ところで頼盛は面白かった。

  14, 2012 10:06
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『平清盛』第35回「わが都、福原」における平頼盛。

出番が久しぶりだったせいか、俳優さん自身に新鮮な熱意があふれていた。自然な勢いが感じられて良かった。

「そ、そのお姿は!」
「うん。出家した」
「それは見れば分かりますが!」

失笑(*´∀`*) あのテンポの良さはアニメでは出しにくいところ。(声優が一人ずつ順番に収録するからじゃないかだと思う)
「史実の頼盛をどう考えるか」ではなく「西島隆弘としての頼盛」になっちゃっており、それはそれで生きた人物としての説得力があり、可愛い。

「くちうるさく平家を支える」が時忠・重盛とかぶっちゃっており、キャラ設定がパターン化・データベース的なマンガタッチ脚本の弱点かなーとも思うし、だったらいっそ史実を無視して最初から削ればよかったんじゃないかと思わないこともないが、2時間で終わる映画と違うので『グラディエーター』ほど大胆に脚色するわけにいかないとこが大河そのものの弱みなのかもしれない。

今回は頼朝をナレーターに「源平の争乱」を双方の視点から描くという構成をとったが、乱後まで生き延びた頼盛の視点であくまで平家がたから語り、後白河院・頼朝をゲストキャラ的にあつかうのも面白かったんじゃないかという気も今更する。

「人大杉」というクレームも報道されているが、俳優が若いままなせいと、年がら年じゅう六波羅に集まってる(内裏に出仕しろよ)もんだから、全員が「部屋住み」のように感じられる。「一門」のイメージが任侠の「なんとか一家」なのかもしれない。

実際にはそれぞれが自分の邸宅をかまえ、家族と家臣をもち、姻戚の実力を頼りに棟梁との間に・兄弟叔父甥同士で、緊張感をはらんでいた……ってことが伝わってこない。骨肉相食むお家騒動・お互いに決定打を避けるための駆け引きが面白いはずなんだけど、まァややこしいし、描くに難しいのは分かる。(古代ローマものは戦争と暗殺で決着がつくので描きやすいと思う)

これからの展開としては史実上は「平家を支えるはずがこんなことに」という方向なわけで、そのための「フラグ」ではあるわけだけど、なんかまた精神論でむりやり辻褄をあわせる可能性もあり、興味深いような不安なような。

史上の人物としての頼盛は、長年にわたって立ち回りに苦慮した様子が、言っちゃなんだが面白い人で、この人だけを年配の俳優さんの演技でじっくり見たい気もする。

他人が見届けた政治的動きの記録は残ってるが、本人が「今にみてろ」と思っていたのか、「貧乏くじを引いた」と嫁や家来に愚痴っていたのか、「生き延びてやる」と開き直ったタフさが危険な色気を漂わせていたのかは分からない。

ドラマでは「八条院さんちの仕事が忙しいんだもんーー」と涙目だったが、実際なに考えて仕事さぼったのか、立ち回りが下手すぎるのかバカなのか、彼が八条院を露骨に支持して後白河院(建春門院)関係をシカトすれば八条院がたも気まずい思いをするはずで、この時点で対立を表面化させるような行動をとってよかったものかどうか、どう落とし前をつけるつもりだったのか、わかるように描かれていないのはいつものことだから仕方がない。

分かったつもりで人間性を描くのがドラマなんだけど、それをやると頼盛に時間と心的重心がかかり過ぎてしまい、清盛のドラマでも源平のドラマでもなくなっちゃうので肝心のところはぼかしてサッサと次へ参りますってことで北条さんちが映って、あれはあれで楽しいわけだけども。

でもそういうわけで「演技としての頼盛」は可愛らしくまとまっていたので、引き続き楽しみに観ていくことができると思う。口ひげがどうにも似合わないんだけど、意外や力のある俳優さんだと思った。
これからは重盛とのツーショットが増えるのかどうか。海外ドラマなら「(兄弟親戚でも)髪の色が違う」など見分けがつきやすいのだけどねェ。
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