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1981年1月、蔵原惟繕・深作欣二『青春の門』東映京都

バカも利口も命は一つたい。

原作:五木寛之(講談社刊「青春の門」筑豊篇より) 脚本:野上龍雄 撮影:仲沢半次郎・中島徹 照明:増田悦章・海地栄 美術:井川徳道・内田欣也・小林勝美 音楽:山崎ハコ 編曲:石田勝範 

お久しぶりの東映映画。親父は戦前のヒーローだった。戦後のぼくらはとっても小さい。

でも、心意気だけは受け継いだ。

美しい義母。やや野暮ったいながらも愛らしい幼馴染。都会的な女教師。男のロマンここにあり。

というお話ですから、じゃっかん性春要素もございます。1980年代らしい映画作りです。いろいろな意味で、もう撮影できないかもしれません。

前半は、ものすごい顔合わせで筑豊の男の侠気と、俳優たちの役者魂と、蔵原・深作の映画魂を拝見できます。脚本の野上節も冴え渡ります。

こいつらには言ってやっても無駄って気もしますが、模型特撮とスタントを使ってもいいんですよ……。

まずは冒頭から圧倒的な山岳美・映像美が続きます。松竹の新しい秘蔵っ子は松坂慶子。美人女優の体当たりぶりの度胸のよさと演技力の確かさを観る映画と言ってもいいです。子役もたいへんいい顔です。若干うらやましいです。

体格がよいので画面の中央で観客の目線を集めて離さない富三郎が持ってる「間」は、大映時代には芝居っけがあり過ぎて鼻につく感じでしたが、本人が歳を取ったらたいへん効果的になりましたね。文太兄ィはいつ見ても非の打ちどころのない人でした。そして待ってました、日本の侠客。(いや納屋頭)

鶴田は体の大きくない人で、喧嘩に強そうにも見えないのに、すごい親分に見えるところが不思議です。「爆弾つねじゃ!」という台詞を脳裏に響かせつつ、特別出演にばかり気を取られずに……

後半は昭和二十年代をフルカラーで丁寧に再現しているので、モノクロ映画で観た時代へタイムマシンで来たみたいな不思議な感じです。先生役はちょっと演技力が残念な感じです。天才子役・杉田かおるの本物ぶりがよく分かります。

なお、撮影には「古き二輪を愛でる会」が協力しており、美しい車体を拝見できます。ピッカピカです。ラストシーンは、映画史上でも珍しいくらい印象的な構図・雰囲気。


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Misha

Author:Misha
スマホ時代にさからう評論系長文ブログ。冷静に通読できる大人の読者様を想定しています。

「若い人」に直接呼びかける文章は、18歳以上のヤングアダルト対象です。高校生は受験を最優先してください。

書く人は、新旧とりまぜて映画とアニメを見ながら文芸書に取りくんでみたり、昔の漫画を思い出したり、お国の先行きを心配したりしております。

記事中の色つき文字は、映画中の台詞・挿入歌からの引用です。あらすじは、あまり申しませんので、楽しみに御覧ください。取り上げる作品は、暴力・エロスなど特殊な要素を含んでいることもあります。

ときおり、耽美・BL・同人・LGBTに言及します。いずれの分野からも、偏見と差別と自虐がなくなるといいと思っております。

「二次創作の責任を二十四年組に押しつけるな」「実在同性愛者に甘えるな」が基調です。

全体として、二十四年組ファンが社会学者に物申すという珍しい構図。一部同人を叱責することによって全体を守るという意図もあり、ときにかなり辛口です。

記事は時々予告なく手直し・削除・分割しております。保存は個人的閲覧の範囲で、お早めに御随意に。転載・改変利用は固くお断り申し上げます。

解題


Casketとは、玉手箱。

でも検索すると棺桶がならびます。来世まで持っていきたい好きな作品の記録帳とご理解ください。