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LGBTは、親のせいだと思われると困るのです。

「BLファンというのは、女性キャラクターに感情移入できないから、男性キャラクターに感情移入している」という定義があります。明らかに短絡ですね。いったい何人からアンケート結果を回収した上で言ってるんだ? って話です。

社会科学も科学です。科学者が数字(証拠)に基づかずに当てずっぽうで議論していたなら、そのこと自体が問題なはずです。

1994年以降なら、すでにゲイコミュニティから「女性が書いたものに男同士は異常だという台詞が含まれているが、我々に対して失礼である」という苦情が来ていたわけです。

ほんとうに感情移入しているなら、彼らの意見に賛成で、自分では「異常だ」とは書かないはずです。女性が「女性の社会進出は異常だ」という台詞を読んだら激怒するであろうように、当事者意識があれば、異常という偏見は許しがたいはずです。

「旧来の搾取-被搾取という男女関係に甘んじ、娘をも男性好みの良妻賢母に育てようとする母親に感情移入できない少女が、社会の再生産(生殖)の義務にとらわれない男同士の自由な恋愛に感情移入し、同性愛の男になりたがっている」

この理屈で1980年代を通して来た人々にとって「実際の読者はまったく同性愛者に感情移入しておらず、差別する対象として面白がっているだけで、面と向かって侮辱している」という報告は、衝撃的だったはずです。

理論と現実の整合性を取るためには、理論の全面的見直しが必要です。

「そのような少女には強固な女性自認があるので、男の同性愛者には感情移入しないが、なぜかBLだけは読めてしまうのである」ってね。

当方の同人・BL論の大きな目的の一つは「同人自身の意識をフェミニズム批評から解放すること」です。フェミニズムによるBL解説の間抜けっぷりを示し、そんなもん信じる必要はないということです。それによって「同人がフェミニズム批評に頼ることもできない」と示すことです。

「同人はフェミとは別よ」とか「BLはジェンダー論ではない」とかいうなら、自分の言動に自分で責任持ちましょう。フェミは守ってくれません。

いつまでも「女性向けは別」ではありません。「ガールズトークに男が首つっこんじゃダメよ」ではありません。女性が差別意識を共有し、面白がっていることが分かったなら、実在の性的少数者がクレームして来るのは当たり前です。

あなたは彼らに対して自己の権利をなんといって証明しますか?

「だって私は女の子だからむずかしいこと分かんない」といって逃げようとするなら、それがフェミニズムです。女と言えば許されると思っているのが女性中心主義です。

それは、ゲイの敵です。

【ここから本題】

LGBTは「親の育て方のせいでホモになった」または「子どもが自分を異性だと思い込むようになってしまった」と思われると困るのです。

「トラウマを克服させてやればホモが治る」という矯正論に通じて行くからです。保護という名目で逮捕することが可能になってしまいます。

また、青少年が「自分はLGBTである」と申告した場合、まだ実際の性的体験がないと考えることができますから、いまのうちに親を呼んで、よくカウンセリングすれば、子どもが変態になるのを防ぐことができるという発想になってしまいます。

「親のせいで何々になった」という責任転嫁は、それが悪い状態であるという価値判断を含んでいます。

自分自身が「結婚するべきだ」と思い込んでいる人は、私が結婚できないのは親のせいだと言い訳したくなるのです。もともと自分自身の価値観の問題なのです。

まして「結婚しないと同級生に負ける」という競争意識であれば、ひとえに自分自身の競争的ライフスタイルの問題ということになります。

ようするに、本人がそういう発想をやめりゃいいだけのことで、LGBTは関係ありません。

したがって「親のせいで結婚できなくなった」と言い訳したいストレートが、LGBTと「弱者の連帯」したがることは、LGBTにとって有害無益です。

ただし、ほんとうに虐待被害によって性行為が怖い・きもち悪いということはあり得ます。じつは、LGBTの中にもそういう人がいるはずです。

だから「虐待被害によって性行為できなくなった人の会」(という名前でなくてもいいです)を結成し、政府に対し、一般社会に対し、差別しないでほしいという訴えを起こし、マスメディアをも動かして、おおきな勢力になったという時……

LGBTコミュニティのほうから「一緒にパレードしましょう」と言って来たら、協力すればいいです。

その際に「ところであんた達は男同士でどうやって性交するの?」と質問してはいけません。

本来、性的話題が苦手という人であれば、男性の同性愛の話題にも興味ないはずです。男性の性欲が無力な男性に向かうと考えただけで「やめてあげて」とか「可哀想」とか「ぜったい許せない」と思うはずです。

ノンセクシュアルとBL趣味が決定的にちがうポイントが、ここです。

男性の性欲が無力な男性に向かうと考えただけで「エロい」だの「萌える」だの「カネもうけになる」だのといって興奮し、お目々キラキラさせることができる人は、ノンセクシュアルを自称することはできません。

口先で言うことはできるんですけれども、他のノンセクシュアルさんのご迷惑なので、言わないほうがいいです。

くりかえしますが、ゲイ・レズビアンの中にもノンセクシュアルは存在します。同性志向だけれども実際の性的行為が怖いという人は必ずいます。彼(女)らは「ストレートが異性の同性愛を面白がり、やたらと質問したがる」という現象を、ひじょうに失礼だと感じているはずです。

「私、ノンセクなんですけど~~」と言いながらゲイバーに行きたがる人は、気をつけましょう。

ストレートがゲイバーを利用することは、たんに自分自身の娯楽のためにゲイコミュニティを利用することであって、弱者の連帯ではありません。お客さまは神様という立場を利用して、職場の愚痴を聞いてもらおうとすることは、飲食店における強者-弱者の関係であって、弱者の連帯ではありません。

「おカネを払えばいいんでしょ」という発想と、「カネもうけになるからいいじゃん」という二次創作の言い訳は、根っこが同じです。

拝金主義とフェミニズム批評。1980年代の武器を今さら持ち出して、個人的にゲイバーに突入するよりも、自分のための人権団体を組織するのが先です。女のくせに男の同性愛を話題にしたいだけだったら、同人誌即売会へ戻りましょう。

なお、同人誌即売会(女の日)も、二次創作BLオンリーとは限りませんので、自分が二次創作BL同人活動の経験があるからといって、えらそうにするものではありません。

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Misha

Author:Misha
スマホ時代にさからう評論系長文ブログ。冷静に通読できる大人の読者様を想定しています。

「若い人」に直接呼びかける文章は、18歳以上のヤングアダルト対象です。高校生は受験を最優先してください。

書く人は、新旧とりまぜて映画とアニメを見ながら文芸書に取りくんでみたり、昔の漫画を思い出したり、お国の先行きを心配したりしております。

記事中の色つき文字は、映画中の台詞・挿入歌からの引用です。あらすじは、あまり申しませんので、楽しみに御覧ください。取り上げる作品は、暴力・エロスなど特殊な要素を含んでいることもあります。

ときおり、耽美・BL・同人・LGBTに言及します。いずれの分野からも、偏見と差別と自虐がなくなるといいと思っております。

「二次創作の責任を二十四年組に押しつけるな」「実在同性愛者に甘えるな」が基調です。

全体として、二十四年組ファンが社会学者に物申すという珍しい構図。一部勘違い同人を叱責することによって全体を守るという意図もあり、ときにかなり辛口です。

記事は時々予告なく手直し・削除・分割しております。保存は個人的閲覧の範囲で、お早めに御随意に。転載・改変利用は固くお断り申し上げます。

解題


Casketとは、玉手箱。

でも検索すると棺桶がならびます。来世まで持っていきたい好きな作品の記録帳とご理解ください。