【漫画を読んで、小説に目覚めた?】

  10, 2014 21:24
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二十四年組漫画を読んで、小説を書くことに目覚めたという話は、おかしいのです。

「パロディ同人誌、なかんずく“やおい”と言えば、漫画の個人誌」という形態が確立したのは、だいぶ後になってからのことのように思います。

むしろ小説の合同誌という形態のほうが目立った時期があったと思います。

今でも小説は、二次創作BLの重要な柱ですが、念のため確認しておくと、漫画と小説は、異なる表現形態です。

オリジナル漫画の品評会をめざし、漫画市場を名乗ったイベントで、アニメを主題とした小説が展示販売された現象は「看板に偽りあり」なのですが、これが看過され、混同が続いています。


1980年代前半までに小説を書き始めた人には、すでに書いていた先輩がいたと思います。

1970年代に小説を書いた人にも、すでに書いていた先輩がいたと思います。

1960年代に水野英子と肩を並べるつもりで漫画を描いていた人の横には、森茉莉に私淑して小説を書いていた人がいたはずです。

1950年代に手塚治虫に触発されて漫画を描き始めた人の横には、SF御三家や、彼らとも親交のあった三島由紀夫を参考に、小説を書き始めた人がいたはずです。

二十四年組が行ったことは、文芸の形で連綿と伝えられてきた「怪奇と幻想」「耽美」「少年愛」といったテーマを漫画化し、低年齢者へ披露することでした。

だから、少女時代にそれを読んで目覚めたという人がいるのは当たり前なのですが、そこから全てが始まったわけではありません。

1980年代同人は、同人文化の草分けかのように話題に挙がりますが、印刷所へオフセット印刷の発注をかけることを含めて、自分では何も発明していないと言って良いと思います。

女性が成人誌を購入することに抵抗がなくなった時代を背景に、性描写を過激化させただけです。

同じパロディでも「私たちの頃は、こんなじゃなかった」と思っている大先輩が必ずいます。

彼女たちは、誰からも「遅れてる」などと罵倒される筋合いはありません。

出版界的には、オールドファンや、「BLはエロじゃない」という若い世代の一部の声を大切にすると、新しい販路が開ける……かもしれないです。



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