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【時代劇の不調、創作の背景。】


キモノを着た人が大勢出てくる昔の話だから見ていられない、というわけではないです。

『武士の家計簿』などのヒットがあるわけですし、テレビ番組で「現代と同じ便利グッズが江戸時代にも存在した!」なんてやってるのは、あるていど人気があるはずです。

若い人だって、自分のルーツを確認したい心はあるはずで、ネットによる国際化の加速もあって、外国へ誇れる日本の伝統という話は、いま強く求められているはずです。

だから時代劇の問題は、たんに昔の話だからじゃなくて、その「腕力で問題を解決する」というテレビ的ステロタイプが共感を得なくなったこと、さらに「主君のために命を捨てる、主君の命令には絶対服従で切腹も当然」という価値観が理解されないからでしょう。

また、これは理解されないほうが良いとも言えます。ノーと言える日本人を作るためには「絶対服従ばんざい」と放映し続けるわけにはいかない。

逆に「絶対服従ゆえの悲劇」を強調すれば、最終的には「自分勝手なバカ殿様の出てくる話なんて不愉快で見たくない」という拒否反応を起こすでしょう。

「義理と人情、はかりにかけりゃ」で泣けるのは、自分自身が同じプレッシャーを感じている人です。日本人たる者、そのように生きなければならないと思う時だけ、悲壮感と自己陶酔が生まれるのです。

でも、頭の硬いワンマン上司なんて要らない、言葉の掛けかたを工夫して部下を生かす時代だというハウツー本が連発される時代に、武士の美学は通用しません。

この国は、ずーーっと武士の美学でやってきたのです。軍閥の元が幕藩時代の武士だったことは言うまでもありません。旧軍隊の司令官クラスには、士族出身者が大勢いたのです。国家存亡の大事に当たって、彼らが作戦にしろ、人材登用にせよ、適材適所ということができなかったのは残念ながら明白です。

外人さんが「サムライ、ビューティフル」と言ってくださるのは有難いし、日本刀およびそれを構えた姿は美しいけれども、そもそも武士であるってそんなに良いことなのか? 

どうもそうじゃなさそうだっていうふうに底が割れてしまった。

日本人が「ノー」と言ったのです。それはそれで喜ばしいことのはずです。

ふと思い出すと、そういう社会的背景があるときに、トップダウン式に「武士は一蓮托生!」って叫ぶドラマは、やっぱり無理だったかもしれない。

武士であるとは、当時にあっては貴族から差別されるということだった。じゃあ現代人にとっては? 

今の時代に武士のドラマを見る意味は? 


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Misha

Author:Misha
スマホ時代にさからう評論系長文ブログ。冷静に通読できる大人の読者様を想定しています。

「若い人」に直接呼びかける文章は、18歳以上のヤングアダルト対象です。高校生は受験を最優先してください。

書く人は、新旧とりまぜて映画とアニメを見ながら文芸書に取りくんでみたり、昔の漫画を思い出したり、お国の先行きを心配したりしております。

記事中の色つき文字は、映画中の台詞・挿入歌からの引用です。あらすじは、あまり申しませんので、楽しみに御覧ください。取り上げる作品は、暴力・エロスなど特殊な要素を含んでいることもあります。

ときおり、耽美・BL・同人・LGBTに言及します。いずれの分野からも、偏見と差別と自虐がなくなるといいと思っております。

「二次創作の責任を二十四年組に押しつけるな」「実在同性愛者に甘えるな」が基調です。

全体として、二十四年組ファンが社会学者に物申すという珍しい構図。一部勘違い同人を叱責することによって全体を守るという意図もあり、ときにかなり辛口です。

記事は時々予告なく手直し・削除・分割しております。保存は個人的閲覧の範囲で、お早めに御随意に。転載・改変利用は固くお断り申し上げます。

解題


Casketとは、玉手箱。

でも検索すると棺桶がならびます。来世まで持っていきたい好きな作品の記録帳とご理解ください。