【会田誠展クレームにおける混同。】

  27, 2015 10:00
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すでに懐かしいような話題ですが……

「子どもに見せなければ何を描いてもいいですけど」というのと、「女性差別を助長しないように、男性の自由な創作を制限または禁止しろ」というのでは、話が違います。

ごちゃ混ぜに書くから「18歳未満閲覧禁止というゾーニングを施したのに、まだクレームがつくのは何でやねん」ということになるわけです。

あえてクレーム側へ戦略をご提案すれば、案件ごとに別の人物を立てるのがよろしいです。

まず「私は女性なので、こんな絵は見たくありません」と言えば、「いやなら見るな」で話が済みます。これに対して……

「検索の際にうっかり見ないで済むように、インターネットプロバイダが配慮してください」と言い返すことができるので、対応すべきは誰なのか、話がはっきりします。

あるいは「閲覧した男性の中で、実際に凶悪事件を起こす人がいたらどうするんですか」と問いかければ、創作者全体・警察・法曹・政府・自治体・教育・精神医療・報道などの専門家を含めた大論争の火蓋を切って落とすことができます。

また「萌えるとか感じるとか思う男性がいると思うだけで許せないです」と言えば、創作者全体(以下同文)です。

いっぽうで「子どもを連れて常設展を見に行ったら、特別展の一部がはみ出してるじゃないですか。子どもに変なもの見せないでください」と言えば……

宣伝目的でゾーニングの境界を甘くした美術館の手落ちです。

もっとも、六本木にあって、常日頃から前衛的な作品を展示する美術館というのは、昼ひなかにお弁当もって子連れで行くべきところとは言えません。

本当は、芸術というのは、成人に鑑賞してもらうことを意図しているものです。

川端康成の作品に「踊り子の夜が汚される」という文章がありますが、わずか十四歳の少女が具体的に何をされることか、子どもに分かるように詳しく述べなさいと言われたら、困る保護者のほうが多いでしょう。

子どもを連れて行くに相応しい大人のための施設というのも、本当はごく限られているものです。

どこにでも子どもをともなう日本人こそ、子どもへの配慮が足りません。

子どもに美術の勉強をさせたいなら、公立図書館で絵本を読んでやるか、絵本作家専門の美術館を訪ねるか、ドイツ製の木のおもちゃの店にでも行くのがよろしいです。おとなの心もなごみます。



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