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【商業的に確立されたBL分野は氷山の一角】

商業的に確立されたボーイズラブという分野は、「娯楽消費される男子同性愛表象」という氷山の一角にすぎない。

消費する当事者はゲイであることもあるし、ストレート男性であることもあるし、ストレート女性であることもあるし、レズビアン女性であることもある。

最後のパターンは「ない」かのように思われるが、じつはあるんである。(アメリカから報告されている)

アメリカにおける「スラッシュ」は、最初から中年男性俳優同士をイメージモデルとしていた。

日本における二次創作BLが、1970年代のSFアニメから始まったというなら、そこに登場したのは筋骨たくましい青年たちだった。なんせ地球を救うヒーローである。

にもかかわらず、なぜボーイズラブは「線が細い」のか。そのようなものだけが出版を許されていた時期があり、それが模倣を生んだからだ。

青池保子は歴史上に実在した美少年(だったとして伝えられる人物)への関心を少女漫画の技法で表現した。彼らは、日本人としては、いかにも身長が高すぎ、目が大きすぎた。

竹宮恵子は、寄宿制中高一貫校において音楽を勉強する少年たちと、後期ロマン派の文学者への関心を、少女漫画の技法で表現した。

一部の成人女性漫画作家による少年趣味の表現が、男性編集者によってGOサインを与えられ、少女漫画雑誌の読者という低年齢層へ向けて公開されたから、……

「低年齢者が、少女漫画という媒体によって、本来は成人のものだった少年趣味を嗜む」という行動自体が、ステレオタイプ化しただけだ。

その他の部分は、べつに禁止されたわけでもないから、そのまま存在している。表面的に禁止したところで、「内面の自由」までは手のつけようがない。

だから「女性がこんなものを読むようになったか」と不思議がる必要はない。

「時代だなァ」と感じるポイントがあるとしたら、「これを扱う編集者が出てきたか」だ。

そして多分、「そこまで踏み込む必要があるほど、出版事情が逼迫している」というあたりに思いを馳せるとよろしいんではないかと思う。

二十四年組ほかによる美少年作品の発表が許された1970年代後半が、好景気だったか、不景気だったか、よくよく思い出してみるまでもない。


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Misha

Author:Misha
スマホ時代にさからう評論系長文ブログ。冷静に通読できる大人の読者様を想定しています。

「若い人」に直接呼びかける文章は、18歳以上のヤングアダルト対象です。高校生は受験を最優先してください。

書く人は、新旧とりまぜて映画とアニメを見ながら文芸書に取りくんでみたり、昔の漫画を思い出したり、お国の先行きを心配したりしております。

記事中の色つき文字は、映画中の台詞・挿入歌からの引用です。あらすじは、あまり申しませんので、楽しみに御覧ください。取り上げる作品は、暴力・エロスなど特殊な要素を含んでいることもあります。

ときおり、耽美・BL・同人・LGBTに言及します。いずれの分野からも、偏見と差別と自虐がなくなるといいと思っております。

「二次創作の責任を二十四年組に押しつけるな」「実在同性愛者に甘えるな」が基調です。

全体として、二十四年組ファンが社会学者に物申すという珍しい構図。一部勘違い同人を叱責することによって全体を守るという意図もあり、ときにかなり辛口です。

記事は時々予告なく手直し・削除・分割しております。保存は個人的閲覧の範囲で、お早めに御随意に。転載・改変利用は固くお断り申し上げます。

解題


Casketとは、玉手箱。

でも検索すると棺桶がならびます。来世まで持っていきたい好きな作品の記録帳とご理解ください。