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【BLは、なぜ組み合わせるのか。~オリジナルの未来】


拳闘家が一人いたら、何が起こるでしょうか。シャドーボクシング以外に何も起こりません。マッチメイクが必要です。

男性が女子テニスプレイヤー(のキャラクター)を好きになったら「試合の相手を見つけてやらないとなァ」と思うでしょう。

「二人で試合を行う」というルールが与えられていれば、二人の選手を見つくろって、興行を掛けようと思うのは当たり前です。

BLは、なぜ組み合わせるのか。「すでにそのようなルールがあったから」です。

女性(の一部)が何かの拍子に「女性ではなく美童へ勝負をかける男性がいる」ことに気づき、そのような試合の自主興行を決意したからです。

「私は漫画しか読んだことがない」という人は、その漫画家が何を参考にしたか、さかのぼってみれば良いです。

いわゆる二十四年組の作品を一読しただけでも、東西の古典文学、近代の英仏独文学、それに私淑した近代日本人作家、クラシック音楽、歴史に関する素養が見て取れます。

それらの教養において「美童のほうから勝負かけられちゃった男性」もいたという知識は、あまり得られません。差しつ差されつという関係も、あまり描写されてきませんでした。

衆道を男女の比喩でとらえたのは男性です。女性的な美貌を愛すべきものとして賞賛したのも男性です。もしかしたら、そのような男性は、小松左京と同じような「イメージとしての美童趣味なら分かる」というタイプだったのかもしれません。


【量産型にもとづく偏見。】

同人誌即売会というところでは、それ(の量産型)が売れ筋と信じられ、そればかり持ち込まれたから「女性同人には組み合わせる趣味の人しかいない」という誤解が生じ、「同人誌とはアニパロです」と言い出す人もいれば、「アニパロとはエロです」と言い出す人までいた始末です。

この量産型は、例えて言うと醸造段階から自社開発した酒ではなく、市販の酒とソーダを買ってきて同じ紙コップに入れただけで「カクテル100円」と称して売るという、バザー活動みたいなものです。

即売会は即売会だから、何かを売るところです。物語を原稿用紙へ清書し、製本し、わざわざ交通費を支払って即売会場へ持ち込む人は、売るつもりであるに決まっています。

でも、世の中には、一文の得にもならん活動を喜ぶアマチュアも大勢います。その人たちは、べつに組み合わせない二次創作を大学ノートに書き溜めているかもしれません。


【即売会の陥穽。】

即売会は、元々オリジナル作品の切磋琢磨を図ったらしいのですが、ひとつ陥穽があったかと思います。

同人誌市場が未発達な段階では、漫画で生きていくためには「初出オリジナル作品」を出版社へ投稿する他ありません。

丁寧に描いたオリジナル作品は新人賞応募用の隠し玉にしておいて、即売会では似顔絵的なものを売って、次の活動資金(原稿用紙やインク代)にするという、模擬店活動が行われる下地があっただろうと思われます。


【オリジナリティの発掘。】

量産型を製造する工場は、操業させておいてやればいいと思います。100円ショップ向けの量産工場へ「チェリーニみたいな工芸品をつくれ」とか言っても無理です。

美術工芸品が欲しい人は、自分の手に技術をつけるか、地道な活動を続けるアマチュアを見つけ出して、資金を提供するほかありません。即売会へ乗り込んで、それをやってるのが出版社です。模擬店に「隠し玉」を供出させるわけですが、これは投稿・持込の方向を逆にしただけです。

漫画・アニメ分野の弱いところは、いわゆる同人だけを見て愚痴を言う人が多く、全国の自治体においてアマチュア活動を奨励するというようなことが(あまり)成されないところです。

同人を批判するほうも「テレビ」という中央発信の媒体にとらわれ、「アニメ関連以外に個人的に漫画を描き続ける素人などいない」と信じるという視野狭窄に陥っているところがあると思われます。



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Misha

Author:Misha
スマホ時代にさからう評論系長文ブログ。冷静に通読できる大人の読者様を想定しています。

「若い人」に直接呼びかける文章は、18歳以上のヤングアダルト対象です。高校生は受験を最優先してください。

書く人は、新旧とりまぜて映画とアニメを見ながら文芸書に取りくんでみたり、昔の漫画を思い出したり、お国の先行きを心配したりしております。

記事中の色つき文字は、映画中の台詞・挿入歌からの引用です。あらすじは、あまり申しませんので、楽しみに御覧ください。取り上げる作品は、暴力・エロスなど特殊な要素を含んでいることもあります。

ときおり、耽美・BL・同人・LGBTに言及します。いずれの分野からも、偏見と差別と自虐がなくなるといいと思っております。

「二次創作の責任を二十四年組に押しつけるな」「実在同性愛者に甘えるな」が基調です。

全体として、二十四年組ファンが社会学者に物申すという珍しい構図。一部勘違い同人を叱責することによって全体を守るという意図もあり、ときにかなり辛口です。

記事は時々予告なく手直し・削除・分割しております。保存は個人的閲覧の範囲で、お早めに御随意に。転載・改変利用は固くお断り申し上げます。

解題


Casketとは、玉手箱。

でも検索すると棺桶がならびます。来世まで持っていきたい好きな作品の記録帳とご理解ください。