【ありのままに化粧は濃いめ。~FROZEN再見記】

  06, 2014 09:08
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「人魚って素敵だな。わたしも海の中を自由に泳いでみたいな」
「薔薇に囲まれて眠り続けるお姫様って素敵だな」
「魔法でのびた長い髪って素敵だな」
「おそろしい野獣と可愛らしい女性の組み合わせって素敵だな」

と思いながら彼女たちを鑑賞する人にとって、人魚が人間になり、呪いが解ければ、夢の終わりである。

少なくともディズニー好みのお姫様物語というのは、「魔法によって一時的に異常な状態におかれていた人々が、平凡で健全な世界へ戻ってきました。皆さん、こころよく迎えてあげましょう」というものになっている。

もし「ボサボサの赤毛を笑いものにされた姫君が、『雪の結晶のように美しくなりたい』と願い、理想の姿を手に入れたけれども、心まで凍らせてしまい、国民に復讐しようとする。が、幼馴染の青年の『昔の君が好きだった』という言葉によって目を覚まし、もとの姿を取り戻す」なんて話だったら?

ここで「ありのままに」が歌われれば、「平凡で我慢しな。高望みしなさんな」というメッセージになる。

お姫様物語は、しばらくお休みだった。ポカホンタス、リロなど、化粧っけのない女性の時代が続いた。

『ターザン』では、ヴィクトリア調のドレスをものともせずジャングルを動き回り、しまいには野生児ならぬ野生女子となってしまう姿が描かれたが、時代はちょっと変わったようだ。

エルサというのは、当初は賢明な女王らしい清楚なドレスに装っていたものが、まるで「夜の蝶」のように派手な化粧と露出的なドレスにお色直ししながら、「ありのままに」と歌う。

そして、心の氷が解けてからも、その華麗な姿のままで国民に受け入れられる。

従来のディズニーヒロインには見られなかった、あのピンクと紫の派手な化粧は、けっこうに重要だと思う。

ひっこみ思案なアヒルの子から、誇り高い白鳥へ。でも、どんなに美しい女性も、独りでは生きていけない。

女心のツボの突き方は、じつに巧みだ。

セルアニメでアイシャドウや頬紅まで描くと、きつくなるので、透明感を表現できるCG時代ならではの成功例でもある。

これが世界の女性に受け入れられたなら、いまなお化粧っけのない少女を愛好し続けるジブリは……どこで勝負できるだろうか。





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