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【自虐しない一次、自虐する二次。】


生き駒の目を抜く大都会で、創作物を頒布することによって自立できた人は、頭の悪い田舎者のお母さんのせいでお嫁にいけなかった可哀想な女の子ではありません。

ご両親の基本的な経済的援助(=学費・下宿費)のもとに、才能と努力と度胸によって、自立する資格を勝ち得た人です。

でも、二次的著作物の無許諾頒布によって自立できたことは自慢できません。

自虐的な自称は、あくまで権利問題の存在を暗示する言葉です。

女性がBLを上梓して自立することが、すべて恥ずかしいことなのであれば、その出版権を得ることで彼女の自立に協力した出版社も、共犯ということになってしまいます。

それでは、出版社が自分で自分の表現の自由を否定したことになってしまいます。

オリジナル創作と二次的著作物、その作者同士を混同して「あれも自虐、これも自虐」と唱える間違いの深刻さを分かっている人は、自虐説とトラウマ説をふりかざした社会学者等の中にはいませんでした。

これをよく論駁せずに、「BLは女性にトラウマを与える男性中心社会への抵抗運動である」というふうに捉えてしまうと、誤ったラディカルフェミニズム的主張が生じます。

ブルーストッキングというのは、女だてらに文芸や美術に関心を示す人を男性がからかって呼んだ自虐ならぬ他虐語だったそうです。

平塚らいてう達は、それを逆手に取りました。

これは公民権運動の中で「ブラック・イズ・ビューティフル」が唱えられたのと同じでしょう。

これと同じ発想を「やおい・腐女子」に適用すると、「やおいは女性の権利じゃないですか! 腐女子であることは恥ずかしいことではない!」となるのですが……

根本が違うのです。



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Misha

Author:Misha
スマホ時代にさからう評論系長文ブログ。冷静に通読できる大人の読者様を想定しています。

「若い人」に直接呼びかける文章は、18歳以上のヤングアダルト対象です。高校生は受験を最優先してください。

書く人は、新旧とりまぜて映画とアニメを見ながら文芸書に取りくんでみたり、昔の漫画を思い出したり、お国の先行きを心配したりしております。

記事中の色つき文字は、映画中の台詞・挿入歌からの引用です。あらすじは、あまり申しませんので、楽しみに御覧ください。取り上げる作品は、暴力・エロスなど特殊な要素を含んでいることもあります。

ときおり、耽美・BL・同人・LGBTに言及します。いずれの分野からも、偏見と差別と自虐がなくなるといいと思っております。

「二次創作の責任を二十四年組に押しつけるな」「実在同性愛者に甘えるな」が基調です。

全体として、二十四年組ファンが社会学者に物申すという珍しい構図。一部勘違い同人を叱責することによって全体を守るという意図もあり、ときにかなり辛口です。

記事は時々予告なく手直し・削除・分割しております。保存は個人的閲覧の範囲で、お早めに御随意に。転載・改変利用は固くお断り申し上げます。

解題


Casketとは、玉手箱。

でも検索すると棺桶がならびます。来世まで持っていきたい好きな作品の記録帳とご理解ください。