『負けて、勝つ』第3回。

  25, 2012 13:26
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NHKオンデマンドで無料配信中の関連番組『負けて、勝つ ~戦後を創ったVFX』が素晴らしいのでご覧あそばせ。4分の超短編ですが戦後の街並み・厚木に到着するマッカーサー機・GHQ建物(第一生命館)の再現ぶりの素晴らしさが堪能できます。音楽も泣ける。

本編は人間ドラマの硬派ぶりも好感度大ですが、日本家屋の風情・洋風の建物や調度の豪華さが目の保養であるとともに、このCGで描かれた戦後の街が「看板役者」の一人でもあります。

第3回は「今回もセピア調の画面が目に優しい(*´∀`)」と思っていたら途中で色調が変わりました。少しずつ「復興」していくようです。

物語はややどころかすごい駆け足になりましたが、「劇薬のしたたり」とでも言うべきGHQ内部の権力劇に白洲と吉田が巻き込まれた描写は面白かったですというか色っぽかったです。ワーグナーって悪役っぽいなぁ(笑)
複雑な状況を描写しているのですが切り替えのテンポが早く退屈しません。外人俳優さん達も役者ぞろいでよろしいです。

元帥は……キレちゃいましたね。コーンパイプは本当にコーンの芯なんだってことを初めて視認しました。「私を撃てばまた戦争だ」歴戦の英雄である自分の存在価値を命がけで確認しなければいられなかったのでしょう。日本人は自分を支配する人にはエラくなって欲しがる。「えらい人に支配される」感じが好きなのかもしれないです。


本朝の恐れ多くも(元)大元帥閣下は……今日も静かな名演でした。だって本当にあんな感じだったんだってば。あの細やかな演技力・存在感はやっぱり能役者、といって良いと思う。

今回は能役者といえばもうお一方。あの方も変な存在感(誉めてます)があって、冥界から霊力で話しかけてくるような気がする。

「戦友」が一人ずつ逝き、挫折する中、ひとり顔を覆って泣く生き残り。黙って茶漬けをすする男たち。みな禁欲・勤勉ゆえの色気があります。「正調男祭り」ってのはこういうの。

さまざま乗り越えて吉田が「ばんざい」を放つシーンには泣けました。渡辺謙はやはり振り返る・「面を切る」仕草に特徴があり、能・歌舞伎の型を思わせ、かっこいいです。

牧野伯は旅立ってしまわれました。三週間ほど幸せを味わわせて頂きました。ありがとうございました。洋画『ロビン・フッド』におけるマックス・フォン・シドーもそうでしたが、お歳を召した俳優さんのご臨終場面には本当に立ち会ってしまったような気分になります(´・ω・`) 加藤剛さまいつまでもお元気で活躍なさって下さい。(「世界三大美男の一人」説に賛成)

で……

中二病な上に女性差別発言をかます若者が二名おりますが、見事にうっとうしいですね!(・∀・)

この「若い男の独善」というのは今のドラマに必要なのかな。こちらは『清盛』の自己陶酔的な感じとちがって、やや自嘲気味・自己反省的ですね。女性作者・視聴者が、悩める若者を可愛らしく思いながら書く・鑑賞するのと、男性が「俺にもこういう頃あったし」と思いながら書くのとの違いでしょう。

女性の辛苦が同情的・好意的に描かれているのと良い対照でもあります。女性が「でも一人で生きていける」みたいな虚勢は張らないところがかえって良いですね。辛いものは辛い。

吉田自身も他の政治家たちも、悩んでる顔だけで、具体的にこの時期にどんな政策をとったのか、というようなことは描かれておらず、支持率の低かったものがいつの間にか支持を集めていたり、何がどのように理解されて評価が変わったのか、そこは分かりませんが、見る人の立場によって評価できるかできないか、分かれる部分であるところには触れないということでしょう。

小説では事情を全く書かずに「彼は悩んでいた」とだけ書くってわけにいかないので、これは俳優の存在感・絵柄で「いろいろあったんだなーー」と想像させ、「尺」をもたせることのできる映像表現ならではなのでしょう。

米兵の相手をせざるをえず病を得た哀れな街娼 → 咲き誇る桜は日本の美とはかなさの象徴 → 「バカヤロー! 今しぬ気でやらなきゃ独立できねぇんだぞ」のつながりは魅力的でした。

次回も駆け足っぽいですね。
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