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【ビール瓶の持ち方に見る日本企業文化の武士っぽさ。】


右利きの人が右手で物を差し出すのは当たり前です。

それに対して「拙者に対して無礼である。貴様には謀反の心がある!」と言うのは、どんな人か。

農村の視察に来た代官に対して、農民代表である庄屋さんがお酌をした時、という場面が浮かびます。

言われた庄屋さんは、びっくりして「どういう訳ですか」と尋ねます。すると代官は咳払いして言うわけです。

「貴様は農民だから知らないだろうから、特別に教えてやるが、右手を前にして構えるのは、刀を持つときの作法である」

庄屋さんは膝を打って応えるわけです。

「なるほど、それで分かりました。そこに気がつくお代官様の炯眼に感服いたしました。これからもよろしくご指導ください」

ってね。

もちろん例え話です。ビール瓶を持った庄屋さんですから。

武士が本当に刀を帯びていた時代に、武士同士でこれを言っていたら大変です。「無礼とは無礼である」という反論によって、本当に刃傷沙汰となる可能性もあります。そんな遺恨でいちいち出陣されては、ご家中も領民もたまりません。

かえって武士同士は和気あいあいとしていたでしょう。他の身分に対して威張るのです。

では、そんな「難癖」というべき作法を現代にまで持ち込んで威張りたがるのは誰か。

会社が何億円も出してヘッドハントした若者に対して「きみは無礼である。ものを知らない」と言って、「ばかばかしいんで独立します」と言われちゃ自分が困ります。

つまり、反論を予想していない人。立場を利用して威張る上司と、ふつーの社員。お金持ちのお客様と、営業マン。

後者としては「確かに私はものを知りません。細かいところまで気をつけますので、出世・契約のほうをよろしくお願い致します」って意味になります。

だいたい日本式の宴会は、現代では長卓にご馳走がならびますが、本来は「お膳」が一人ずつに提供されたはずです。

つまり、上様が御家人を呼んで、食わせて進ぜる形です。社会保障が充分でなかった時代には、実力者が若い奴を集めて、具体的に「食わせてやる」ことが非常に重要でした。

その形が踏襲されているので、ときどき「武士の作法」が顔を出すわけです。

欧米式は、お酌をしません。そもそも席を立つのがマナー違反です。でなきゃ最初から立食式。飲食はマイペースです。他人の自由を妨げちゃいけません。酒類を注ぐのは専門家の仕事です。他人の仕事を取っちゃいけません。

つまり、日本の会社の宴会は、社員一同で「戦国コスプレ」をやってるようなものです。

なお、武士の時代と現代をつなぐのは、実際に武士の誇りを抱いていた戦中の士族(士官)たちでしょう。

彼ら、または彼らに気を使っていた下士官が、復員後に戦後復興の中心となったのが、今に至る日本企業文化の武士っぽさの根底にあると思います。

なお、若い女性が「イケメン」化させた戦国武将キャラクターをもてはやすのは、彼女たちが戦国武将に憧れて「おとなしい嫁になりたい」と思い始めたことを表すのではなく……

戦国武将および武士社会が、彼女たちに対して支配的・圧力的な印象を持たなくなったことを示します。

ということは、武士っぽさに憧れる企業文化も、もはや彼女たちに対して支配性を持ちません。

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Misha

Author:Misha
スマホ時代にさからう評論系長文ブログ。冷静に通読できる大人の読者様を想定しています。

「若い人」に直接呼びかける文章は、18歳以上のヤングアダルト対象です。高校生は受験を最優先してください。

書く人は、新旧とりまぜて映画とアニメを見ながら文芸書に取りくんでみたり、昔の漫画を思い出したり、お国の先行きを心配したりしております。

記事中の色つき文字は、映画中の台詞・挿入歌からの引用です。あらすじは、あまり申しませんので、楽しみに御覧ください。取り上げる作品は、暴力・エロスなど特殊な要素を含んでいることもあります。

ときおり、耽美・BL・同人・LGBTに言及します。いずれの分野からも、偏見と差別と自虐がなくなるといいと思っております。

「二次創作の責任を二十四年組に押しつけるな」「実在同性愛者に甘えるな」が基調です。

全体として、二十四年組ファンが社会学者に物申すという珍しい構図。一部勘違い同人を叱責することによって全体を守るという意図もあり、ときにかなり辛口です。

記事は時々予告なく手直し・削除・分割しております。保存は個人的閲覧の範囲で、お早めに御随意に。転載・改変利用は固くお断り申し上げます。

解題


Casketとは、玉手箱。

でも検索すると棺桶がならびます。来世まで持っていきたい好きな作品の記録帳とご理解ください。