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starzドラマ『スパルタカス』第6巻。

レンタルDVDにて。第11話「古傷」・第12話「発覚」

相変わらず展開が早い上に前回のエピソードを受けて流れがなめらか。どんでん返しはまず流れができていなければ意味がない。どうつながるのか引っくり返るのか、続きがすごく気になるドラマ。毎回1枚観終わると「あああ終わっちゃたあァ!」と焦る。全話まとめて購入またはレンタルして観るのがいいかも。

※「一部に18歳未満の視聴には不適切な映像が含まれる」海外有料放送ドラマなので、ご購入・視聴の際はお気をつけ下さい。

以下、ネタバレです。


お気に入りだったソロニウス様が! ……こうでなくっちゃ(・∀・)

ついに回収されたソロニウスとアシュールの伏線。こう来たか。分かっていながらドキドキする地下水道の場面。意外性とお約束感の両立。やっぱりこういう「ああしてそうしてこうなった」って順序はその通りに描いていかないと。どっかの大河と違って。 

ベタな展開も組み合わせ次第でこれだけ刺激的。ハラオチしやすいのは「侮辱されたから仕返しする」など、一つ一つの行動が(やや極端ではあっても)納得のいくものであるから。盛りだくさんなのに無理がないのは複数の線をまとめる手腕が見事だから。

「 Tend to the wound. 」
「傷を治療しろ=立ち直れ」と「(あるはずの)傷をよく見てみろ」が掛けてあり、しかも韻を踏んでいる。英語っていいよね。

同じ事件をきっかけにした主人公の落ち込みっぷりと、バティアトゥスの進める陰謀が、「剣闘士か否かに関わらず、バティアトゥスの奴隷のための診療所」の一点で結びつき(その意味ではピエトロスやヴァロも伏線になっている)、過去の陰謀が明るみに出る。クライマックスへ向けて一気に加速する主人公(と視聴者)

しかもそのきっかけとなったお色気シーンは、この養成所(このドラマ)では見慣れた光景である上に、主人公と新しい恋人(?)ミラとの気持ちの食い違いという意味を持たせてあるので、そこで安心してしまった視聴者は、ミステリ解明の緒であることに気づかずスルーしてしまい、後で「あ Σ(゚д゚)」と嬉しい驚きにおそわれる。

しかもそのお色気シーンそのものが、当然、視聴者サービスになっている。うーーん、上手い。少ない登場人物を目一杯に使って話をまわすまわす。

嫁さん登場シーン、馬車のシーンは当然まとめて撮ってあるわけで、全13回を通した脚本が出来上がってから、見通した上で撮影計画が練られているはずで、この緻密さが生む効果は『ユージュアル・サスペクツ』『L.A.コンフィデンシャル』などのミステリにも劣らないと思う。

主人公はときどき幻覚を見たり霊のお告げを受け取ったりするらしく、超能力者なのか?って感じもしますが、これは古代人の信仰の雰囲気を表すと同時に現世における霊的なつながりに憧れる現代アメリカ人にはかえって受け入れられやすい描写なのでしょう。『シックス・センス』以来、「第六感」をテーマにした映画は繰り返し登場しますね。

主人公の嫁さんも相棒ヴァロの嫁さんも可愛いので好きです。ミラはまた違った姉さん女房っぽさがいいです。

養成所経営者バティアトゥスと剣闘士たちは切った張ったの世界の殺伐さを表すために、直訳できない猥語を連発しますが、そこへ一人加わらないドクトーレ(ピーター・メンサー)の気高さが最近ますます際立っております。

ソロニウス様の乱れたお髪と意外に締まった肉体も目の保養。憎っくきバティアトゥスの運命を悟った目の明るさと空の青さが呼応するのが外人さんのずっこいところ。「男に花をもたせる」とは血の花を咲かせることであるのがよく分かるのがこのドラマ。

後半「発覚」は……陰謀が裏目に出て後援をとりつけられないバティアトゥスの情けなさと苛立ち、主人公と副将グラベルの確執、アシュールとクリクススの確執、とまた何本ものストーリーが絡んで大事件(の発覚)と相成るわけで気持ちよさ満点なわけですが、むしろ久しぶりといっていいほどストップモーション多用の主人公によるアクションシーンにワクワク。第1話以来かもしれない。最終回へ向けて盛り上げていくよ!

ホイットフィールドは他の剣闘士役に比べると小作りなくらいですが、それだけに均整が取れており、前巻でのエロスシーンにしても今回のアクションシーンにしても、動くと実にキレが良く、きれいなのでした。

テレビドラマというのは、主人公を演じる俳優が売りだしていく様そのものを鑑賞するドキュメンタリーでもある。
共感しにくい悪役はジョン・ハナのような器用な人に任せて、ど新人に近い主人公は現代人の感性でふつうに共感でき、「役作り」なんて悩まなくても素で演じられるキャラ設定でよく、その俳優自身の素の魅力が視聴者にとってのごちそうというもの。

ここから演技派に育っていくのが楽しみ……だったのに(T_T) 合掌。

んで、ドラマ自体はやっぱりクリクススが体で背負った。号泣顔にもらい泣き。鞭打ちシーンにうふふ。

アシュールは全く一筋縄ではいかない名悪役で、彼が(脚本家によって)つぶされそうでつぶされないところも見どころの一つですが、いずれこのままでは終わりますまい。

ミラとアウレリア、イリティアとルクレティア。女たちの確執もニヨニヨと見守りたい。ああ、あと1枚で終わっちゃうのかーーーー
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Misha

Author:Misha
スマホ時代にさからう評論系長文ブログ。冷静に通読できる大人の読者様を想定しています。

「若い人」に直接呼びかける文章は、18歳以上のヤングアダルト対象です。高校生は受験を最優先してください。

書く人は、新旧とりまぜて映画とアニメを見ながら文芸書に取りくんでみたり、昔の漫画を思い出したり、お国の先行きを心配したりしております。

記事中の色つき文字は、映画中の台詞・挿入歌からの引用です。あらすじは、あまり申しませんので、楽しみに御覧ください。取り上げる作品は、暴力・エロスなど特殊な要素を含んでいることもあります。

ときおり、耽美・BL・同人・LGBTに言及します。いずれの分野からも、偏見と差別と自虐がなくなるといいと思っております。

「二次創作の責任を二十四年組に押しつけるな」「実在同性愛者に甘えるな」が基調です。

全体として、二十四年組ファンが社会学者に物申すという珍しい構図。一部勘違い同人を叱責することによって全体を守るという意図もあり、ときにかなり辛口です。

記事は時々予告なく手直し・削除・分割しております。保存は個人的閲覧の範囲で、お早めに御随意に。転載・改変利用は固くお断り申し上げます。

解題


Casketとは、玉手箱。

でも検索すると棺桶がならびます。来世まで持っていきたい好きな作品の記録帳とご理解ください。