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独身フェミニストが夢見た、新たな階級差別社会。

『リボンの騎士』というのは、少女向け読みものに少年向け同様の冒険活劇の要素を取り入れたものですが、それはもともと女性がハムレットを演じるという少女歌劇で行われていたことですね。

まだ少女向け長篇漫画が盛んではなかった1940年代に若い女性が白タイツ着用でハムレットを演じる姿は、映画『破れ太鼓』(1949年12月、木下恵介)に示されています。微笑ましいです。

そういう少女歌劇の観客というのは、貸本漫画とはちがって、硬貨をにぎりしめた小学生ということはありませんね。盛装した成人男女が基本です。

とすると、手塚漫画は実際の舞台鑑賞にはなかなかつれて行ってもらえない学童、とくに農村部(に近い小都市)の女児を都会的なおとなの娯楽の世界に案内したと言えるでしょう。

もともと中原淳一などが描く最新ファッションも、多くの読者にとって「明日銀座へ行って、こういうワンピースを作らせましょう」というものではなかったですね。絵で見て憧れるだけです。外国ってカッコいいなぁ、都会って行ってみたいなぁって。

つまり、少女向けの娯楽には、少女にひと足早くおとなの世界の楽しみをバーチャル体験させてやるという要素があったのです。

で、こっからBLの話。

その初期作品と目される二十四年組的美少年漫画は、描いた人自身は成人していました。その原稿を見た男性編集長たちが「作者と同世代の女性向けの新しい雑誌を創刊する必要がある」とは判断せずに、既存の少女向け雑誌上で公開することを決めたのです。

それは、成人男性によって「子どもに読ませるもの」と判断されたのです。

読者側では、その面白さが分かるようになったことを「目覚めた」と表現することがありますね。とすれば目覚めない少女もいたわけです。

で、そのようなプロ作品とアマチュアによる(今でいう)二次創作を混同していたフェミニストたちが「やおいは私たちのものです!」と言っていたなら、彼女たちは自分を「目覚めた少女だ」と思っていたわけです。

そして彼女たちが「男性中心社会は横暴だから、もう結婚・出産してやらない」と、ストライキを決行していたならば、彼女たちの老後を支えるのは誰でしょうか?

結婚した女性が産んだ子どもたちです。

未婚の母でも産むことはできますが、ともかく男性を受け入れ、産むことを承知した人々の子どもたちです。

とすれば、独身フェミの世界観はこうです。今でいうBLの面白さに目覚め、かつ結婚しない女性は、BLの面白さに目覚めず、フェミニズム運動に合流せず、黙って結婚・出産した女性たちの家庭内労働によって、老後の人生を保障されるのです。

ここにあるのは「BLに目覚めた女性中心の新たな階級構造」です。

BLに目覚めなかった女性たちのシャドウワークに支えられる、新たな特権階級の創出です。

弱者特権によって男性の抵抗と批判を封じ、男性総合職を退職に追い込んで、BLに目覚めた独身女性が支配者となった社会。

1995年頃まで、その差別性に気づかずに、真顔でユートピアと信じて主張することができたのです。

それが「負け犬」と名づけられて、価値観が逆転したのは、十年後くらいでしたろうか。

【ゲイは協力できません】

独身BLファン女性を頂点として組織し直された階級社会。新世界の神になりたいタイプ。その実現のためにゲイを協力させようとしても、彼らは結婚したい人々です。

彼らが結婚できないのは、女性を含むストレート社会が彼らの結婚を禁止しているからです。総人口の過半数を占める女性が彼らの自由を奪っているからです。彼らは好きこのんで独身を維持しているわけではありません。育児を望む人々もいます。

もしかしたら、身寄りをなくした親戚の子を引き取るなどの方法で、すでに実現しているご家庭もあるかもしれません。

彼らにとって、彼らの要望を無視し、人権を傷つけながら、「私だけ自由に生きたいの~~」という女性は、遠い存在でしかありません。

【目覚めによる差別は無用です】

ほんとうは、目覚めるも何も、少女向け雑誌に少女漫画と美少年漫画が両方載っている時代が長かったのですから、1975年以前に出生した多子世代の多くが、両方読んだのです。

その絵柄が少女漫画的だから、少女漫画の一種だと思って、しょせんお話だと思って、なにげなく少女漫画に続けて読んだのです。『美少女戦士セーラームーン』(1992年連載・放映開始、武内直子)にそれっぽい美青年が出て来ることを知ってる人だって大勢いるのです。

だからって同人活動しようとも思わずに、ふつうに(いろいろな意味で)おとなになったのです。「漫画と現実の区別ができずに新宿二丁目へ行ってみるという人の気が知れない」と思っているのです。

わざわざ行ってみちゃう人の自称が「人権運動家」だろうが「フェミニスト」だろうが「ノンセク」だろうが同じことです。赤の他人に失礼な質問をしたという話を聞けば「いい歳してなに考えてんの」と思うだけです。

そんなもん、女性の表現の自由じゃないです。おなじ女性として恥ずかしいだけです。うちの娘をそんなふうにはしたくないと思うだけです。圧倒的にそういう人のほうが多いのです。

残念ながら「私は目覚めた。私は特別な女性だ」と言わなければならない人には劣等感があります。

それによって、やっぱりBL同人は女性として自信がないという偏見が強まり、若い女性へのからかいが増えるので、残念ながら中年の不幸自慢は若い人の迷惑なのです。

百歩譲って夜遊びに行ってもいいですが、黙っててほしいのです。(一般論としても夜遊び自慢なんかしなくていいです)

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Misha

Author:Misha
スマホ時代にさからう評論系長文ブログ。冷静に通読できる大人の読者様を想定しています。

「若い人」に直接呼びかける文章は、18歳以上のヤングアダルト対象です。高校生は受験を最優先してください。

書く人は、新旧とりまぜて映画とアニメを見ながら文芸書に取りくんでみたり、昔の漫画を思い出したり、お国の先行きを心配したりしております。

記事中の色つき文字は、映画中の台詞・挿入歌からの引用です。あらすじは、あまり申しませんので、楽しみに御覧ください。取り上げる作品は、暴力・エロスなど特殊な要素を含んでいることもあります。

ときおり、耽美・BL・同人・LGBTに言及します。いずれの分野からも、偏見と差別と自虐がなくなるといいと思っております。

「二次創作の責任を二十四年組に押しつけるな」「実在同性愛者に甘えるな」が基調です。

全体として、二十四年組ファンが社会学者に物申すという珍しい構図。一部同人を叱責することによって全体を守るという意図もあり、ときにかなり辛口です。

記事は時々予告なく手直し・削除・分割しております。保存は個人的閲覧の範囲で、お早めに御随意に。転載・改変利用は固くお断り申し上げます。

解題


Casketとは、玉手箱。

でも検索すると棺桶がならびます。来世まで持っていきたい好きな作品の記録帳とご理解ください。