出征した人々と、宇宙戦艦。

  03, 2015 10:29
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地方の墓地には巨大な慰霊碑が今も静かにたたずんでいます。

階級は高くありません。でも送り出した村々にとっては一人一人が英雄です。

いちばん若かった兵隊さんは、1945年に14歳で海兵団へ志願入隊した人のはずです。今年84歳。

それより若い人は「軍隊に行ってきた」という経験はありません。

83歳以下の人には、軍隊生活の誇りも、恐怖も、語ることができません。

都会の学童は疎開させられたはずなので、戦争の思い出は田舎の子にイジメられたことと、空腹だったことでしょう。

今から40年前、戦争を知らない子ども達(の一部)がテレビアニメ『宇宙戦艦ヤマト』をもてはやしていた頃、50歳代で社会を支えていたのは、その30年前に20歳前後で復員してきた人々でした。

彼らは南洋の猛暑と、戦艦の機関部の炎熱地獄と、飢えの恐怖と、人間が死んだ後どうなるかを知っていたことでしょう。

彼らから見て、ビートルズみたいな茶髪の若者が、金髪女を連れて連合艦隊の旗艦に乗り込む姿は「ああ……俺たちは負けたんだ。こうやって若い連中からバカにされるのも仕方がない」と思わせるものだったかもしれません。

「憧れの欧米と戦争やって、かなうはずはなかったんだから無理をするんじゃなかった」と今さらながらに思われたかもしれません。

日本製アニメは、その技術の低さがアカデミックな審美眼を持った人々から非難されるばかりではありません。

その程度の低さが放置されてきたのは「こういうみっともないものが若い人に流行ってしまうのも仕方がない」という自虐史観と密接に結びついています。

それを「クール、クール」と騒いでしまった日本政府の浮ついた調子は、何も考えていなかったという他ないでしょう。

なお、戦争・軍隊をえがいた創作物に接して興奮している若い人々の愛国心のほどを確かめるには、「有事に備えて地域防災訓練に参加しろ」と言ってみるとよいです。

「えーー暑いじゃん」と言った瞬間に、チャレンジ終了です。



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