記事一覧

【結婚は男性にとってこそ最高の価値】

ストレート男性が、悪者を退治し、財宝を得るなどして社会的に成功し、美女をゲットして、うだつを上げる。

うだつを上げるとは、男性が大きな家を建てて独り暮らしすることではなく、その屋根の下には嫁さんと子供と大勢の使用人と、社会が許せば妾もいるという状況が想定されている。

じつは、異性と結婚し、子孫を残すことが最高の価値観であるのは、ストレート男性にとってである。

進化の過程をどうさかのぼっても、これがストレート男性(雄性)の本能であることは疑いない。

そして人間の雄性が描く創作物の多くが、つまり彼らの自画自賛である。誰しも生きるにあたって自尊心は大切であり、自己愛は結構なことだ。

【逆転劇】

で、これを前提にすると、「女性が成功する」「ストレート男性ではない男性が成功する」という二つの逆転劇は、かならず生まれてくる。

一世を風靡したオスカル・フランソワにも、一読して「女が指揮官? ふざけるな」という読者がいたかもしれない。

男性と人生のペアを成す男性が、たとえば運動部の主将であるとか、一軍の指揮官であるなどという話も「ありえねーー!」という反応が、じゅうぶん考えられる。

だからこその逆転劇だ。

これが二丁目住人によって描かれ、世間の喝采を浴びていれば、問題はなかった。

【自由な男たちと、もっと自由な女性】

男装の麗人は、発表の時点で、すでに「不道徳」などとは言われなかった。少女歌劇には長い歴史があり、戦前の婦人参政権運動家も男装したのだった。

男装した女性の活躍物語が成功した後で、現実の男性カップルが動き出せない内に始まってしまったのは、女性の自尊心の補強としての、架空の男性カップル物語だった。

ストレート男性が「ゲイの社会参加は認めるが、女は認めん」と言うか、ゲイ自身が女性差別しない限り、女性は「男同士が自由な社会は、女性も自由だ」と夢見ることができる。

したがって、「一軍を指揮する男性カップルと、その横でもっと自由な女性」という構図は、女のロマンたり得る。

すなわち、「女人禁制」と言わずに寝室まで公開してくれる戦士たちと、彼らを鑑賞する女性という構図だ……

そして、女のロマンが金に替えられることは、経営者たる男のロマンたり得る。

少女マンガ編集者の中にゲイはいなかったとは言わないが、おおむねストレート男女の協力体制によって生まれてきたのが、ボーイズラブという表現カテゴリだ。

【ブロークバック・マウンテン】

先に女性が(部分的ではあっても)自由を得たのだから、本当は「女性が自由な社会は、ゲイも自由だ」というふうに話が進んでいけば良かった。

アメリカのゲイは『ブロークバック・マウンテン』という作品を「女のくせに、こんなもの書きやがって」とは言わなかった。映画版を、長いこと彼らが選ぶ映画ランキングの1位に置き続けた。

そして、あの映画の商業的成功以後、マッチョの牙城だった全米各地で、同性婚を容認する法案の成立が増えたのは間違いない。

少数派である彼らだけでは、絶対に多数決に勝てない。したがって、マジョリティ票が動いたことになる。そのかなりの部分が、女性票だったろう。

日本は出だしで蹴っつまづいたので、残念だった。


Related Entries

SEARCH

Profile & Caution

Misha

Author:Misha
スマホ時代にさからう評論系長文ブログ。冷静に通読できる大人の読者様を想定しています。

「若い人」に直接呼びかける文章は、18歳以上のヤングアダルト対象です。高校生は受験を最優先してください。

書く人は、新旧とりまぜて映画とアニメを見ながら文芸書に取りくんでみたり、昔の漫画を思い出したり、お国の先行きを心配したりしております。

記事中の色つき文字は、映画中の台詞・挿入歌からの引用です。あらすじは、あまり申しませんので、楽しみに御覧ください。取り上げる作品は、暴力・エロスなど特殊な要素を含んでいることもあります。

ときおり、耽美・BL・同人・LGBTに言及します。いずれの分野からも、偏見と差別と自虐がなくなるといいと思っております。

「二次創作の責任を二十四年組に押しつけるな」「実在同性愛者に甘えるな」が基調です。

全体として、二十四年組ファンが社会学者に物申すという珍しい構図。一部勘違い同人を叱責することによって全体を守るという意図もあり、ときにかなり辛口です。

記事は時々予告なく手直し・削除・分割しております。保存は個人的閲覧の範囲で、お早めに御随意に。転載・改変利用は固くお断り申し上げます。

解題


Casketとは、玉手箱。

でも検索すると棺桶がならびます。来世まで持っていきたい好きな作品の記録帳とご理解ください。