1963年1月、山田達雄『テレビ指定席 海の畑』NHK

  10, 2017 11:04
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ここが海だったことを、よく憶えておくんだぞ。

脚本:寺島アキ子 撮影:金子二市 照明:宮沢忠衛 録音:尾鷲秀雄 編集:萩原光 美術:賀喜寛 効果:桜井芳男 作曲:斉藤一郎

国営放送の良心。東京オリンピック成功の陰で、日本が失ってきたもの。アラカンNHKドラマ初出演。老優渾身の洋上撮影。

モノクロ、標準サイズ。ジェット旅客機が飛ぶ時代。東京、大森。美貌の名残に誠実さをにじませたアラカンが一本気な主人公。息子二人の助演ぶりがたいへんいいです。また、はやばやと時代に乗って転業する昔の仲間を卑俗な味つけにして対比させております。

はしけを操り、支柱を立て、網を張る海苔作り。たいへん貴重な記録です。今となっては町並みや空港の様子も貴重な史料です。

すでに若者は「大学へ行かないと就職口がない」というご時世だったようです。大学へ行った若者たちはジグザグったり流れ解散したりしていたわけですが。

脚本は女性には珍しくドライなタッチで、たいへんいいです。カメラは小津調だったり溝口調だったり、いろいろやってますが若干ぎこちないです。空港と艀の並ぶ海を同じ構図で重ねたのはいいですね。

おなじ頃に撮影されていた任侠映画の中には、昭和十年代という設定で海辺の町を舞台にしたものもありましたが、あの風景が、まだ1960年代の観客にとっては地続きで、ひじょうに感情移入しやすいものだったであろうことも分かります。

DVDとしては2007年のもので「今も70軒の海苔問屋があります」との解説が収録されております。爾来十年。

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