【著作権法を厳密に適用すればするほど。】

  04, 2015 10:02
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二次創作を立件することは難しくなります。

原作への依拠性を証明する証拠をそろえることが難しいからです。たとえ非親告罪になっても、検察官が証拠をそろえなければならないことは同じです。

【そもそも裁判とは。】

じつは被告を守るためのものです。

「悪いに決まってる」と思い込んだ一般市民による私刑のほうが、エスカレートしやすいからです。その前に第三者が割って入って「万人が納得できる証拠を見せてください」というのが裁判です。だから時々、一般人には理解不能な判決が下ることもあるのです。

これは裁判の本質であって、私が道理をまげて二次創作を弁護しようとしているわけではありません。

【二次創作の依拠性。】

未来の猫型ロボットや電気ネズミなど、ひじょうに特徴的にデフォルメされた動物キャラクターであれば、誰が見ても「あれだ」と気づきます。

でも、原作少年漫画とは似ても似つかぬ少女漫画ふう美少年たちが、サッカーせずにデートしているだけなら、知らない人が見れば、ただの新作漫画です。

世のなかには反感を持つ人もいて「どうしてこれをわざわざ二次創作として出すのか分からない」ということもあります。が、両刃の剣です。まさにその疑問を利用して「二次創作ではありません」と言い張ることも可能だからです。

同人の中にも長年続けている人気者と、すぐに淘汰されてしまう人がいるということは、上手い人とそうでもない人がいるわけで、購読者からすれば、二次創作なら何でも良いわけではなく、「あの有名な同人作家が新刊を出したから買いに行こう」ということであるはずです。

つまり、原作とは別の独自価値があると主張することが可能です。

じつは著作者人格権というのは、原作者の名において何でも命令できる権利ではありません。自分の名前および作品の題号を使われない権利です。

二次創作者が注意書きのつもりで「○○先生とは関係ありません」と名前を出してしまえば、かえって、それ自体によって宣伝効果(検索ヒット効果)を持ったことになり、権利者はここを突くことができます。

でも「△△物語のパロディでございます」とは言っていない作品において、登場人物の名前が同じというだけでは、その人名を商標登録しておかない限り、現実の子どもに人気スポーツ選手の名前をつけるようなもので、「憧れているので独自作品の主人公名として使わせてもらった」ぐらいのことは言えるのです。

そして「パロディでございます」と宣伝することを、同人はもうずいぶん昔からやめているのです。だからこそ、一見すると意味不明な隠語を使ってきたのです。

【裁判とは、その2。】

日本の裁判は、洋画やテレビコマーシャルのように派手ではありませんが、ああ言えばこう言う主張のぶつかり合いであることは同じです。

裁判とは、証拠をそろえたと信じる人と、断固たたかい抜くぞと決意した人がいるから成り立つのであって、控訴を棄却すれば終わる道理です。

いきなり罪を認めてしまえば、和解・示談といったことで終わりです。逆にいえば、たたかい抜く所存であれば、なんとでも言ってよいのです。それこそ表現の自由です。

じつは著作権に関わる裁判はたくさん起こされており、当然ながら、どの被告も「依拠性はない」と言いぬけようとします。それが被告の権利です。

【だからこそ。】

倫理観が問われるのです。

法律というのは、人間社会で生起する全ての現象を網羅しているわけではありません。経験にもとづいて「やらないほうがいいよね」「やる人がいると迷惑だよね」と多くの人が認めたことだけを、わざわざ禁止しているのです。

それを「金目だからいいじゃん」「みんなやってるからいいじゃん」と言えば、その人自身の人間性、ひいては同人全体の人間性が問われるということになります。

百歩譲って「二次も含めた表現の自由(≒フェアユース)」を主張された時だけ、一般社会としても、法曹界としても「検討してみる」と答えることができる……でしょう。たぶん。

出版界は「青田としての価値がある」ということで、事実上、これを主張しているわけです。が、個々の原作者が認めているかどうかは、また別です。

彼らも著作者人格権においてさえ、正式に告訴することが難しいからこそ、実際に裁判を起こす前に「原作者の意向」を発表するという形で倫理観に訴え、社会的制裁を期待するわけです。

言ってしまえば、原作者がどんな意向を示そうが、それを無視することもできます。でも、一度原作者が「やめてほしい」と言えば、多くの同人がそれを尊重することになっています。

大学の先生も「出版界が認めているから」ということはできますが、「自分の意見ではどうなんだ」と問い返されることはあり得ます。

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