土曜ドラマ『負けて、勝つ』第4回。

  05, 2012 17:47
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時の過ぎゆくままに政治やってる嬉しいな(ノ´∀`*)

右手で握手すれば左からフックを喰らう。ドラマとして見てるぶんにはこれほど楽しいものはない。

すっとばし気味の第3回から一転、テーマをひとつに絞りこ……まざるを得ない大事件が起きたわけですが、各人がどう対処するのか、じっくりした感じがよろしかったです。相変わらず場面転換が「建物の外観」「廊下を歩いてくる人物」からゆっくり入ることと、見事なまでにBGMが少ないので静かに鑑賞できるのがいいです。時おり使われる揺れるカメラが利いてましたね。

懐刀、大活躍。いまだに彼がどんな肩書き、資格で吉田の側にいるのかドラマの中では説明されていないわけですが、状況を知らない者はそもそもこの作品を見ないってことになってるのでしょう。それにしても電話しかなかった時代にどうやって秘密情報を調べたのか……(リークに継ぐリーク、人から人への伝言ゲームしか考えられないので、人脈づくり=政治なのでしょう)

ウィロビーの“ 劇薬 ”ぶりも「結局はこれを狙っていたのか」と伏線が回収された感。他人(とくに外国人)の体に触れることは非常な失礼を意味するわけですが、ついに我慢できなくなった次郎。ここへ向かって3回半かけて盛り上げてきたんだねぇと既に遠い目。

そこから怒鳴り合いなどに入る前にパチッと場面転換してしまうのがいいと思います。そして相変わらず渡辺謙のカメラフレームから不意にいなくなるような身体の転換はかっこいい。元帥との直談判のセリフの少なさ(=余計なことを言わない)には興奮したっす。

毎回登場人物名が字幕で紹介されるのも有難い。ギリギリな人数でいっぱいに廻してるのが作劇のお手本のようです。身寄りのない女性の苦労が平和憲法のマクラにされちゃいましたが、庶民を彼女に代表させつつ、これも余計なことを言わせなかったのが非常によろしいかと。

健一はやはり文学研究者であり、物書きなので、鋭いことを言うんですな。うざいけど。俳優の田中 圭は素晴らしい勢いで舌がまわっており、見事でした。

全体に女性たちが充分に分かった上で謎めいた台詞を吐くのがいいです。
男たちは同席した全員が本当は状況をわきまえてるのに視聴者に分からせるためにあえて声に出してるような感じ。

もともと男が口にするのは、そんなふうに「本当は言わなくてもみんなが分かってること」であるのかもしれません。あえて誰が口に出すか、が問題なんだな。「○○さんが言ってくれて助かった」と思うのさ。発言によって場の支配者になるということは、責任を取らされるということでもあるから。

話題そのものは実にタイムリーというか。ノーコメントにしておこうかな。女は軍隊に口出しちゃいけないと思うんだ。自分の体を守ってくれるために男たちが死を覚悟するという時「なぜ戦うの」なんて寝言をぬかすべきではない。「戦争に負けるということは女性がおかされるということですよ」

大河の女性キャラクターは、平和がバランス外交と国境警備にかかわる不断の努力によって保たれていることを忘れて「そこそこの平和で充分なのになぜ戦うの?」って訊く。女性が書いた男性キャラクターは「なぜ義のために人を斬るのですか」って訊く。女たちが「そこそこの平和で充分よねーー」という陰で男たちが「犬」と呼ばれ「傀儡」と呼ばれ「奴隷」と呼ばれる屈辱に震えていることを無視する。まぁ中二病の文学青年もね。健一が「庶民ですよ」と開き直ったとおり、女たちも「女のくせに」と呼ばれる屈辱に日頃から甘んじているから「ちょっとぐらい嫌なこと言われても我慢すればいいじゃない」「無理して出世することないじゃない、家族のほうが大事でしょ」という理屈に落ち着きたがる。その家族の心身が汚されないためにこそ出世しようとしているのに……

(大河と比較すると、この土曜ドラマはあまりにもいい対照になってるので面白いのだ)

今回の名セリフ「なるべく死なないようにお願いします」「おじいちゃんが決めるんでしょ」(賢いぞ太郎)
今回のオマケ:バーグマンは美しい。

さァあと1回。(このくらいで見る側のテンションが一旦落ち着いてしまうものなのかもしれない)
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