記事一覧

「恐怖の神」の職能を考えてみる。

キャスパーみたいな幽霊なら怖くない。怖いのは「何をするつもりか分からないがジッとこちらを見ている」とか「とりころされる」とか「霊の世界へ引きずって行かれる」とか、そういう時。

「天国よいとこ一度はおいで」という歌があるが、霊の世界がいいところだったら……すぐにご一緒するのは遠慮するかもしれないが、怖くはなくなるだろう。

とすると、恐怖を感じる原因のひとつは「不安」「先行きの見えないこと」だ。

恐怖を感じている心の正反対と思われる言葉は「明朗快活」「明鏡止水」「公明正大」など。先行きの見通しがあって、心が落ち着いている様子。共通するのは「明」

恐怖を象徴するのは「暗」だろう。

暗闇の中で光る夜行性の肉食動物の眼。彼らは人間より夜目がきき、鼻がきき、脚が早く、顎が強い。確実に食われる。しぬこと自体もいやだが痛い思いをするのは尚いやだ。

逃げるか。どこへどう逃げるか。どこに住み、どんな武器を作って対抗するか……

恐怖は生き延びるための本能的な戦略でもあり、知恵の源でもある。恐怖の神は、「無知・無力と不安の神」であると同時に逆説的に「賢さの神」「強さの神」ってこともあり得る。恐怖に打ち勝つために恐怖の神に祈るということも考えられる。セント・エルモの火みたいなものは、悪霊と思えば悪霊だし守護神と思えば守護神だ。

また個人の滅亡を恐れるから仲間を求め、遺伝子を伝えようとする。夜は恐怖を呼ぶ時間であると同時に交歓のときでもある。
なるほど恐怖の神と愛欲の女神がひとつ腹であっても、うなづける。ついでに音楽の神とか詩作の神なども眷属にいるといいかもしれない。


Related Entries

SEARCH

Profile & Caution

Misha

Author:Misha
スマホ時代にさからう評論系長文ブログ。冷静に通読できる大人の読者様を想定しています。

「若い人」に直接呼びかける文章は、18歳以上のヤングアダルト対象です。高校生は受験・就活を最優先してください。

書く人は、新旧とりまぜて映画とアニメを見ながら文芸書に取りくんでみたり、昔の漫画を思い出したり、お国の先行きを心配したりしております。

映画評は、アップロードする以上は「下げる」ようなことは言わないことにしております。あらすじもあまり申し上げませんので、楽しみに御覧になってください。記事冒頭の色つき文字は映画中の台詞・挿入歌の歌詞からの引用です。

なお、取り上げる作品は、暴力・エロスなど特殊な要素を含んでいることもあります。

ときおり、耽美・BL・同人・LGBTに言及します。いずれの分野からも、偏見と差別と自虐がなくなるといいと思っております。

「二次創作の責任を二十四年組に押しつけるな」「実在同性愛者に甘えるな」が基調です。

全体として、二十四年組ファンが社会学者に物申すという珍しい構図。一部勘違い同人を叱責することによって全体を守るという意図もあり、ときにかなり辛口です。

記事は時々予告なく手直し・分割・削除しております。保存は個人的閲覧の範囲で、お早めに御随意に。転載・改変利用は固くお断り申し上げます。

解題


Casketとは、玉手箱。

でも検索すると棺桶がならびます。来世まで持っていきたい好きな作品の記録帳とご理解ください。