【アニパロからの言い換え。】

  15, 2015 10:39
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確か1985年頃、竹宮恵子の作品を指差して「こういうの、やおいって言うんでしょ?」という人があって、愕然とさせられました。

竹宮作品が「やおい」と呼ばれる筋合いはありません。

もともと「手塚先生や石ノ森先生の教えを忠実に守った竹宮先生のような素晴らしい仕事ではなく、私たちの手がけている(パロディ)作品には、山も落ちもない」という意味だからです。

同人の側から、トラブルを防ぐために、わざわざ違う名称を提案したのです。

その語が提唱されたのは、1979年頃のこととされています。その後、急速に広まった……わけではありませんでした。


【クレーム対応。】

二十四年組作品の一つを下敷きにした二次創作が、読者投稿という形で市販雑誌に掲載されてしまったことがありました。

その出版社は、プロ作品の無断翻案の無断掲載によって、利益を得たわけです。

原作サイドから、ただちにクレームがあって、編集部による謝罪文が掲載される運びとなりました。1983年頃のことです。

その後アニメファン and/or 創作同人の間では「アニパロ」という言葉が使われなくなり、「やおい」または「ロリ」という隠語に置き換わって行きました。パロディであることを明言しないほうが良いという意識が芽生えたのです。

また、この頃までの二次創作の下敷きとなった作品は、テレビオリジナルのアニメ番組でした。アニメファンによる活動の一環という建前で、アニメ監督が独占権を主張しないことによって、かろうじて成り立っていたのです。

でもこの頃に、漫画を原作に持つアニメ番組による二次創作が流行し始めます。原作漫画家の権利というものが視野に入って来たのです。

ここで出版権者の一部にすぎない編集部がどうとか言えば、本来の著作者人格権の専有者である原作者を軽んじたことになります。

でも編集部がなんとかいう噂が流布していたということは、事実はその通りだったわけです。

そのくせ「プロ漫画家の仲間にしてほしいです」とは言えません。

それでもパロディの制作を続けたければ、隠語が必要となります。

つまり、それは権利問題ゆえに、口外されてはならないものだったのです。


【社会通念。】

「やおい」という言葉が定着した後で同人界に参加した新世代は、この経緯を理解できませんでした。それは男色を主題にしたエロティックな作品だから「やばい」のだと勘違いしました。

もちろん背景にあったのは、「少女」が社会通念としてのゲイ差別を内面化していたことです。

同時に、自分は女性だから性的創作物へのアクセスを禁じられているという被害者意識でした。

だからこそ、有名な晴海のコミケというところへ行ってきたことに興奮し、地元で「こういうの、やおいって言うんだって(私すごいこと知ってるでしょ)」と言いふらしたわけです。

だからこそ、社会学者も「不良少女の間で悪いものが流行している(よほど深い心の闇があるに違いない)」という取り上げ方をしたのです。


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