【ドラマ『相棒』で印象的だったお話。】

  24, 2015 13:30
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season9、第14話「右京のスーツ」。

女性テーラーが客の個人情報を利用したのか? というお話。

容疑者が何人も用意されており、それぞれに秘密を抱えているのが少しずつ明かされていくという、二段・三段構えの密度の濃いお話。もの哀しい後味も良く、印象的でした。

脚本、富永徳彦。監督、東伸児。

ネクタイにウェストコート姿で職務に励む若き女流テーラーがカッコ良かったです。脚本が女性ではないことにちょっと驚きました。(まさか女性のペンネームでしょうか。)

店主役の小松政夫の芝居が良かったです。加齢によって滑舌が怪しくなってるんですが、そこが良いです。役者には長生きしてほしいです。

右京さんは妙にウキウキとスーツを話題にしてましたが、もしかしたら水谷さんが素で男のお洒落の話題がお好きなのかもしれません。

女装者が悪役になる話でなくて良かったです。


【season9、第14話「ボーダーライン」】

就職難で、日銭欲しさに名義貸しに関わり、それもうまく行かなくなった青年のお話。

脚本、櫻井武晴。監督、橋本一。

不運な青年「柴田」を演じた山本浩司がいい俳優だと思いました。

いかにも一般的な日本人らしいというのか、ひじょうに地味な顔をした人で、ご本人もスターになれるつもりで演技の世界に入ったわけではないと思いますが……

あまり動かない表情に内圧を秘めた名演技でした。

クライマックスのビル屋上、“社会にころされ”る瞬間のリアル演技は、閃光を放ったと思います。


【亀ちゃんがいた頃のお話。】

サブタイトルも知らずに途中から鑑賞した回。老映画監督を手にかけたのは、往年の名女優なのか? というお話。

客足の途絶えた映画館の閉鎖と、ベテラン監督の最期を重ねた味わい深いお話でした。

夢やぶれた中年女性の悲哀と優しさを事件の動機とし、誰も悪い人がいないという、ひねりがないようで実は最もひねってある脚本は、女性の仕事だったと思います。

昭和中頃の映画への愛と追憶が全編に横溢しており、ラストシーンでは亀ちゃんたち出演者の名が、みごとに当時を再現した劇中劇の出演者の名として懐かしい字体で表示されていたのが憎い演出でした。(たぶんseason5。)


【season2、第18話「ピルイーター」】

これはちょっとひどい話で、「ゲイは女をだます迷惑な連中なんだぜ」という印象を生んでしまうので、いかがなものかと思います。

だました男が悪いにゃ違いありませんが、勝手に興奮して刃物を振りまわす女も悪いです。なんでゲイが死ななきゃならんのか。

「ばれたらまずいんじゃないですか」って、おいおい亀ちゃん亀ちゃん亀ちゃん。

シリーズ初期のエピソードなので、まだそのへんの配慮も浅かった時代ということでしょうか。


【違うドラマですが。】

「あんたの子がうちの子をいじめたから、あんたが女装バーへ通っていることをばらしてやる」

という話があったのです。めまいがしました。

父親の趣味と子どものいじめは関係ありません。これじゃ大人のいじめです。


【時代劇が衰退したわけ。】

インターネットに客を取られたという、テレビ界に共通する原因はあるんですが、だからといって誰もテレビを見なくなったわけではありません。

アニメ番組の中にも、刑事ドラマの中にも、長寿を誇るものがあるわけです。

都会の片隅で懸命に生きる善男善女を悪い奴が利用する・秘密を握って追いつめるというのは、時代劇でも刑事ドラマでも、刑事ドラマに準じたアニメ番組でも同じです。

時代劇では、お家騒動・幕府の転覆・抜け荷・阿片くらいしか悪事が描けないわけで、とくに若者の就職難や女性の就職差別といった現代の社会問題は取り上げることができません。

敗戦直後には、封建主義を思い出させるという理由で、占領軍によって時代劇の制作が禁止されたこともあったんだそうで、その後になって解禁されたときには、逆に時代劇を作ることが自由の象徴だったのかもしれません。

勧善懲悪のステレオタイプとしては、刑事ドラマにバトンタッチして、その役割を終えたわけですが、国際化時代だからこそ『ハリー・ポッター』のように民族の伝統に根ざしたファンタジーが流行るわけで、若い人の間には母国の歴史を見直す動きも盛んかと思われます。

ときどきバラエティ番組で紹介してるような、新しく分かった事実を取り入れた、一種の情報番組・再現ドラマとしての時代劇なら、あり得るのかもしれません。

だいぶ前になりますが、確かTBS系で「ポンペイ最後の日」をドラマ化しており、ジローラモ氏が一家の父親役を好演していたのが印象的でした。

大河ドラマは小道具や衣装に発揮する最新の考証を、物語にも取り入れると良いだろうと思います。


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