1961年5月、森一生『大菩薩峠 完結篇』大映京都

  10, 2017 11:01
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うたた寝の邪魔をする者は容赦せん。

製作:永田雅一 原作:中里介山 脚本:衣笠貞之助 音楽:塚原哲夫 撮影:本多省三 照明:中岡源権 美術:西岡善信

おなじ旅がらすの着流し素浪人でも、まがりなりにも正義感で動いてる狂四郎さんとはちょうど裏表な竜之助さんは、時々メンタルやられちゃうので剣豪もののわりにお話のトーンが暗いです。

でも三部作を三部観ないとこっちの寝覚めが悪いし。

大長編を端折って映像化してるので、波乱万丈すぎて構成の緊密度は低いです。基本的に女で人生間違えて、あてもなく流浪する身になっちゃった人なので、物語の先行き不透明感は残念なほど高いです。

それでも観る価値があるのは、雷蔵が剣を持つと、小道具であることが分かっていながら、その重みと切れ味が伝わってくるような凄みがあることです。音無しの構えも相変わらずカッコいいです。殺陣はたいへん美しい人だったと思います。

ある意味正しい方法で女性への復讐を貫いたわけで、気分のいい話じゃないんですが、逆にいえば「雷蔵は悪役もできるよ」ってところを見せたわけで、1931年8月生まれですから、まだ30歳の若さですけれども、重々しく、憎々しく、演じきっております。

結末はちゃんとつきますから、その点は安心して。タイトルが「菩薩」ですから仏道の教えを重要なモチーフにしたのは良い選択だったと思います。終盤は不意にスペクタクル。やっぱり大映はすごかった。

それにつけても「私も~~」って便乗したがる女って、めんどくさいなぁ……。

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