記事一覧

【文科省・学校基本調査速報に見るアニメファンの動向。】


1950年代に生まれて、1970年代に学部へ現役合格した率は、1980年代の現役合格率より高いです。

「率」ですから、背景にあるのは高卒者の絶対数、さらにその背景にあるのは出生者の絶対数です。

1950年代生まれは、その親が出征した世代に当たり、一夫一婦制の前提となる青年男子の人数が少なかったので、生まれた子供も少ないです。

中卒で働き始める人が今より多かったかもしれませんが、学生運動が一段落した後の昭和45年から「高校へ行った以上は大学まで行こう」という人が急増します。

この中に、初期の同人誌即売会を支えた人々がおり、その何割かが『宇宙戦艦ヤマト』を含むアニメ番組を応援し、さらにそのうちの何パーセントかが男女を問わず二次創作を始めたことになります。

学生運動の闘士たちがバリケードの中で『あしたのジョー』を読んでいたのは有名な話です。草野球というのはありますが、企業や自営業者の漫画部というのはあまり聞かないので、やはり漫画・アニメは大学生、その候補である高校生が支えた文化だったでしょう。

ごく大雑把な印象として、この時期のそれは、高学歴志向が支えていたとも言えそうです。

1960年代、特に後半に入ると、出生数が急激に伸び始めますが、その子たちが現役受験生となった頃の進学率は、逆に漸減します。「あれ?」って感じです。生まれる子供が増えたから、一層多くの子が進学したのではなく、進学者の絶対数がそんなに変わらなかったことになります。

受け入れ大学の数が急に増えるわけではないので、当たり前といえば当たり前です。足切りなどという恐ろしい言葉もありました。

現役合格率を見ているので、浪人後に合格・進学した人がいるはずですが、そのぶん年下の受験者が押し出された格好になるので、同じことだろうと思います。

もし大卒者のほうが有利な就職ができるなら、今の40代は、そんなに有利な就職ができなかった人の数が、ひじょうに多いことになります。しかもこの世代はバブル崩壊に巻き込まれ、就職氷河期の当事者となっています。

しかも、今の40代の非婚率はそんなに高くありません。たしか2割くらいです。逆に言えば、8割くらいの人が、そんなに有利な就職ができなかったにもかかわらず結婚し、その内の多くの人が、懸命に子育てしています。

ということは、彼らは自分のためのアニメグッズなんぞに金を出しません。

非婚者の全員がアニメファンでもありません。

ファースト・ガンダム人気は嘘ではありませんが、おそらく子供のために契約したスカパーで「見るだけ」です。

グッズの売上を見込んで各企業が競って「あやかろう」とするほどではありません。

さらに厄介なのは、平成2年度から進学率の驀進が始まりますが、これ以降の世代の正規雇用率が良くないことです。

親御さんにしてみれば、学費を取り戻せていません。30歳過ぎた子供を養うために貯蓄を切り崩している、または貯蓄ができない状態のはずです。

なぜ、ここでアニメグッズが売れるのか。

海外旅行へ行けないからです。なけなしの金を、より安価なアニメグッズのまとめ買いに投じるなら、そのぶん、テレビも買えません。

A社が若者に与えた給料を、アニメグッズと引き換えにB社が受け取れば、同じ金が国内を廻っているだけです。B社が利益の投資先をまちがえれば、A社がつぶれ、若者が受け取る給料もなくなって、B社もつぶれます。

1980年代の同人誌即売会で廻っていた金は、やおい少女とか、ロリ少年とかの親が輸出でかせいだ外貨の一部が、二十代の同人作家の手に渡っていただけです。フルカラー同人誌とかの豪気な話は、要するにまともな社会人活動のおこぼれです。

Related Entries

SEARCH

Profile & Caution

Misha

Author:Misha
スマホ時代にさからう評論系長文ブログ。冷静に通読できる大人の読者様を想定しています。

「若い人」に直接呼びかける文章は、18歳以上のヤングアダルト対象です。高校生は受験を最優先してください。

書く人は、新旧とりまぜて映画とアニメを見ながら文芸書に取りくんでみたり、昔の漫画を思い出したり、お国の先行きを心配したりしております。

記事中の色つき文字は、映画中の台詞・挿入歌からの引用です。あらすじは、あまり申しませんので、楽しみに御覧ください。取り上げる作品は、暴力・エロスなど特殊な要素を含んでいることもあります。

ときおり、耽美・BL・同人・LGBTに言及します。いずれの分野からも、偏見と差別と自虐がなくなるといいと思っております。

「二次創作の責任を二十四年組に押しつけるな」「実在同性愛者に甘えるな」が基調です。

全体として、二十四年組ファンが社会学者に物申すという珍しい構図。一部勘違い同人を叱責することによって全体を守るという意図もあり、ときにかなり辛口です。

記事は時々予告なく手直し・削除・分割しております。保存は個人的閲覧の範囲で、お早めに御随意に。転載・改変利用は固くお断り申し上げます。

解題


Casketとは、玉手箱。

でも検索すると棺桶がならびます。来世まで持っていきたい好きな作品の記録帳とご理解ください。