礼していないということです。

そのお友達と今は連絡が取れなくなっていて、二次創作BLの話題で盛り上がれる相手がいなくて寂しいということであれば、それなりの結果が出たのです。

そもそも1980年代前半までの歴史を確認してるんだから「1990年頃の自慢話をしてあげましょうか!?」なんて自分勝手なお申し出は要らんです。

自分のフォロワーさんに向かって「私は同人やってました。著作権者に申し訳ないことをしたとは思っていません。これからもよろしくお願いします」って言えばいいです。

もし「どうせ私が同人やっていたのは昔の話だから、もう著作権問題も時効だしw」ということであれば、最初から自分だけ逃げるつもりで後輩たちの前に顔を出したということです。そんな先輩は要りません。

ことに最近は、2020年以降の会場を確保できなければ終わりです。

「みんなやってる」と言えば徹夜で行列しても墓石に落書きしても駅構内を走り回っても許されると思ってるイベント参加者60万人を迎えたい自治体などありません。

【復讐したい先輩】

もともと「みんな個人的に出展してるから私も大目に見てもらえるでしょ!?」という集団主義によって不適切言動が起きやすくなっているので、ほんとうに規制されないように気をつけましょうという話です。

当方がそのような意図を伝える力が弱かったのかもしれません。その反省は致します。(から、こう長々と書くことにしたのです)

だからといって、その人自身が二十年間一回も反省しなくてよかったということにはなりません。

四十五歳を過ぎても「女の子だから大目に見てもらえる」と思っている。いまだに「編集部が連絡をくれたからいいのよ」とか信じ込んでいる。

逆に考えれば、「みんな一緒」という集団主義を手放したくないのです。「私たち女の子は男性中心社会の被害者だから復讐する権利がある!」という意識を否定したくないのです。

「女の子」を自称することによって「まだ若い」という気分を味わいたいのです。

失われた若さと「自分がいちばん輝いていた時代の思い出話」と復讐にこだわり、歴史的事実を否定する「もと同人」という危険アカウント。

本人が露出を求めているなら模倣犯が生まれる可能性は高いです。とくに、バブル崩壊に巻き込まれた世代から再発する恐れは充分にあります。

もし、身近で発生例を発見したら、かぎりなく水に近い生温かい目で見守っておきましょう。(だいたい自滅します)

Related Entries

SEARCH

Profile & Caution

Misha

Author:Misha
スマホ時代にさからう評論系長文ブログ。冷静に通読できる大人の読者様を想定しています。

「若い人」に直接呼びかける文章は、18歳以上のヤングアダルト対象です。高校生は受験を最優先してください。

書く人は、新旧とりまぜて映画とアニメを見ながら文芸書に取りくんでみたり、昔の漫画を思い出したり、お国の先行きを心配したりしております。

記事中の色つき文字は、映画中の台詞・挿入歌からの引用です。あらすじは、あまり申しませんので、楽しみに御覧ください。取り上げる作品は、暴力・エロスなど特殊な要素を含んでいることもあります。

ときおり、耽美・BL・同人・LGBTに言及します。いずれの分野からも、偏見と差別と自虐がなくなるといいと思っております。

「二次創作の責任を二十四年組に押しつけるな」「実在同性愛者に甘えるな」が基調です。

全体として、二十四年組ファンが社会学者に物申すという珍しい構図。一部同人を叱責することによって全体を守るという意図もあり、ときにかなり辛口です。

記事は時々予告なく手直し・削除・分割しております。保存は個人的閲覧の範囲で、お早めに御随意に。転載・改変利用は固くお断り申し上げます。

解題


Casketとは、玉手箱。

でも検索すると棺桶がならびます。来世まで持っていきたい好きな作品の記録帳とご理解ください。