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【二十四年組耽美作品は、成人女性の趣味の低年齢化。】

森茉莉は『恋人たちの森』を書いた時点で、中高年と呼ばれる年齢だった。

二十四年組と呼ばれる漫画家は、1975年の時点で、二十代後半に達していた。

前者の父上の作品には、金井湛くんの青春時代を描いたものがある。後者の耽美作品には、西欧ロマン主義への私淑ぶりが認められる。

成人女性が、古典文学や、ロマン主義文学や、それに詳しい日本の男性作家の作品を読んで、「男性による少年趣味」という心性・行動様式の存在に気づき、自分なりに想像して、その現場を描いてみたという分には問題ない。

どのような素材にも意欲的に取り組むべきであるのが、作家である。

どの人間の大脳新皮質に対しても「関心を持つな」という命令を守らせることは不可能だ。「読むな」というのであれば、学問の機会を奪うということになる。

男女の平等、表現の自由を尊重するという立場に立てば、「女のくせに発表するな」というのも望ましくない。

とはいえ、常識的に考えて、作家と編集者が打ち合わせの上で、わざわざ「次号からの連載では、性暴力を描いて、子供に読ませましょう」ということはない。

したがって、『風と木の詩』は、作家自身の自由な表現意欲の発露と思えばよい。それが当時の編集者によって「この日本では安全」と見切られた。

極論すれば、同性愛表現が禁止されている国では、作家・編集者とも獄死していただろう。

そうではなかったことについて、日本人は胸を張ってよい。

青池保子『イブの息子たち』のほうは、発表において上記の竹宮作品に先んじている。

こちらでは、すでに「男女の中間的な存在」「ロマン主義の詩人における稚児趣味」「戦国武将と美小姓の関係」などがステレオタイプとされていることが、より明白だ。

銀座や、新宿二丁目における男の世界の実態を知らなかった、まだ若い女性漫画家に共有された「粋な遊びを知っている文学者」という「イメージ」が重要だ。

彼ら自身は「おかま」として差別されることがなく、女装はせず、ひじょうに美的(=女性的)な若年者ばかりを嗜好対象とする、貴族階級の男性という定型。

ひらたく言うと、三島由紀夫が丸山明宏の楽屋へ薔薇の花束を差し入れたみたいな。

それが低年齢者へ披露され、模倣を呼んだ。

模倣が始まってから後のことは、じつは今に至っても大して様子が変わっていない。ここでは、1975年の時点で、すでにステレオタイプが定着していたことが重要だ。

すでに当時、まるで映画俳優のブロマイドでも集めるように、そのようなエピソードを歴史上・文学上から拾い集める趣味が、一部の教養志向の女性の間に行き渡っており、それに気づいた漫画家が、漫画家らしいセンスでギャグ化あるいは残酷化し、低年齢者へ紹介したという経緯を推察してもいいだろう。

『風と木の詩』の連載開始に先駆けて、わたなべまさこ『ガラスの城』(女性が女性を監禁する)がヒットしている。楳図かずおによる「母親がエゴイズムによって実の娘を手にかける」という恐ろしい物語も連載されていた。

逆に女性作家が構想した、少年と男性の物語が残酷調だったことは、唐突ではない。

だいたいにおいて、本来は大人が楽しんでいた未来物語(SF)や、妖怪物語(ドラキュラ)などを、子供に読ませるために誇張して描き直したものが、漫画だ。

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Misha

Author:Misha
スマホ時代にさからう評論系長文ブログ。冷静に通読できる大人の読者様を想定しています。

「若い人」に直接呼びかける文章は、18歳以上のヤングアダルト対象です。高校生は受験を最優先してください。

書く人は、新旧とりまぜて映画とアニメを見ながら文芸書に取りくんでみたり、昔の漫画を思い出したり、お国の先行きを心配したりしております。

記事中の色つき文字は、映画中の台詞・挿入歌からの引用です。あらすじは、あまり申しませんので、楽しみに御覧ください。取り上げる作品は、暴力・エロスなど特殊な要素を含んでいることもあります。

ときおり、耽美・BL・同人・LGBTに言及します。いずれの分野からも、偏見と差別と自虐がなくなるといいと思っております。

「二次創作の責任を二十四年組に押しつけるな」「実在同性愛者に甘えるな」が基調です。

全体として、二十四年組ファンが社会学者に物申すという珍しい構図。一部勘違い同人を叱責することによって全体を守るという意図もあり、ときにかなり辛口です。

記事は時々予告なく手直し・削除・分割しております。保存は個人的閲覧の範囲で、お早めに御随意に。転載・改変利用は固くお断り申し上げます。

解題


Casketとは、玉手箱。

でも検索すると棺桶がならびます。来世まで持っていきたい好きな作品の記録帳とご理解ください。