『平清盛』第37回「殿下乗合事件」

  25, 2012 11:12
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皆様ご覧あそばせ。今さらベスト・エピソードにございますよ。

今ごろ面白い。本当に良くなった。政治やってる嬉しいな(*´∀`*)

今回は今さら初登板の演出家:橋爪紳一朗氏。名は体を表すと申すべきか、まさに紳士的かつ明朗な演出でございました。
なんたってBGMの少なさが素晴らしい!!

わずかなセリフから垣間見える人間心理の掛け合いだけで自然に盛り上がる緊張感。時おり使われる鈴の音・琵琶の音、かすかに響く現代音楽的な不安なメロディーが非常に効果的でございました。今までの使用曲と違いましたね。ここへ来てテコ入れですか。嫌味はともかく。

場面転換に無理がなく、非常に見やすかったです。まず廊下を人が歩いてくるところから映して「次の場面が始まりますよ」と無言のうちに知らせるのは、視聴者にとって親切に感じられます。

同時に、画面からはみ出すほどの接写、中心線をずらした構図など、不安感・酩酊感を高めるための、このシリーズならではの手法も踏襲されておりましたし。

重盛のクライマックス、画面の手ブレが利いていました。

脚本は「どうした?」と聞きたいほどの出来の良さ。余計なセリフがなくなって本当にありがたい。怒鳴るキャラがいなくなって本っ当ーーにありがたい。

重盛の人間性は史実とされていることとも平家物語とも違うわけですが、ドラマ内における前回までの経過を引き継いでおり、また子供たちがそろそろ天狗になっている様子がさりげなく挿入された後の事件ということで、人物の心理に無理がなく、常識的に理解できる経過、あるべき流れが緊張感をもって流れている。ただそれだけのことで面白い。大人同士が目を見交わすだけのことで視聴者にも場面の意味が通じる。相変わらずナレーションは要らない。

福原の寝殿における清盛と盛国、時忠の陰謀三人組が形作るトライアングルは美しくも凶々しく、よろしかったです。平家の「赤」が利いています。マフィア的な存在であることがよく表されるようになりました。国を変えるとか豊かにするとか基本的に嘘です。清盛は富を「国」に還元してないから排除されたのです。東国武士の口を借りて、彼の政治は武士のためになっていないという正しいツッコミがなされたのは快挙でした。

プータロー時忠のフリーダムな動き、「重盛じゃダメだ、お前いけ」と暗に匂わせる清盛と、決して嬉しくはなさそうに、しかし余計な返事をせず汚れ役を黙って引き受ける時忠、同じく無言のうちに兄と呼応する時子。

時忠の羽根、すごろく勝負に「勝った」など、視覚的アイテムが無言のうちに利いていたのも素晴らしかったです。

……本当に同じ人か? 脚本……

いやアイテムの効かせ方を見ると同じ人なんだけど、とにかく台詞が減り、筆がさばけて来た。今回は関係者を絞り込んだのが良かった。乗合事件に後白河院を口出しさせたり、宗盛などにクドクド言わせなかったのが本当に良かったと思う。公卿が一人だけコメディタッチを担当しており、これの扱いがサラッとしていたのも良かった。これは演出のセンスでもある。

演出のセンスといえば、光あふれる福原・影のさす重盛の六波羅・密閉感のある宮中、と舞台の違いがよく表されていたのも理解しやすさ・見やすさを高めていたと思います。前は寝殿がどこも同じに見えたものさ。

松ケンは口角を下げて中年男らしい顔つきを作っているのが、なかなかよろしいです。彼がセリフを言わないほうがドラマが生き生きしているってのはどうなんだ、と失笑させられますが、体が大きいというだけで存在感を主張できるのは役者として得なはずで、キャスティングに間違いはなかったと思われます。

時忠は装束の上からも小柄で痩せた体格、いかにも策士らしい神経質な体つきが感じられ、よい対比になっています。がっちり型の盛国がバランス取ってる感じですね。

平家の公達は文武両道でハードトレーニングを積んでいたのだろうな、とかねがね思っておりましたが、そこが示されたのも今回の収穫でした。
国に口を出してもいいけど子供には礼儀を教えておくといいと思います。

時子は史実では後宮で容赦ない側面を見せましたが、今までは深キョンのキャラもあってか、そこが描かれなかったのが、今回は黒幕らしさがよく表されました。琵琶の音色で女性たちと基房襲撃をつなぎ、彼女の関与を匂わせたのは秀逸な場面でしたね。

それにしても琵琶の曲ってあれしかないのか……

北条家における酒宴を最初と最後においたサンドイッチ構成はお見事でした。途中でザッピングしたら分かりにくかったでしょう。福原と京都の二箇所に絞り込み、乗合の件をいかに処理するかに絞り込んだので緊密なドラマとなりました。

前回から父に頭が上がらない重盛、時忠配下の赤い禿、頼朝がそろそろキレ始めた件、彼への興味を徐々に高める政子ちゃん……と次へのバトンをちらつかせつつ、遮那王登場でまたややこしくならないといいけどなとちょっと不安も抱えつつ。

ああそうだ、秀衡キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!! って言うの忘れた。
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