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研究者の怠慢と、出版人の裏切り。

当ブログにおけるBL論は「1970年代に発表された二十四年組などの有名プロ作品を精読したところ、いわゆる二次創作BLとは直接の関連性がないことが分かった」というものです。

関連性がないにもかかわらず、両者がおなじ隠語で呼ばれることによって混同され、プロまで作品を公開するにあたって自虐していたという冤罪が着せられていることを憂慮し、そのような先入観に基づく社会学研究は間違いであると指摘するものです。

したがって、あくまで作品鑑賞記・作品批評の一環です。誰でもアクセス可能な市販作品という証拠に基づく公正な社会批判・研究批判と自負しております。

また、同人論は、若い同人が中年同人の優越意識によって差別され、創作の自由を奪われているという被害報告にかんがみ、すべての創作同人の自由・平等・博愛を訴えるものです。

論述の途中で、奇妙な被害者意識を持った人物が、前後に矛盾したクレームを連投して来たことにより、その意図と人間性を探ることに言を費やしましたので、少々、紆余曲折しております。

根本的な意図は、まさにそのような中年の勘違いから、プロと若い人々を守ることです。

【研究者の怠慢】

プロは自虐していません。プロ作品は文学賞・漫画賞などの栄誉を与えられ、それを受納しています。プロ創作家は「どうせ下手ですから恥ずかしいので読まないでください」などと言ったことはありません。

それを言うくらいならやめちまえばいいということを分かっているのがプロです。

当方の指摘は、プロの作品発表にオンタイムで付き合った購読者なら全員が首肯できることです。

連載誌・単行本の帯・販促フライヤーなど、当時のあらゆる宣伝媒体によって、プロが自虐していなかったことを確認できます。市販されたものですから、誰でもアクセス可能です。

それを確認せずに、社会学などの研究者が自らの先入観に基づいて、当て推量で議論し、プロ創作家たちに不名誉を与えたならば、研究者として、絶対にしてはならないことをしたのです。

【出版人の裏切り】

「コツコツとオリジナル作品を仕上げて堂々と市販したプロよりも、自虐しながら他人のキャラクターを無断利用する私たちのほうが売れている」

とぬかす二次創作BL同人を、少年向け市販漫画雑誌の編集者が甘やかし、便宜を図ってやっていたというなら、出版人が出版業そのものを裏切ったのです。

オリジナル作品を完成させる努力をあざけったのです。

自分の会社が発行しているオリジナル漫画さえ売れればいいという計算で、出版人なら絶対にしてはならないことをしたのです。

いっぽう、二十四年組を担当した編集者や『JUNE』の編集部員だった人々は、自分が手がけた単行本の帯に「やおい時代劇」などという文言を印刷させたことはなかったことを証言できるはずです。

それをせずに済ませたのであれば、彼らは女流に責任をなすりつけて逃げたのです。

1970年代以来、時代の最先端のようにもてはやされていたプロ作品が、1990年代に入ると、二次創作BL同人活動の元凶のように思われて、バッシングされたからですね。

ここで「女性の編集者もいるんですよ!」と言うなら、女の編集者まで女の作家に責任をなすりつけて逃げたという話になってしまうだけです。

【旧作を紹介する意図】

そもそも旧作に言及する意図は、二十四年組と呼ばれるヴェテラン漫画家と、彼女たちにも影響を与えたと思われる森茉莉作品の価値を正しく紹介し、その存在さえ知らなかった現代の若い創作家・読者を励ますことにあります。

なぜなら、彼女たちはすでに同人活動・BL創作および鑑賞に関する偏見によって、深く傷つけられているからです。

彼女たちは、偏見を持った一般男性によって怪我をさせられているばかりでなく、先輩ぶった中年女性から「私のように書かなければいけない、そうしないと売れない」などと口出しされ、嘲笑されることに倦み疲れています。

だから、偏見の発生した1980年代よりも古いものの価値を再発見しようと呼びかけるものです。ご賛同頂ければ幸いです。

同人活動経験者の中には、若い人々の活躍に嫉妬し、若い人々の声を否定したり、差別したりする者もおりますが、30年前の自慢話・暴露話の意図が若い人々を傷つけるだけのことであるならば、許しません。

叱咤激励と侮辱はちがうのです。自分一人がいい気分になるための昔話は要りません。

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Misha

Author:Misha
スマホ時代にさからう評論系長文ブログ。冷静に通読できる大人の読者様を想定しています。

「若い人」に直接呼びかける文章は、18歳以上のヤングアダルト対象です。高校生は受験を最優先してください。

書く人は、新旧とりまぜて映画とアニメを見ながら文芸書に取りくんでみたり、昔の漫画を思い出したり、お国の先行きを心配したりしております。

記事中の色つき文字は、映画中の台詞・挿入歌からの引用です。あらすじは、あまり申しませんので、楽しみに御覧ください。取り上げる作品は、暴力・エロスなど特殊な要素を含んでいることもあります。

ときおり、耽美・BL・同人・LGBTに言及します。いずれの分野からも、偏見と差別と自虐がなくなるといいと思っております。

「二次創作の責任を二十四年組に押しつけるな」「実在同性愛者に甘えるな」が基調です。

全体として、二十四年組ファンが社会学者に物申すという珍しい構図。一部同人を叱責することによって全体を守るという意図もあり、ときにかなり辛口です。

記事は時々予告なく手直し・削除・分割しております。保存は個人的閲覧の範囲で、お早めに御随意に。転載・改変利用は固くお断り申し上げます。

解題


Casketとは、玉手箱。

でも検索すると棺桶がならびます。来世まで持っていきたい好きな作品の記録帳とご理解ください。