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【70年代SFアニメはテレビオリジナル。】

誤解されがちだが、『宇宙戦艦ヤマト』は松本零士の原作漫画が当たったので数年後にアニメ化されたものではない。

テレビまんがという言い方もあるし、手塚・石ノ森という両雄がいるので、アニメは“数年前に雑誌上で発表されたコマ漫画を動画化したもの”と思いがちだけれども……

1960年代以来、1980年代に入っても、SFアニメ(ロボットアニメ)の多くは、とにかくテレビ放映を見てみないことには次の展開が分からない、テレビオリジナルだった。

漫画は1960年代の間にハイレベルに達していたから、オリジナルアイディアを世に問うたアニメプロデューサー・監督たちは、目の肥えた漫画家の卵たちが自分の作品を好きになってくれて、似顔絵などを描いてくれることが、まずは単純に嬉しかったんじゃないかと思う。

すでに1970年代後半には、男性ファンの美少女趣味・女性ファンの王子様趣味を意識したキャラクターが登場している。

この時点で、出版社はあんまり関係がないし、原作者が誰かもはっきりしない。西崎と松本が争ったぐらいだから、権利が誰のものかもはっきりしていなかった。

アニメは、制作側と視聴者が一体となって「みんなで育てた」という意識だったろうと思う。

女性視聴者は、女性型ロボットに乗り込む少女ファイターに憧れていたのではないのか?

そういう人もいただろうけれども、今でも航空自衛隊に入隊する女性は少ない。

当時の少女も、多くは(ちびまる子ちゃんのように)同時代のアイドル歌手である百恵ちゃんやピンクレディーに憧れていたのであって、その意味は「スターとなって自立したい」だ。

スターの歌真似をする幼女・少女はいても、なんとかロボの女性型を持ち歩く子は少なかった。

明治38年生まれの女性が「20歳になっても嫁に行きたくなかったが、世間体をはばかる母親の泣き落としにあって、泣く泣く近在の男性との縁組を了承した」という話がある。

昔も今も、女性の多くは「男とまったく同じ仕事をすること」「彼の嫁になること」に、そんなに憧れていない。別の分野で自分自身の才能を試す・活かすことを夢見る。

1970年代、漫画または小説の分野で腕に覚えの女性アニメファンは、男性ファンが少年ヒーローをサポートする女性キャラクターを崇拝したのと逆に、敵方の高貴な身分である金髪キャラクターに思い入れ、彼を描いた。“女のロマン”だ。

アニメ制作陣は、おそらく、そのことを先刻ご承知だった。

というわけで、「最近のアニメ」なんて言い方があるけれども、じつは1970年代後半以来、その物語の内容も、視聴者を意識した制作態度も、じつはそんなに変わっていない。

変わっちゃったのは絵柄だけで、少年漫画らしかったのが少女漫画(レディコミ)らしくなっちゃったんだけれども、恩田のようなアニメ作家たちも「女の喜ぶ絵を描かされるより、筆を折りたい」と思いながら泣く泣く描いているというはずもなく、自分が世界一セクシーでカッコいい男を描いているつもりであろうから、変わったのはそれを受け入れるようになった、男性視聴者のほうなんである。


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Misha

Author:Misha
スマホ時代にさからう評論系長文ブログ。冷静に通読できる大人の読者様を想定しています。

「若い人」に直接呼びかける文章は、18歳以上のヤングアダルト対象です。高校生は受験を最優先してください。

書く人は、新旧とりまぜて映画とアニメを見ながら文芸書に取りくんでみたり、昔の漫画を思い出したり、お国の先行きを心配したりしております。

記事中の色つき文字は、映画中の台詞・挿入歌からの引用です。あらすじは、あまり申しませんので、楽しみに御覧ください。取り上げる作品は、暴力・エロスなど特殊な要素を含んでいることもあります。

ときおり、耽美・BL・同人・LGBTに言及します。いずれの分野からも、偏見と差別と自虐がなくなるといいと思っております。

「二次創作の責任を二十四年組に押しつけるな」「実在同性愛者に甘えるな」が基調です。

全体として、二十四年組ファンが社会学者に物申すという珍しい構図。一部勘違い同人を叱責することによって全体を守るという意図もあり、ときにかなり辛口です。

記事は時々予告なく手直し・削除・分割しております。保存は個人的閲覧の範囲で、お早めに御随意に。転載・改変利用は固くお断り申し上げます。

解題


Casketとは、玉手箱。

でも検索すると棺桶がならびます。来世まで持っていきたい好きな作品の記録帳とご理解ください。