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低年齢化は氷山の一角。

たとえば、女性の売春を美化した遊女・花魁という存在が登場するから、能楽・歌舞伎を上演禁止にすべきだろうか。

かつての僧院における稚児趣味・お大尽の若衆遊びなどというものの実態は、ほめられたものではなかった。稚児たち自身がひじょうにいやがっていたという話もある。(当時だって戒める声はあった)

では、現代において、すでに寺院における喝食、日本橋の陰間宿などというものが実在しない前提で、「眉を抜き、紅をさした稚児」「なさけ深い若衆」といった文章に接した際の情緒を味わうという嗜好は、法律で禁止されるべきものだろうか。

もちろん反語だ。

「三島由紀夫が『仮面の告白』『禁色』を発表した、1940年代後半から1950年代、わたくしは当時まだ人数の少なかった女子学生で、マルクス主義を研究する傍ら、ドイツ文学に親しんでいた。鴎外の『ヴィタ・セクスアリス』も愛読していた。三島の真似をして、薔薇の花束を持って、丸山明宏氏の歌う銀座の店へ行ってみたいと思ったが、自由になる金額が少なく、果たさなかった」

という人がいれば、いま80歳代。

「1960年代、わたくしはフランス文学を専攻する女子学生で、森茉莉の作品が文学賞を受賞したと聞いたので、読んでみた。それ以来、美しい男性たちというイメージには、ひそかに憧れている。池畑慎之介氏の舞台へは、かかさず通っている」

という人がいれば、いま70歳代。

それぞれ、1970年代には、40代、30代だった。

白洲正子の著作には、能楽の創始者の青春時代のエピソードや、北面の武士と白河院の人間関係に関する逸話が登場する。べつに言わなくてもいいような文脈だとも思う。

その話題に接して、どのような感想を抱くにせよ、女性の身で、その話題に触れずにはいられない衝動・文芸ファンの間にひそかに流れる了解のようなものが、あったように思う。

竹宮恵子と編集者が起こしたことは、おとなの間のひそかな了解・嗜みだったものの、低年齢化だ。

寺山修司は、『風と木の詩』が発表された1976年には、41歳だった。

横溝正史『犬神家の一族』は1951年、手塚治虫『鉄腕アトム』連載開始は1952年、『リボンの騎士』は1953年だ。いずれが最も人気だっただろうか。

1950年代に、すでに10代後半に達していた人は、もっぱら文芸に親しんで、漫画を読む経験をまったくしていなかったかもしれない。

いま、2014年だから、寺山と同じ1935年生まれの人は、79歳だ。彼らは、マンガ世代とは見なされていない。

1970年代後半、寺山と同じ40代の女性として、もっぱら詩作と文芸に傾倒していた人が、寺山が絶賛したというので、珍しく少女漫画を読んでみて「あらあら、最近は若い人がこんなものを描くようになったのねェ……」と思ったかもしれない。

低年齢化した後に、その一部が男性の描いた官能作品を参考に、より大胆な描写へ向けて舵を切ったのは、現象の氷山の一角に過ぎない。


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Misha

Author:Misha
スマホ時代にさからう評論系長文ブログ。冷静に通読できる大人の読者様を想定しています。

「若い人」に直接呼びかける文章は、18歳以上のヤングアダルト対象です。高校生は受験を最優先してください。

書く人は、新旧とりまぜて映画とアニメを見ながら文芸書に取りくんでみたり、昔の漫画を思い出したり、お国の先行きを心配したりしております。

記事中の色つき文字は、映画中の台詞・挿入歌からの引用です。あらすじは、あまり申しませんので、楽しみに御覧ください。取り上げる作品は、暴力・エロスなど特殊な要素を含んでいることもあります。

ときおり、耽美・BL・同人・LGBTに言及します。いずれの分野からも、偏見と差別と自虐がなくなるといいと思っております。

「二次創作の責任を二十四年組に押しつけるな」「実在同性愛者に甘えるな」が基調です。

全体として、二十四年組ファンが社会学者に物申すという珍しい構図。一部勘違い同人を叱責することによって全体を守るという意図もあり、ときにかなり辛口です。

記事は時々予告なく手直し・削除・分割しております。保存は個人的閲覧の範囲で、お早めに御随意に。転載・改変利用は固くお断り申し上げます。

解題


Casketとは、玉手箱。

でも検索すると棺桶がならびます。来世まで持っていきたい好きな作品の記録帳とご理解ください。