記事一覧

日本を沈めた人でも他人の性を分かるとか分からないとか言っちゃいけない。

日本を沈めた小松左京さんの全集に、性文化に関する対談を収録した巻があって、その中に「ヘルマン・ヘッセのようなロマンティーカーには、美童趣味が認められる」とあったので、「ああ、やっぱりそのへんから始まってるよな」と思った。

左京さんも、そのレベルでの同性愛、両性志向は「分かる」そうだ。

そういう男性をこそ美化したのがBLのいわゆる「攻め」なわけで、すてきな男性が、相手がヘッセ流の美童であれば、恋をするのも「分かる」。

女性が実体験できない男性の人生を創作物の中でなぞってみようという挑戦が、たしかに水野英子作品にも、二十四年組による美少年漫画にも認められたわけで、それを生意気と言うなかれ(いや言ってもいいが出版してやれ)と思った編集者もいたんである。

初期に取り扱った男性が「ここまでは分かる」と思える線が「ヘッセの両性志向的美童趣味」だったから、ボーイズラブってのは「ああいう感じ」なんである。

ペンキで落書きということが可能になるには、そもそもペンキという物の存在が前提となる。それには様々な材料の精製・調合に関する膨大な蓄積が前提にある。

「私はLaLaを読んでアニパロに走った!」

なぜ、自分にはそれが可能だったのか。いつから、それらはすでに用意されていたのか。

たまに振り返ってみるのも悪くない。

なお、左京さん達は、その前後で「成人男性同士は分からん」とか「男が女の仕草をするのはゾッとする」とか言ってるので、なに様のつもりで他人の性を「分かる」とか「分からん」とか評論してるのか、いい気なものではある。

性文化、とは個々人の性について、他人が良いの悪いのとあげつらうことではない。

個々人が人生の大切な一部である性に関する思い出や嗜好、将来の希望などを表現したいと思ったとき、どこまで許されるのか、許す権利は誰が有するのか、昔はどうだったのか、外国ではどうなのか、そこらへんを掘り起こすのが知識人・文化人などと呼ばれる人々の役割であろうと思う。

昔は……ツイッターにおける傍若無人な雑談ていどのものが書籍化されていたんだ。




Related Entries

SEARCH

Profile & Caution

Misha

Author:Misha
スマホ時代にさからう評論系長文ブログ。冷静に通読できる大人の読者様を想定しています。

「若い人」に直接呼びかける文章は、18歳以上のヤングアダルト対象です。高校生は受験を最優先してください。

書く人は、新旧とりまぜて映画とアニメを見ながら文芸書に取りくんでみたり、昔の漫画を思い出したり、お国の先行きを心配したりしております。

記事中の色つき文字は、映画中の台詞・挿入歌からの引用です。あらすじは、あまり申しませんので、楽しみに御覧ください。取り上げる作品は、暴力・エロスなど特殊な要素を含んでいることもあります。

ときおり、耽美・BL・同人・LGBTに言及します。いずれの分野からも、偏見と差別と自虐がなくなるといいと思っております。

「二次創作の責任を二十四年組に押しつけるな」「実在同性愛者に甘えるな」が基調です。

全体として、二十四年組ファンが社会学者に物申すという珍しい構図。一部勘違い同人を叱責することによって全体を守るという意図もあり、ときにかなり辛口です。

記事は時々予告なく手直し・削除・分割しております。保存は個人的閲覧の範囲で、お早めに御随意に。転載・改変利用は固くお断り申し上げます。

解題


Casketとは、玉手箱。

でも検索すると棺桶がならびます。来世まで持っていきたい好きな作品の記録帳とご理解ください。