【1969、パゾリーニ『王女メディア』】

  03, 2014 18:00
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……沙羅双樹の花の色は、盛者必衰の理を表すとかや。

・まさかの純邦楽が効果的。
・たぶん当時までの文化人類学・民俗学的蓄積にある程度もとづいた、なんちゃって古代文明密着潜入ドキュメント。
・衣装は一見地味だが実はものすごく豪華。
・出だしのぎこちなさが素人の自主制作映画みたいで不安を呼ぶが、動き出してみるとエキストラ一杯で、実は大作。
・オペラディーヴァの存在感。
・イアソン役の自然体な男の色気がいい感じ。
・素人っぽい外人男の裸がいっぱい見られます。
・花冠の男児も可愛い。
・だいたいにおいて、イタリアの素人は良い顔している。

・事前に金羊毛伝説を知っておきましょう。
・たぶん観ただけでは話が分からない。
・その点では能楽のほうがなんぼか親切。
・オープニング後、唐突に始まる朗読劇もどきには我慢して付き合う。
・編集はめっさ荒いが当時の映画にはこんなのがよくある。
・ケンタウロスの下半身の稚気あふれる造形には笑わないこと。

・ロケハンの勝利。
・風がリアルで強い。
・撮影は大変だったと思う。
・お疲れ様でした。

あまりのブツ切り編集ぶりに感想まで箇条書きになってしまった。

アップとロングの不自然な繰り返しはヨーロッパ映画には時々あって、「話法が違う」と思う他ないんだけれど、考えてみると彼らの画廊や美術館に風景画と人物画が混ざって飾られていることと関連があるのかもしれない。

イタリア映画における、広大な風景に人物が見事に収まっている活人画の雰囲気は、構図の大胆さも合わせて、いつ観ても「ルネサンスの国には敵わないな」と思う。

ほこりっぽさと相まって、思い出すのはジャーマン『カラヴァッジオ』、タヴィアーニ『カオス』

あれらは1980年代作品で、語り口がもう少しソフトに分かりやすかったけれども、こっちは観客にケンカ売ってるような緊張感がまた良い。たぶん舞踊劇とか、古代ギリシャ劇とか、なにか映画ではないものを意識している。

パゾリーニは初見なので編集の無理っぽさが持ち味なのか狙ってるのか分からない。たぶん天然だと思う。でもこのプリミティブな雰囲気が、物語そのものの持つ古代の殺伐感とよく似合っていたと思う。なにしろ、斧で輪切り。

象徴表現された残酷さは、ロマン派の絵画を思わせる。(ロマン派って古典古代への憧れだ)

音楽も、各地の民族音楽をブツ切りにして使用してるんだけれども、悲劇のクライマックスできちんと「諸行無常」を唄わせていたあたり、「根がまじめな監督なんだろうな」と感じた。

若者が無理したような感じもあるが、「1950年代のヘラクレス映画とは違うものを創るぜ」という心意気が感じられ、格調は高い。

たぶん、この古代文明解釈をステレオタイプ化して、現代メタルロック流に噛み砕いてしまうと、『300』とか、starz『スパルタカス』になる。

(※ どっちも好きです。)

1969年頃は、プログレッシブ・ロックが流行った時代でもあるので、娯楽的創作物に教養の高さ・学術肌を盛り込むことが「新しい」と感じられたのだろう。たぶんキューブリックも思い出しておくといいのだろう。大西洋をはさんで、当時の両雄だろうか。

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