【トラウマは他人を傷つける口実ではないです。】

  28, 2015 10:37
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フロイトは「同じ動作をくりかえす」ことによって、当時では狂人と見なされ、精神病院の片隅で拘束衣を着せられて一生を終わるはずだった人々を「原因のはっきりした病気だから、治すことができるはずだ」と見抜くことによって、救ったのです。

会話を通じて患者の過去へ立ち戻り、一つ一つ証拠を拾い集めることによって、何が起きたのか推理したのです。

同じ時代にミステリという創作物の流行が始まったのも偶然ではなく、たったひとつの真実を見抜くのは冤罪を防ぐためです。

言葉の魔力を神ひとりのものとしておかず、人間が使いこなすことによって、人間自身を救う。そういう人間精神の独立宣言だったはずです。

重要なのは、同じ動作をくりかえす人々自身がそれを「つらい」と感じ、治したいと願ったことです。

当時は一般に「性」を話題にすることが、強く自粛されました。また「親が恥ずかしいことをしていた」「親が悪い人だった」と告発することは、現代人にもためらわれることです。

だから言いたいことがあっても言えない。逆に言えば、本当は誰かに話を聞いてほしい。ひらたく言うと、ともだち欲しい。

そういう心の寂しさの訴えが、くりかえし動作となって表れることを、フロイトという名探偵が見抜いたわけです。

この知識が本末転倒すると「お母さんがトラウマになっているから、私が他人を傷つけるのも当たり前である」という、暴力の口実になります。

フロイトの目的は「治す」ことです。

学説を利用されることではありません。

自分の心に問題があって、周囲に迷惑をかけていることを自覚しているなら、受診しましょう。

フロイトの時代には、脳を落ち着かせる薬剤が存在しませんでしたから、言葉という魔力(の一種)を駆使したのです。

が、薬があれば、彼だって処方したでしょう。

本当に直すべきは、薬をもらいに行く精神科の患者を差別する社会のほうです。

今では「薬そのものは対症療法であって、根本的には話し合うことだ」という正しい知識が広まって、グループ発表会なども行われるようになりました。

ディズニー映画『シュガーラッシュ』冒頭でもやってましたね。



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