【フェミニズムは民族国家を超えるのです。】

  01, 2015 10:21
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吉本隆明『私の「戦争論」』に、和歌山カレー事件への言及があって、あれは女が男に毒を盛ったというのが本当なら、女権拡張の行き着いたその先で、フェミニズムを超えているというのです。

でも、良人に一服盛るという毒婦は昔からいたのです。

ラ・ヴォワザンを引き合いに出すまでもないように、女性は腕力がないので、一服盛るという手段を使うのです。

余談ですが、竹宮恵子『風と木の詩』のようなBL系作品で(オフェンシヴな登場人物が男性でありながら)一服盛るという手段が使用されるのも、作者・読者女性の肉体的な弱さを反映しているからです。

弱い女性だからこそ、毒を使うわけであり、自前の財産がないからこそ良人の保険金を欲しがるわけでもあり、これは女権を超えたというほどではありません。

フェミニズムが想定の範囲外へ突出していった現象とは、少子化によって自分自身の未来を危うくしたことです。

上野千鶴子氏も、田嶋陽子氏も、二十年後に寝たきりとなったとき、介護してくれる若者がいるとは限りません。ひとえに人数不足だからです。

移民の若者が担当してくれるかもしれませんが、移民と日本人との軋轢という問題も多発していることでしょう。

最初のうちは、ごく少数の学歴の高い女性が「自分じゃなくても他の女性が産んでくれる」と思っていたことでしょう。

とくに団塊世代の結婚適齢期だった1970年代、および第二次ベビーブーマーが成長した1980年代は、若者の人数が多かったので「まず大丈夫」と思うことができたのです。

でも、非婚という選択肢はすみやかに普及しました。

去年生まれた赤ちゃん約百万人が、三十年後に五十万カップルになって、一人ずつ成せば、次世代は五十万人。その三十年後は二十五万人。その三十年後は十二万五千人。地方都市より少人数です。

三十一年後に六十万カップルが成立して六十万人が生まれ、その翌年には七十万カップルから七十万人が生まれ……と順に増やしていきたいのであれば、来年度から出生数をうなぎ上りにしていく必要があります。

すなわち、この下半期から、結婚ラッシュを起こす必要があります。

実際には、二人目どころか一人産むのも躊躇される社会状況が続いておりますから、たぶん無理でしょう。

実際には、ある年の出生者だけではなく、その前後二十年間くらいに生まれた人々が束になって掛かるはずですが、現状で、適齢期の約二千五百万人から百万人しか生まれていません。

これからは、分母が減ります。今の二十代は年間約百二十万人。今の十代は約百十万人です。

満期産には約九ヶ月を要しますから、今年度内(2016年4月1日まで)に生まれる赤ちゃんのほとんどは、すでにお腹にいる人です。おそらく百万人を割っています。

現状のままなら、百年後に日本人は絶滅ラインを割ります。混血する他ありません。その頃には、今の二十代さえ、ほとんどが生存していません。

もう「日本人らしさ」なんて気にする人もいないでしょう。

フェミニズムは民族国家を超えるのです。おめでとうございます。

ここまでは皮肉です。本当は、女権が産業社会の末端(であるところの低賃金労働者)として取り込まれるという形で中途半端に伸張しただけで、家事分担や育児休暇制度が整備されきらないから、産むに産めないのであって、若い女性だけの責任ではなく、社会全体の責任です。

でも、本当にそれによって国家間戦争がなくなるなら、良いことだと思います。

でも、食糧と資源の奪い合いがなくなることはないので、混血の同士討ちが起こるのかもしれません。それじゃたまらんということで、ついにアジアもEUのような連合体になるのかもしれません。でも、その中でもギリシャのような「どーすんの」という問題は起こり続けるでしょう。

コミケ派同人は、SF同人の末裔です。自分なりの未来予想図を描いてみると良いです。


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